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理不尽に人々が死んでいく…“新しい恐怖”に挑んだ『災 劇場版』関友太郎監督&平瀬謙太朗監督インタビュー

  • 2026.2.23

ある日どこかで人が死ぬ。まるで無慈悲な“災い”に見舞われたかのように、何の前触れもなく、唐突に。それ自体は世界中で繰り返されている営みだろう。しかし、亡くなった人々の日常に、必ず、同じ【ある男】が紛れ込んでいたとしたら…。『災 劇場版』(公開中)は、そんな不気味な恐怖を描いた異色のサイコ・サスペンスだ。香川照之が1人6役以上で「男」を怪演。中村アン、竹原ピストル、宮近海斗、中島セナ、松田龍平、内田慈、藤原季節、じろう(シソンヌ)、坂井真紀、安達祐実、井之脇海といった豪華キャスト陣が顔を揃え、密度の高いドラマを織りなしている。PRESS HORRORでは、本作を手掛けた監督集団「5月」の関友太郎と平瀬謙太朗に話を訊いた。

【写真を見る】香川照之が1人6役で、得体のしれない男を文字通り“怪演”する

「『災いの比喩としての存在を誰が演じるべきか』を追求していくと香川さんしかいなかった」(関)

これは新手の“Funny Games”かもしれない。イヤ〜な時間が持続し、さらに、不可解な通り魔的な怖さが雪崩れこんでくる。ミヒャエル・ハネケ監督の『ファニーゲーム』(97/セルフリメイク版は08)みたいな。『災 劇場版』でユニットを組む監督・脚本・編集の2人にそう伝えると、平瀬謙太朗は「好きな映画です」と答え、関友太郎のほうは「自分の全身に行き渡ってますね。ハネケの作品成分は」と続けた。

平瀬監督も関監督も共に好きだというミヒャエル・ハネケ監督の衝撃作『ファニーゲーム』(97) [c]Everett Collection / AFLO
平瀬監督も関監督も共に好きだというミヒャエル・ハネケ監督の衝撃作『ファニーゲーム』(97) [c]Everett Collection / AFLO

2025年に放送され話題を呼んだWOWOWの連続ドラマW「災」の全6話分を解体、大胆にリビルトした『災 劇場版』は、象形文字的に人型モンスターを思わせるタイトルロゴからして秀逸だ。そもそも「災」の字の下の部分は、人間に破滅をもたらしかねない「火」。上の「巛」は川で、元々は揺らぐ三本線の真ん中に川の流れをせき止める「-(横棒)」が付いており、すなわち洪水+火の組み合わせなのだ。

平瀬「あのロゴは、字書三部作で知られる白川静さんの『字通』(平凡社刊)に載っている旧字体のものでして。台本を刷る時に、表紙に象徴的に『災』という文字をデザインしたくて、漢字の成り立ちを調べていて行き着きました。見た瞬間、『どこか人っぽくもあるなあ』と。それがきっかけで、作品のロゴとして採用することに。こうやって、作りながら、自分たちも色々な発見をしています。もうひとつ、作りながら生まれたものの代表的な要素は『災い』という作品のテーマです。はじめから決めていたことではなくて、脚本を書き出してから生まれてきました」

タイトルの「災」の字がえも言われぬ禍々しさを放つ『災 劇場版』ポスタービジュアル [c]WOWOW
タイトルの「災」の字がえも言われぬ禍々しさを放つ『災 劇場版』ポスタービジュアル [c]WOWOW

関「最初のアイデアでは複数の舞台で、登場人物たちの話がバラバラにあって、ある男=殺人鬼だけが毎回登場する、という構成だったんです。映像手法に合わせて仮タイトルを付けたのですが、それが『迫り来る殺人鬼』みたいな…」

平瀬「今、振り返ると身も蓋もない(笑)」

関「そうだったね(笑)。この『バラバラの話』と『毎回出てくる【ある男】』のフォーマットを活かすなら、殺人鬼よりも『災いそのものの存在』として立たせていくほうがオリジナリティが出てくるんじゃないかとある時気づいたんです。僕らの企画の作り方は、まず映像の構造や手法を話し合い、面白いと思える“器”が見えてきたら、その器に最適なストーリー運び、キャスティング、音楽などを組み合わせていく。そこが、通常の映画作りとは少し違うところかなと思います。普通だったら、ストーリーやテーマが先だと思うので。香川照之さんとは僕らの長編デビュー作『宮松と山下』でもご一緒したのですが、だからお願いしたわけでなく、作品の構造が定まったあとに、『1人6役以上の【ある男】、災いの比喩としての存在を誰が演じるべきか』を改めて追求していくと香川さんしかいませんでした」

「動的に殺人を犯す表現はないからこそ、結果としての死を美しく映像に収めたかった」(平瀬)

名前も性格も顔つきもまったく異なる人物として出現する、“災いそのもの”のような存在の謎の男(香川照之)
名前も性格も顔つきもまったく異なる人物として出現する、“災いそのもの”のような存在の謎の男(香川照之)

ちなみに『宮松と山下』の共同監督は、2人の「東京藝術大学大学院映像研究科」時代の恩師である佐藤雅彦氏。監督集団「5月」を組み、手法自体がテーマを担うスタイルを早くから実践している。佐藤氏つながりで言えば『災』は“ヤバ過ぎるピタゴラスイッチ”なのだ。不条理の連鎖反応によって次々と人が死に、その結節点にはなぜか必ず【ある男】の姿が! 漁師、塾講師、トラックドライバー、理容師、酒屋業者、警察署の用務員、水泳インストラクター、牧草を運びにきた男…一体、何者なのか。確実なのは、死体の数々と無関係ではないこと。

関「つくっていくモチベーションに『こういう画を撮りたい、こんな世界像をカメラを通して残せたら』というのがあります。『災』では“死に様”、各人物の死んでいるカットに一番、力を入れていました」

平瀬「この企画では動的に殺人を犯す表現はまったくなく、死んでしまった…という結果だけが観客に提示されます。だからこそハッと息を呑むような、『人が死んでいるのに何故かくも綺麗なんだろう』と感じさせる強い画の力が必須で。絵画のように美しく映像に収めたい、という想いは、最初からのヴィジョンとしてありました。なので、死体のカットだけコンテを描いて、スタッフの皆さんにお渡しして」

実に多種多様な「死」が描かれる [c]WOWOW
実に多種多様な「死」が描かれる [c]WOWOW

関「この映画は、安達祐実さん演じる赤いジャンパーを着た女性が海に浮かび上がるシーンから始まります」

平瀬「そこにタイトルが入る。どんなふうに、どういうタイミングで入れるかが重要。ドキドキさせて観客の集中力を一段と高めたいから。タイトルが画面真ん中に位置するので、安達さんの体をズラしたり顔を見せないように微調整をしました。グラフィックとして美しい画を撮りたかったので」

関「高校生役の中島セナさんは落下死をしたあとの、折れた脚の角度にこだわって」

「死顔がすばらしい」と監督たちに評された中島セナ
「死顔がすばらしい」と監督たちに評された中島セナ

平瀬「あれはコンテでたくさん、曲がり方を描いてみたよね」

関「角度によっては怖さではなくて可笑しさが勝ってしまうこともあって苦労しました。いびつにしすぎると、怖くなくなっていくんですよね。そうやって試行錯誤しながら、最終的には良いビジュアルになったなあと思います」

平瀬「2人のイメージが合致するまで、擦り合わせをして」

関「セナさんはこう語られることが嬉しいのか分かりませんけど、本当に死顔がすばらしくて。独特な世界観を築き上げていたんですよ。脚のニュアンスは僕らがつくるものなので、彼女のせっかくの死に様を無駄にしてはいけない、というプレッシャーはありましたね」

ひとつひとつの死体描写で完結するのではなく、謎が増幅し、唐突な、厄災としての死がまた次の物語を生み出す作品構造。緊張感は弛まず、気の休まる瞬間がなくて、これが癖になる。

刑事の堂本(中村アン)は、各地で発見された死体のある共通点に気づき、謎を解明しようとする [c]WOWOW
刑事の堂本(中村アン)は、各地で発見された死体のある共通点に気づき、謎を解明しようとする [c]WOWOW

平瀬「特にドラマ版のほうが顕著なのですが、2話目くらいから、もう誰かが死ぬことは自明なので、いつどこで誰がどう死ぬのかが観る人の関心事になっていきます。だからこそ、死体のカットというのは、この作品において、もっとも大切なカットなんです。僕たちにとっても挑戦でした。クランクインの時に、スタッフの方々には『新しい恐怖』に挑戦したい、と、この作品の目指すところを宣言していました。その模索に、特殊造形の吉田茂正さん、撮影の國井重人さん、照明の鳥羽宏文さんを始め、精鋭の皆さんが十全に応えてくれましたので、望んだ画になったのだと思っています」

関「死に様には注力しましたが、当然その手前の流れも大切でして。小さな希望や幸せをつかみかけていたのに、唐突に、無慈悲に死が訪れる。そのギャップが激しいほど、死体がショッキングだったりヴィヴィッドに映えたりする。その落差をちゃんと演出するよう、意識はしていました」

「大きな悲しみや喪失に触れないと日常の愛おしさに気づけない」(関)

本作は2025年9月に行われた第73回サン・セバスティアン国際映画祭コンペティション部門に正式招待され、1800席以上の会場は満員に。日本に先駆けてワールドプレミアが行われた。現地の記者会見では、『宮松と山下』でも組み、実験性と冒険心に富んだ彼らの作家性を称える日枝広道プロデューサーが締め括りに、「2人の創作の起点に、何か発したいメッセージや伝えたい物語があるわけではない。けれども新しい手法を以ってテーマを浮き上がらせるという独自のアプローチで世界を席巻するだろう」とコメントした。

進路と家族関係に悩む高校生の祐里(中島セナ)は、学習塾で相談に乗ってくれる講師と出会うが… [c]WOWOW
進路と家族関係に悩む高校生の祐里(中島セナ)は、学習塾で相談に乗ってくれる講師と出会うが… [c]WOWOW

関「たしかに、僕たちはいつもテーマを見つけるのが後からなんです。この映画を作りながら自分が考えるようになったことは、メメント・モリ…“死を忘れるな”ということです。例えば、家族で食卓を囲めるその時間って、『幸いにも家族皆が不幸に遭わずに済んでいる結果』なわけですよね。僕はバスケットが好きなのですが、2020年に元NBAのスター、コービー・ブライアントがヘリコプター事故で墜落死したとき、こんなふうに人生が終わってしまうことがあっていいのかと、ひどくショックを受けました。そして途端に、今何事もなく生きている日常が愛おしくなった。それくらい大きな悲しみや喪失に触れないと、今自分が築いている生活の尊さがわからないなんて…と、情けなくもなります。『災』では直接、幸福について言及してはいませんが、どうして死を扱いたいのかといえば、そういった死生観があるからだと自己認識しています」

平瀬「僕も映画には軸となる主題は必要だと思っていて、きちんと語るべきだと。ただし内面から来るテーマ性が最初からあるわけではない。つくっていくうちに色々と出て来るんです。それは毎回ですね。記者会見で日枝さんがおっしゃった趣旨は、僕らにとっての共通の、是が非でも描きたいテーマを指しているのかも。ひとりひとり別につくったら、各々の主張を込めるでしょうけど、2人でやる場合、『自分の経験を映画にしたい』とか『子どもの頃のあの思い出を入れたい』だとかは全くないんです。それだときっと上手くはいかないので。その目的を持ち、ヴィジョンに向けて最善な選択肢を常に議論していく。そういう意味においては、日枝さんの発言は正しい気がします」

酒に溺れ飲酒運転で事故を起こし、妻と別居中の倉本(松田龍平)は禁酒を続けていたが… [c]WOWOW
酒に溺れ飲酒運転で事故を起こし、妻と別居中の倉本(松田龍平)は禁酒を続けていたが… [c]WOWOW

ところで香川照之は、『蛇の道』(98)、『トウキョウソナタ』(08)、『贖罪』(12)、『クリーピー 偽りの隣人』(16)と、黒沢清組の一員でもある。おそらく海外では“黒沢映画のフォロワー”と受け取られているのではないか。

平瀬「いえ。意外にも日本のほうが黒沢監督の名前は上がりますね」

関「もちろん黒沢さんの映画は数多観ていますし、好きなんですが、この『災』では何かを参考にしたシーンはないんです。だから、不思議なんですよ。本当によく言われるので」

平瀬「香川さんも口にされていたよね」

関「そうそう。『これは黒沢だなあ』なんて撮影現場でモニターを見ながら」

多くの黒沢清作品に出演している香川照之 [c]WOWOW
多くの黒沢清作品に出演している香川照之 [c]WOWOW

2人の嗜好が気になる。平瀬は「アニメーション(の影響)は大きい」と述べ、関は「僕はあまり観ません」と言う。

平瀬「ベン図で言うと、僕らの映画の趣味が重なっている監督はヨルゴス・ランティモスと…」

関「スタンリー・キューブリックと…以上(笑)」

平瀬「少なっ(笑)」

関「そんなことはないか。日本映画で言えば、香川さんも出演されていた西川美和監督の『ゆれる』とか」

平瀬「『災』に近い感触ではそうだね。あとはポール・トーマス・アンダーソン監督も外せないか」

関「ダルデンヌ兄弟とかハネケとか、ヨーロッパ系はもっぱら僕の守備範囲で」

意外にも映画の好みはあまり重なっていないと語る2人 撮影/黒羽政士
意外にも映画の好みはあまり重なっていないと語る2人 撮影/黒羽政士

平瀬「僕はジャンルとしてSFも大好物だし、SFマインドを持つドゥニ・ヴィルヌーヴやクリストファー・ノーランもめちゃくちゃ観てます。2人の作品は編集、見せ方の構造具合に惹かれるんですね。映画の特性のひとつはリニアに進んでいくメディアであり、Aの情報のあとにBを出すか、その逆にするか情報を繰り出す順番、モンタージュの塩梅によって意味や肌合いが変わってくるところが醍醐味なんです」

なるほど実際、各被害者を主人公に組み立てて、時系列だった『災』の連ドラ版を、映画では同じ物語だが日本各地、同時多発的に編集し直し、“構造”を刷新してみせている。2人の共同作業は基本、ディスカッションを経て、関が脚本を書き、さらに議論。撮影も編集も実務は主に関が司り、別角度から平瀬がチェックしてゆくものだったという。驚くのは劇場版は脚本の書き足しも再撮もなく、全6話分の映像素材に対してのアプローチだけなのであった。

夫との関係が冷え切っている主婦の美佐江(坂井真紀)は友人に誘われ、スポーツセンターに通い始めるが… [c]WOWOW
夫との関係が冷え切っている主婦の美佐江(坂井真紀)は友人に誘われ、スポーツセンターに通い始めるが… [c]WOWOW

平瀬「それでいて、ダイジェスト版には絶対したくはなかったんです」

関「ロードマップがない状態での編集作業で、序盤は暗中模索というか、かなり悩みました。自信がなさすぎて、繋いで『これはダメかも…』と嘆いたら、『いや面白い面白い』と平瀬くんが言ってくれ、それでまた直しても『ちょっとよくわからないな…』と思っていると、また平瀬くんが『面白い面白い!』と(笑)。マラソン選手に同行して鼓舞をする、モチベーターみたいになってて」

平瀬「同じ物語なのにドラマと映画とでは料理の仕方が違っていて。それぞれの恐怖が生まれ、僕たちが目指していることに近づいていました。だから『大丈夫』と言ったんです。この見せ方の構造が新しくて面白いんだって」

新たな映像表現を貪欲に追い求め、ディスカッションを重ねて作品を生み出し続ける関監督と平瀬監督 撮影/黒羽政士
新たな映像表現を貪欲に追い求め、ディスカッションを重ねて作品を生み出し続ける関監督と平瀬監督 撮影/黒羽政士

「この作品の様式はロバート秋山さんの『クリエイターズ・ファイル』と一緒」(平瀬)

もうひとり、キーマンがいる。これまでの「5月」の作品のほぼ全ての音楽を手掛けている豊田真之だ。

平瀬「撮影前から相談し始めていて、上がってきた音源を聴きながら『こういった世界観で行こう』と刺激を受けていましたね。“災い”のモチーフを表した1曲のためには、30曲もつくってもらって、その中から選んで決定したんです。なので全体となるともっと膨大に。申し訳なかったですが妥協せず、これだというのが生まれるまで、ひたすらNGを伝え続けて」

関「もちろん、選ばれなかった曲たちが他の劇伴になっていく想定で言っているんですけどね。豊田は、東京藝術大学大学院の同級生仲間であって、僕らとは濃い関係性を結んできた。彼はミュージシャンなのに映像研究科に入ってくるような変わり者であり、映画への洞察力と感性がある人なので信頼感のもと、根気強く待てたんです」

豊田真之が手掛けた本作の劇伴をまとめた「『災 劇場版』オリジナル・サウンドトラック」も配信中 [c]WOWOW
豊田真之が手掛けた本作の劇伴をまとめた「『災 劇場版』オリジナル・サウンドトラック」も配信中 [c]WOWOW

連ドラ版では【ある男】が違う役柄で登場するシチュエーションに段々と慣れが生じ、後半はどこか面白みさえ湛えていた。が、劇場版ではそれがない。恐怖と笑いは紙一重。バランスが難しい。

人付き合いが苦手なショッピングモールの清掃員・崎山(内田慈)は、同じショッピングモールで働く理容師の皆川(藤原季節)といい雰囲気になっていくが… [c]WOWOW
人付き合いが苦手なショッピングモールの清掃員・崎山(内田慈)は、同じショッピングモールで働く理容師の皆川(藤原季節)といい雰囲気になっていくが… [c]WOWOW

関「そうなんですよね。ドラマの脚本執筆時は完全に怖がらせる気満々で書いていたんですけど、編集を繰り返していくうちに段々と香川さんの登場が面白くなってきてしまって…。それで議論を繰り返して、コンセプチュアルに考えればやはり圧倒的に怖くなければいけない、と再確認して。音楽の充てどころでバランスを保ちました。結果、ご覧になる方がどう感じられるかは自由ですけれど」

平瀬「ひとりで複数のキャラクターを演じる様式自体は、ロバート秋山さんの『クリエイターズ・ファイル』と一緒で、端っから笑いにも転換されることをやっていたわけで」

関「香川さんは日常的なシーンを演じていても、常に“何か”を絶妙に醸し出している。普通にしているだけなのに特異点が露出し、サスペンスフル。『災』は描き方によって恐怖にも笑いにも転ぶ設定なんですが、香川さんは台詞の間(ま)、ひとつ取ってみてもフィクション度を上げて、むしろ“映画内のリアリティ”を成立させてくれました」

【写真を見る】香川照之が1人6役で、得体のしれない男を文字通り“怪演”する [c]WOWOW
【写真を見る】香川照之が1人6役で、得体のしれない男を文字通り“怪演”する [c]WOWOW

「誰もが、自分には関係ないと思っていた。」という本作を象徴するキャッチコピー。映画が終わって、劇場を出てからは(気付こうと、そうでなくとも)観客であった“あなた”が無慈悲にも登場人物となってしまう仕掛け――。とてつもなくクレバーで、少しだけ邪気も含んでいる。ふと『ファニーゲーム』の白シャツと半ズボン、白い手袋を身に着け、“恐怖と黒い笑い”を届けるあの清潔な2人組がちょっとだけダブった。

遠くの塀の上から撮影を試みるカメラマンの姿を面白がってくれた2人 撮影/黒羽政士
遠くの塀の上から撮影を試みるカメラマンの姿を面白がってくれた2人 撮影/黒羽政士

取材・文/轟 夕起夫

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