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呼吸障害の発症リスクが高い「12の犬種」が判明

  • 2026.2.19
ペキニーズ/ Credit: ja.wikipedia

つぶらな瞳と平たい顔立ち。

思わず抱きしめたくなる愛らしさで人気を集める短頭種の犬たちですが、その見た目の裏で、静かに進行する呼吸の問題があることが分かってきました。

英ケンブリッジ大学獣医学部(University of Cambridge)の研究チームが約900頭の犬を調査。

その結果、12の犬種で呼吸障害のリスクが確認されたのです。

その具体的な12の犬種とは?

研究の詳細は2026年2月18日付で学術誌『PLOS One』に掲載されました。

目次

  • 平たい顔だけが原因ではない? 約900頭の大規模検査
  • 鼻、首、尾、体重…意外なリスク要因とは

平たい顔だけが原因ではない? 約900頭の大規模検査

今回の調査対象とされたのは「短頭種気道閉塞症候群(Brachycephalic Obstructive Airway Syndrome:BOAS)」と呼ばれる疾患です。

BOASは、頭蓋が短く、いわゆる「平たい顔」を持つ犬に多く見られる慢性疾患です。

上気道が狭くなることで、いびきのような呼吸音や運動不耐性、呼吸困難を引き起こし、重症例では手術が必要になることもあります。

これまでの研究は、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグといった代表的な短頭種に焦点を当ててきました。

しかし今回の研究では、これらに加え14犬種を対象に調査を実施しました。

研究チームは、898頭の犬を個別に診察し、頭蓋や鼻の形状、体型、首の太さなどを測定。

さらに、3分間の運動テストを行い、その前後で呼吸音や不快の兆候を評価しました。

呼吸の状態は0から3の4段階で判定され、0は症状なし、3は運動や呼吸に明らかな困難がある状態を示します。

その結果、14犬種中12犬種で何らかの呼吸異常が確認されました。

特にリスクが高かったのは、ペキニーズジャパニーズ・チンです。

ペキニーズでは約89%が影響を受け、自由に呼吸できる個体は約11%にとどまりました。

ジャパニーズ・チンも約82%が影響を受け、症状が見られなかったのは約17%でした。

キング・チャールズ・スパニエル/ Credit: ja.wikipedia

中程度のリスクとされたのは、キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、ブリュッセル・グリフォン、ボストン・テリア、ボルドー・マスティフです。

これらの犬種では半数以上が何らかの呼吸異常を示しました。

一方、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ポメラニアン、ボクサー、チワワ、アーフェンピンシャーでは比較的リスクは低めでしたが、それでも一定割合で症状が確認されています。

つまり、「短頭種=すべて同じ危険度」という単純な図式ではないことが明らかになったのです。

鼻、首、尾、体重…意外なリスク要因とは

今回の研究が示したのは、顔の形だけが問題ではないという点です。

まず重要だったのが「鼻孔の狭さ(鼻孔狭窄)」です。

高リスクとされたペキニーズとジャパニーズ・チンでは、開いた鼻孔を持つ個体はそれぞれ約6%、約18%にすぎませんでした。

鼻孔が狭いほどBOASの発症率が高いことが、あらためて裏付けられました。

さらに、「頭蓋顔面比」と呼ばれる指標も関係していました。

これは頭蓋の長さに対する幅の割合を示すものです。

幅広で短い頭部形状を持つ犬ほど、BOASリスクが高い傾向がありました。

ただし、極端に平たい顔の犬種でも、約40%が無症状であった例もあり、単純な長さだけでは説明できないことも分かりました。

また、体型も無関係ではありませんでした。

スタッフォードシャー・ブル・テリアでは、尾が長い個体はBOASのリスクが約30%低く、罹患犬は平均して尾が約1.5センチ短いことが示されました。

スタッフォードシャー・ブル・テリア/ Credit: ja.wikipedia

ボストン・テリアとスタッフォードシャー・ブル・テリアでは、首が太い犬ほど影響を受けやすい傾向も確認されました。

さらに、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、アーフェンピンシャーでは、肥満が有意なリスク因子でした。

体重管理がリスク軽減に寄与する可能性が示唆されています。

ただし研究者らは、体重や鼻孔の狭さ、頭蓋顔面比を合わせても、BOASの個体差の約20%しか説明できないと指摘しています。

つまり、まだ解明されていない要因が多く残されているということです。

見た目の可愛さと健康のバランス

本研究の著者らは、BOASには犬種ごとに異なる「リスクプロファイル」があると述べています。

そのため、疾患の軽減には犬種別のアプローチが必要です。

また、現時点で最も確実なのは、実際に呼吸機能を評価することです。

体型や見た目だけでは判断できないため、繁殖選択や健康管理においては客観的な呼吸評価が重要になります。

平たい顔や丸い体型は確かに魅力的です。しかし、その特徴が健康と引き換えになっていないかを見つめ直す時期に来ているのかもしれません。

犬たちが静かに苦しむことのない未来を実現するために、科学的な知見と飼い主の理解が、これまで以上に求められています。

参考文献

Pekingese, Shih Tzu and Staffordshire bull terrier among 12 dog breeds at risk of serious breathing condition
https://phys.org/news/2026-02-pekingese-shih-tzu-staffordshire-bull.html

Chihuahua, boxer, and 10 other dog breeds at risk of breathing troubles
https://www.popsci.com/environment/chihuahua-boxer-and-10-other-dog-breeds-at-risk-of-breathing-troubles/

元論文

A cross-sectional study into the prevalence and conformational risk factors of BOAS across fourteen brachycephalic dog breeds
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0340604

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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