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漫画家ひうらさとるさんが明かす、『ホタルノヒカリ』『西園寺さんは家事をしない』世界観を作った“旅の経験”

  • 2026.2.19

迷いの度に旅へ出て、旅の度に自分の本心が姿を現す。見知らぬ国で出会った人、景色、そして自分自身。それらが少しずつ運命の歯車を動かし、気づけば人生は大きく方向を変えていく。そんな〝人生の大きな転機〟となった旅の物語に触れました。

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ひうらさとるさん 漫画家59歳・兵庫県在住

旅で得た刺激や空気感は人生にも創作にも反映。現在 城崎と東京を往復中

現代女性の今をすくい上げ、等身大の日常が共感を呼んだ漫画『ホタルノヒカリ』、『西園寺さんは家事をしない』など、ひうらさんの世界観やリアルな描写の背景には、これまでの旅で磨かれてきた視点が活かされています。

高校生で漫画家デビュー、20代は恋愛や結婚という周囲の声に揺れながら仕事に没頭。30歳の誕生日、バリ島への一人旅は最初の転機。誕生日は誰かと過ごすという当時の社会通念を捨て、良いホテルでひとりで心地よく過ごすうちに、自分の機嫌は自分で取ればいいと実感。場所を変えると、価値観の呪縛が自然に薄れる──この旅を境に、視点がリセットされ、自分軸で生きる手応えを得たのだとか。

40代では、NHKの番組レポーターとしてアジアを歴訪する仕事が舞い込み、当時3歳の娘さんを「なんとかなる」と長期旅に同行。飛行機内で連載のネームを仕上げ、現地取材し次の国へ。「旅しながら働くほうが楽しくて」。そんな旅先で、日本は既にアジアで一番じゃない、アジア各国の勢いに驚愕したとか。

さらに、人生を揺さぶる出来事が…。東日本大震災を機に家族で移住した夫の故郷、兵庫県城崎温泉での暮らし。静かで密度の濃い時間が流れ、子育てしやすく、人間関係の距離感もちょうどいい。東京を離れたことで、心がゆっくり整っていったという。「移住したことで距離感覚が柔軟になり、移動が苦じゃなくなりました。仕事で東京へ行くのも、海外へ旅するのも、より軽やかになったんです」。

旅は、漫画の創作にも大きな刺激に。アジアで出会った女性たちのメーク、街の空気や暮らし、細かなリアリティが作品の確かな説得力に。「経済が成長中の国ほどアイメークが濃くて色も強め。日本のミュートメークとは大違い」。旅先での小さな観察の積み重ねが、現代女性像を描く温度感に繫がっている。

また、娘さんとの旅は、母娘それぞれの成長の機会に。深夜便を1日勘違いし、湯上がりの娘さんと慌てて空港に向かった日のことは、今でも鮮明な記憶。幼い娘さんは状況を素早く察し、母のバディとして頼もしく寄り添った。「旅は子どもの自立心を育て、親子の関係も強くする。私と旅するうち、いい意味で固定概念がなかったからこそ、海外のサマースクールや高校入学と同時に始めた共同生活にも、自然に馴染めたんだと思います」。

今、還暦目前のひうらさんは残りの人生をどう使いきるか視野に入れています。「アクティブに動けるのはあと15年。行きたい場所には早めに行こうと。海外移住もしてみたい」。人生の後半を味わい尽くすべく、新たなステージへの準備を軽やかに始めていました。

<編集後記>この取材の数日前は、推しGの解散ライブ参戦だったとか

相棒のキャリーケースをひいて現れたひうら先生の輝くオーラ! 娘さんの文化祭や推しの解散ライブなど、東京近郊での用事を詰め込んで、城崎温泉との二拠点生活をしなやかに軽やかに満喫されている素敵なお話に、憧れがダダ漏れ…。連載の執筆で多忙な中、旅や楽しい予定を詰め込んで、それをモチベーションに描きあげているとか。(ライター 羽生田由香)

撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/小池瑠美子 取材/羽生田由香 ※情報は2026年2月号掲載時のものです。

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