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トリー バーチ、パーソナルな思い出をまとうクラシックの新解釈【2026-27年秋冬 NYコレクション】

  • 2026.2.17

2月11日(現地時間)、トリー バーチ(TORY BURCH)2026-27年秋冬コレクションは、ニューヨークのランドマークであるザ・ブロイヤーで発表された。1960年代にマルセル・ブロイヤーが設計し、かつては美術館として機能していたこのブルータリズム建築は、現在サザビーズによって修復され、新しい文化的拠点として息を吹き返している。

そんな歴史のレイヤーが重なる空間で、デザイナーは「混沌の中で、何が時代を越えて残るのか」という問いに向き合ったという。クラシックに根ざしながらも、個人的な視点で捉え直すことで、歴史や実用性に根ざした服は、パーソナルな記憶を通して新たな表情を帯びていく。

今季は、そんな永続的なスタイルを尊重しながら、技法とプロポーションを探求。手作業の刺繍を施したカーディガンや、自身の父の装いに着想を得たワイドレッグのコーデュロイ、軽やかな風合いに仕上げたシェットランドウールのセーター。そして、縫い目をほどいて再構築したドロップウエストドレスや、ツイストやノットで身体に沿うジャージードレスが、クラシックにわずかな違和感をもたらす。

いくつかのルックには、サーディンモチーフのピンやレザーで包んだシェルのイヤリングが添えられ、控えめながらもユニークなアクセントを演出。さらに、トリー・バーチが学生時代に持っていたバッグに着想を得たという、手織りのレザーやラフィアのバッグが全体に軽やかなリズムを加えていた。

インスピレーション源のひとつとなったのは、園芸家であり慈善家でもあるバニー・メロン。トリー・バーチはバロンの邸宅に魅了され、自ら購入するほど、その時代を超えた美意識に強く惹かれている。彼女の住まいで見つけたキルティングクッションに着想を得たバニーノットは、バッグやシューズなどコレクションを通して繰り返し現れ、つながりを象徴するモチーフとなっている。

トリー バーチがいま、過去と現在、そして個人と普遍のあいだをしなやかに行き来していることを示す今季のコレクション。実用性を備えつつも、どこかに個人的な余白や遊びを残している。トリー バーチが描く女性像は、何かを誇示するのではなく、自分に似合うものを自然に知っている人。クラシックを自分の言葉で着こなすその佇まいは、いまの時代における新しいエレガンスのかたちと言えるだろう。

※トリーバーチ 2026-27年秋冬コレクション全てのルックはこちらから。

Photos: Gorunway.com Text: Maki Saijo

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