1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【杉村太蔵インタビュー】「資産形成」と「投資」は別物。目的によって銘柄選びは変えるべき! 初心者にも分かりやすい投資術を語る

【杉村太蔵インタビュー】「資産形成」と「投資」は別物。目的によって銘柄選びは変えるべき! 初心者にも分かりやすい投資術を語る

  • 2026.2.16

この記事の画像を見る

“超一流”の投資家を自負する杉村太蔵さん。その言葉は決して大げさなものではなく、衆議院議員をやめたあとの4年間で資産1億円を築いた実績を持っている。証券マン時代に学んだノウハウと、政治家として培ってきた経済の流れを読み解く目。それらを駆使した、初心者にも分かりやすい投資術を一冊の本にまとめたのが新刊『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(文藝春秋)だ。「今のこの時代だからこそ読んでほしい」という思いをうかがった。

やがて、中間層の中にも大きな格差が生まれる時代に

──『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』を拝読いたしました。偶然にも、投資について勉強をしようと思い始めていたタイミングでしたので、この本の内容がとても刺さりました。

杉村太蔵さん(以下、杉村):ありがとうございます。2024年にスタートした新NISAの話題性もあり、今、資産運用を考え始めているという声をたくさん聞きます。

──やはり、現代は多くの人が自分の将来に対して不安を抱いているということでしょうか。

杉村:そうだと思います。日本は今、生活環境や収入の面で格差がどんどん広がっていると言われています。ギリギリのところで、分厚い中間層がまだなんとか維持されている状況ではありますが、このままだと、間違いなくさらに格差が激しくなります。それも、中間層の中で格差が生まれるんです。〈中の上〉と〈中の下〉といった感じで。反対に、〈中の中〉がスカスカになっていく。

──それは、なぜでしょう?

杉村:私なりにしっかりとした根拠があるんです。それは日本人の中間層のほとんどが給与所得だけに頼っているからです。つまり、自分で汗水垂らして働いた分の給料を会社からもらい、必要な生活費以外のお金が余れば貯金をしていくという方がほとんどなんですね。

──まさに自分がそうです。

杉村:でも、それだとこの先やっていけないかもしれないと、みんなも思い始めている。私よりももう少し上の先輩方、例えば60歳以上の方であれば、それでなんとかなるかもしれません。現役時代に貯めた貯金と退職金、それに手厚い社会保障がありますから。でも、これだけ少子化が進み、未来の担い手が少なくなってくると、給与所得だけでは、〈中の下〉あたりにいる方や、さらにその下の方たちの老後生活は、今以上にきつくなるだろうと容易に予想できてしまえるんです。

──確かに、2019年に金融庁が発表した「老後2000万円問題」も大きな話題を集めましたが、その頃からさらに物価も上がり、大きく環境も変わってきていますから、中間層といえど、厳しい状況が待ち受けそうです。

杉村:おっしゃる通りです。ただ、“じゃあ、もう打つ手がないのか?”と聞かれたら、決してそんなことはない。現在中間層にいて、この先、〈中の下〉ではなく〈中の上〉になるためにはどうすればいいのか。その答えを伝えたくて、今回私はこの本を書いたんです。

大事なのは「いくらになったら」ではなく、「いつ買って、いつ売るか」

杉村:ちなみに、多くの人が老後を考えて最初にすることは何だと思いますか?

──先ほどのお話にあったように、できるだけ倹約して、銀行に預けるお金の額を増やしていくことではないでしょうか?

杉村:それが普通ですよね。でも、ご存じのように、今はどんどん物価が上がってきています。すると、金利の少ない銀行に預けたお金は、どんどん価値が減っていくことになります。

──杉村さんの本の中にも、「少ない金利の貯金は実質、損失である」と書かれていました。

杉村:そうなんです。もちろん、銀行が潰れない限りはお金の安全が保障されているわけですから、そこは考え方次第なところがあります。けれど、やはり貯金だけだと心もとないのも事実。そこで、“これからは株を買って、給与所得のほかに配当所得の2つで生活を豊かにしましょう”というのが、この本のテーマなんです。

自分で言うのもなんですが、私は自分自身を資産運用のプロだと自負しています。政治家としても、タレントとしてもいまいちパッとしませんでしたが(笑)、投資については超一流であると言い切れます。その私の投資術をすべて、この一冊にまとめました。

──そもそもの質問になりますが、超一流の投資家と初めて投資をする人の違いというのは何でしょう?

杉村:すごくよく聞かれる質問ですが、それは、初心者の方って、「いくらで株を買い、いくらで売るか」を常に考えてしまうところです。

──それこそが株の本質だと思っていました。そうではないんですか?

杉村:もちろん、間違いではありません。でも、これだと、いつまで経っても不安がつきまといますよね。

──まさしく、自分がなかなか投資に踏み出せない理由がそれです。常に株価の動向を見て、一喜一憂することに耐えられない気がして。

杉村:でも、ニュースを見ればお分かりだと思いますが、毎日のように日経平均株価は最高値を更新し続けているんです。にもかかわらず、「いくらになったら買おう」とか、「いくらになったら売ればいいかな……」なんて考えていると、永遠に踏み出せずに時間だけが過ぎてしまう。つまり、大事なのは「いくらになったら」ではなく、「いつ買って、いつ売るか」なんです。

──その、「いつ買うか」のタイミングが、まさに今ということですね。

杉村:そうです。その理由や根拠もしっかり、今回の本の中で説明しています。ちなみに、私が「いつ売るか」はとても明確で、老後にしようと決めています。この“老後”の定義も人それぞれですが、資産運用の世界では、給与所得を得られなくなったら老後だと言われています。労働によるお金を稼ぐことができなくなった時ですね。それまでは、私は株を買い続けようと思っています。

「資産形成」と「投資」は目的がまったくの別物

──「いつ売るか」は、初心者にとって「いつ買うか」以上に頭を悩ませそうです。

杉村:それも、資産運用を苦手に感じたり、上手くやれない人の大きな理由の一つですね。例えば、新NISAや株を始めたとして、含み益が出ている時と、含み損が出ている時とでは、含み益がある状況のほうが、精神的に辛くなるんです。というのも、仮に100万円の投資をして、20万円の損失が出ている状態でも、「大丈夫、いつか戻るはずだから」と意外に耐えられる。でも反対に、これが120万円になると、「今売れば20万円が手に入る」と考えてしまう。この誘惑がきついんです。人間というのは、利益をできるだけ早く確定させて、安心したいから。

──すなわち、目先の利益でなく、長期的に見守っていくための力も必要だということですね。その視点で考えると、どういった銘柄を買えばいいのかという株の見方や調べ方も変わってきそうです。

杉村:その通りです。また、銘柄選びというのは、「資産形成」と「投資」でも変わってきます。ひと言で資産運用といっても、多くの人が資産形成と投資をごっちゃにして考えているんですね。でも、この2つって、実は内容も考え方もまるで別物なんです。

──目的が違うということですか?

杉村:簡単に言えば、そういうことです。資産形成とは、あくまで自分の老後のため。「70歳の時にこれくらい余裕があったら嬉しいな」というような目的のためです。一方、投資は、「この会社が成長すると社会が良くなるかも」といった、この国全体や私たちの未来を明るくしてくれる企業を応援する意味も含んでいるんです。今この国が抱えている問題を、近い将来に解決してくれるかもしれない……。そのうえでそれが株主としての利益につながっていく。そう考えると、先ほどの話に繋がることですが、株を買って1〜2年後に利益が出たからといって、すぐに売ろうということにはならないですよね。

日本はすでに第2次高度経済成長期に突入している

──とはいえ、その「成長するかもしれない企業」を見つけ出すのが難しいように思います。

杉村:なんせ、4000銘柄もありますからね(笑)。でも、そこで指針となるのが「骨太の方針」なんです。政府は、毎年1月から経済財政諮問会議を開き、今の日本経済の問題点を議論し、どう解決していけばいいのかを考えます。それをまとめたものが「骨太の方針」。国が力を注いで解決しようと考えている課題には予算も多く割かれることになるので、その方針に合致している企業が銘柄選びのヒントになるわけです。

──なるほど。成長しそうな裏付けを、しっかり自分で見つけ出していくということですね。

杉村:さらに付け加えるなら、「骨太の方針」を読み込み、そのうえで、「自分がもし、転職するならこの会社かな」という企業を選ぶのも手だと思います。自分が魅力を感じ、応援したくなる“推し”の株であれば、より愛着も湧きますから。

また、もう一つの考え方として、投資や資産形成のためのお金を、“自分の子ども”だと思ってみるというのもおすすめしています。愛する我が子が大事なのは分かりますが、ずっと家の中に閉じ込めておいては成長しない。それよりも、子どもがどんな会社に入ってほしいかを考え、15年後、20年後に大きくなって帰ってくるのをじっと見守る。それでいて、年に2回ほど仕送りしてくれたら、こんなに嬉しいことはないな、と(笑)。これが投資の基本的な考え方なんですよね。

──とても分かりやすいです。では、そうした投資にかけるお金は、いくらぐらいからを考えておけばいいのでしょう?

杉村:この本では、例としてすぐに使う必要がない貯金が銀行に500万円ほどある場合を想定して書きました。あるいは、月収貯蓄率が10%以上の方ですね。30万円の月収があり、毎月3万円ほど貯金できているようであればおすすめします。15%以上貯蓄できているようなら、絶対にすぐに始めたほうがいいです。

──それはやはり、早ければ早いほどいいんでしょうか。

杉村:少し前にエコノミストのエミン・ユルマズさんと対談をさせていただいたのですが、エミンさんは、「近い将来、日本はコンビニのおにぎりが1つ1000円になる」という、超インフレ時代の到来を予想されていました。私も同意見です。「まさか!」と思う方もいるかもしれませんが、かつての日本の高度成長期の頃は30円のうどんが、あれよあれよという間に300円になったんです。それを思うと、おにぎりの値段が5倍になっても、まったくおかしくない。日本はすでに第2次高度経済成長期に突入していると私は感じていますので、ぜひこの本をきっかけに、今から投資に目を向けていただけたらと思います。

取材・文=倉田モトキ、撮影=川口宗道

元記事で読む
の記事をもっとみる