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【ネタバレ解説】映画『ブゴニア』の結末、タイトルの意味、オリジナル版との違い

  • 2026.2.16

※この記事はネタバレを含みます。

日本では2月13日(金)より全国で公開中の、エマ・ストーンが主演とプロデュースを務め、ヨルゴス・ランティモス監督がメガホンをとった『ブゴニア』。2003年の韓国映画『地球を守れ!』(残念ながら日本では現在配信されていない)のリメイクで、アカデミー賞にも作品賞を含む4部門でノミネートされている話題作であり、すでに劇場で観たという人も多いだろう。

ここでは、本作の衝撃的な結末やタイトルの意味、オリジナル版との大きな違いなどの気になるポイントを、ネタバレ込みで解説してゆく。

『ブゴニア』のストーリーを改めておさらい

本作でエマ・ストーンが演じるのは、大手製薬会社「オークソリス」を率いるカリスマCEOのミシェル。いっぽうジェシー・プレモンスが演じるのは、「オークソリス」の倉庫で働く、養蜂家にして陰謀論者のテディだ。

ミシェルのことを、陰で地球を支配しミツバチを絶滅に追いやっている「アンドロメダ星人」だと信じているテディは、自閉スペクトラム症のいとこのドン(演じるエイダン・デルビスも自閉スペクトラム症の当事者である)を巻き込み、ミシェルの誘拐計画を実行に移す。

ミシェルをなんとか拉致した2人は、髪の毛を使った“仲間”との通信を阻止するため、その頭をバリカンで丸刈りにし、テディの自宅の地下室に監禁。そして、4日後の月食にあわせて地球を訪れるアンドロメダ星人の皇帝と引き合わせるよう、ミシェルに執拗に迫り、拷問まで行う。テディの狙いは、地球からアンドロメダ星人を追い出すことだ。

©2025 FOCUS FEATURES LLC.

物語の途中、フラッシュバックを通じて、「オークソリス」社がテディの母親サンディを新薬の治験者として採用し、その結果彼女が昏睡状態に陥っていたという悲しい過去が明らかになるが、テディとサンディの関係を悟ったミシェルはやがて、テディの母親を救う「特効薬」が自身の車のトランクにある不凍液だと信じ込ませる賭けに出る。その言葉を鵜吞みにしたテディは病院へ急行し、サンディに不凍液を投与。当然の結果として、サンディは命を落とすことになる。

その間、脱出路を探していたミシェルが偶然発見したのは、テディの隠し部屋。そこで彼女は、この地下室で行われてきたおぞましいエイリアン調査の痕跡を目の当たりにする。その後怒り狂ったテディが自宅に戻ると、ミシェルはまだ地下室にいたが、2人のパワーバランスはここで変化。彼女はアンドロメダ星人の皇族としての役割を演じきり、恐竜が生きていた頃から地球を観察していたこと、アンドロメダ星人が人類を創造したこと、そして人類こそが利己的で残虐な“真の破壊者”であることを説き、テディをうろたえさせる。私たちもまたここで、果たしてそれが真実なのか、あるいはテディから逃れるための彼女の壮大な嘘の一部なのか、翻弄されることになる。

そしてミシェルは、オークソリス本社でアンドロメダ星人に引き合わせるとテディを説得。自身の行方不明が大きなニュースとして報じられ、社員たちが動揺するなか、彼女は自爆ベストを身につけ銃を携えたテディとともに会社へ戻る――。

©2025 FOCUS FEATURES LLC.

訪れる驚愕のラスト

本作のほとんどの場面で、ミシェルにとっても私たち観客にとっても、テディは精神疾患に苦しんでいるようにしか映らないが、ラストには忘れがたいサプライズが待ち受ける。

社長室のクローゼットが母船への転送装置で、電卓がその起動装置だと語り、テディをクローゼットの中へと入らせるミシェル。そこでテディのベストが暴発し、彼はあっけなく死亡、ミシェルも爆風で意識を失う。月食のさなか、病院へと向かう救急車の中で目を覚ましたミシェルは、車からむりやり降り、再びオフィスへと舞い戻る。すると今度は、転送装置が本当に作動する。

――結局のところテディの推測は正しく、ミシェルは本物の宇宙人だったこと、さらにはアンドロメダ星人の女帝だったことが観客に明かされる。人類への実験が失敗に終わったと判断した彼女は、船内にあるミニチュア版の地球を見つめ、それを覆う膜のようなものを破り、人類に終わりをもたらす。

マレーネ・ディートリヒの『花はどこへ行った(Where Have All the Flowers Gone)』が流れるなか、最後にゆっくりと映し出されるのは、まるでプラグが抜かれたかのように倒れている世界中の人間たち。そして、人類だけが生命活動を終えた地球で、ミツバチたちは花の蜜を集めにいつもの仕事に戻ってゆくのだった。

タイトルの意味は?

では、タイトルでありながら劇中には登場しない「ブゴニア(Bugonia)」という言葉は、一体何を意味しており、本作の内容とどうつながっているのだろうか?

まずこの言葉が意味するものは、古代ギリシャ語における「牡牛からの誕生/死からの再生」。血を流すことなく殺された牡牛の死骸からミツバチが自然発生するという、ウェルギリウスの『農耕詩』をはじめとする古代地中海の文献に記されている儀式のことを指す。本作のシナリオにおいて人類は「牡牛」であり、その滅亡が地球の実質的な再生につながり、ミツバチや、おそらく他の動物や昆虫たちが再び繁栄するきっかけになることを示唆している。

©2025 FOCUS FEATURES LLC.

オリジナルとの大きな違いは?

もしあなたが、本作のオリジナルである『地球を守れ!』を観賞済みなら、ミシェルが本当にエイリアンだったというプロットには驚かされなかっただろう。なぜなら、オリジナルもまさに同じ展開だからだ。

ただし違いを挙げるとすれば、オリジナル版では、本作のミシェルに相当するカン・マンシクという男性の製薬会社役員が、人類を「失敗した実験台」とみなした後、地球を爆発させてしまったこと。

ランティモス監督と脚本家のウィル・トレイシーによるこの変更点は、人類の終焉という余韻の中に観客を留めることを狙いとしている。とはいえ、『ブゴニア』のラストショットは、人類にとってではないにせよ、オリジナル版よりもどこか希望を感じさせるものだった。

製作者は結末をどう考えている?

この結末を心底恐ろしいと感じるか、最高に面白いと感じるか、あるいは単に奇妙だと感じるか……トレイシーはエンタメ情報サイト『Den of Geek』に対し、観客が本作から何を受け取ろうとも、そしてたとえどれほどダークな物語だととらえたとしても、「満足」だと明かしている。

©2025 FOCUS FEATURES LLC.

「たったひとつの解釈だけを抱いてほしくないし、落ち込みすぎたり、あるいは喜びすぎたりしてほしくもないのです。ただ、映画館を出た後に『ああ、この後一杯飲みに行こうか、食事でもしようか、この映画のおかげで、語り合うべき話ができたね』と感じてもらえれば嬉しいです」

「本当に救いのないエンディングというのは、『まあ、どうせいつだってこうなるだろう』と言い放つようなものです。でも私にとって、これはまだ起きていないし、これからも起きないこと。だから、『これは私たちが逃れられない運命なんだ』と考える必要はありません」

「または、こうとらえることもできます。『もし自分たちがそんな結末を迎えたくないのなら、お互いの声に耳を傾け始めなければならない。そして、お互いを気遣うような、堅牢で健全なちゃんとした社会の仕組みを作り始めなければならない』と。私たちは自滅するのを止めなければなりません。それが本作の結末に対する、建設的で希望に満ちた見方なのです」

From COSMOPOLITAN US

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