1. トップ
  2. 恋愛
  3. 家族関係で辛い思いを抱える人が少しでも楽になれたら…。漫画『きょうだい、だけどいや』のタイトルに込めた想い【著者インタビュー】

家族関係で辛い思いを抱える人が少しでも楽になれたら…。漫画『きょうだい、だけどいや』のタイトルに込めた想い【著者インタビュー】

  • 2026.3.2

【漫画】本編を読む

「~なんだから」「~らしく」……親から浴びせられた生まれ順や性別などの役割を押し付けられる言葉は、大人になっても抜けないもの。長子としての役割を求められ、親から世話をされる対象ではなくほかのきょうだいの世話をする対象として見られる。著者がそんな自身の過去を振り返り、漫画にしたのが『きょうだい、だけどいや ケアをさせられたきょうだい児だった、けど』(のまり/竹書房)だ。

主人公である手塚ナミは、妹・ミサが生まれた時から「お姉ちゃんなんだから」と我慢を強いられる。病気がちの妹を「身体が弱いんだから」と常にかばい、ナミがミサの面倒を見ることも家事をすることも当然かのように振る舞う母。家族と距離を置くため、ナミは県外の大学へ進学する決意をするが――。

著者は精神科訪問看護師として働いた経験を持つのまりさん。自身の体験だけではなく、精神科訪問看護師として見聞きしたことも本作には生かされているのだそう。その経験や創作にあたっての裏話をうかがった。

※本インタビューの内容は、個人の実際の経験・体験に基づく内容となります。

――本作のタイトルについて、あとがきに「自分自身よりもきょうだいを優先し、世話をせざるをえなかった状況に対して“NO!”をはっきり伝えるための言葉」とありましたがどういう経緯で生まれたタイトルなのでしょうか?

のまりさん(以下、のまり):毒親、という言葉も使われるようになりましたが、その言葉が知られるきっかけのひとつとなったコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA)という田房永子さんの漫画のタイトルを見た時に「お母さんのことを悪く言ってもいいんだ」って気付いた人はたくさんいると思うんです。私もそうでした。そこからきょうだい児、家族関係で辛い思いをしている時に本屋さんでこういうタイトルが目に入ってきたら、少し楽になれる人もいるのかな?と。

――ということは、のまり先生ご自身もかつては「いや」と言えなかったということですか?

のまり:言っていたのかもしれませんが、うまく伝わってはいなかったと思います。

――今でも「あの時もっとこう言っておけばよかった」と思ったりしますか?

のまり:この漫画を描いたりタイトルをつけたりと形にしたことで、自分で自分の考えを肯定できて、気持ちと考えの整理整頓ができた感覚がありました。私の地元で大きな震災があった時は「家族をもっと大事にしないといけないんじゃないか」という気持ちが強くなって葛藤しました。でも支援することと、昔親からされたことについて嫌だった気持ちはまた別というか。そこは分けて考えてみてもいいのかな、と思うようになりました。

――親に介護が必要になった場合でも分けて考えられますか? 「毒親に介護が必要になってどうすればいいのか悩む……」というお話も度々耳にします。

のまり:看護師の仕事をしている中で、介護は家族だけでは絶対に無理なものだと実感しています。なので、もし今後親に介護が必要になった場合は、自分自身や家庭内だけで抱え込まないようにしたいな、とは思っています。

親の介護が苦しみになっている方は私も看護師の仕事の中で、接することが何度もありました。“自分は無理をしているな”と気づく事が難しいくらい、追い詰められたり視野狭窄(しやきょうさく)になっていたりすることもあります。なかには介護サービスやお金を使うことに、罪悪感や拒否感を感じてしまうご家族もいらっしゃいますが、可能な限りのサービスに頼ってほしいと思います。

取材・文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる