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広い庭がなくても、春はこんなに可愛い。3つのリースで描く、早春の庭

  • 2026.2.19

もうすぐ春。
園芸店の店頭には、プリムラや球根花など、思わず手に取りたくなる可愛い花がずらりと並び始めています。 「家のまわりにも春の花を咲かせたいな」
そう思いながらも、広い庭がないから難しい、とあきらめていませんか。
でも、春の庭は“広さ”がなくてもつくれます。
リースという小さな円の中に花を植え込めば、そこはもうひとつの庭。形そのものがデザインを助けてくれる器だから、初心者でも“ちゃんと可愛い”仕上がりになります。
広い庭がなくても大丈夫。
今年の春は、小さなリースから、ときめく庭づくりを始めてみませんか。

庭を“一周”で描くという発想

リースの器には、始まりも終わりもありません。
視線は自然に円を巡り、花の表情を一周しながら味わいます。

その構図は、どこか庭や花壇を上から眺めたときの景色に似ています。
円の中に季節を閉じ込めることで、小さな空間でも“ひとつの庭”が完成するのです。

今回紹介するのは、ハンギングバスケットの第一人者である武島由美子さんの作品。リースを単なる飾りではなく、「庭を描く器」として捉える視点が印象的。

「円というかたちは、それだけで物語をつくる力を持っています。小さくても、立体的で、視線が自然とぐるりと巡るのがポイント」と武島さん。

リースの器が、初心者でもうまくいく3つの理由

① 360度均等に植える=考えすぎなくていい

通常の寄せ植えや花壇は、横や奥行きに広がりがあります。正面を決め、高低差を考え、前後左右のバランスをとる――意外と頭を使うものです。

寄せ植え
バランスを配慮する寄せ植え。

一方、リースの器は面積が限られているので、基本は一列ぐるっと均等に、同じ調子で回していけばOK。それだけで視線が自然に一周するので、構図で悩むことがありません。

リースの寄せ植え
ぐるっと均等にが基本のリースの寄せ植え。

② 円形は「まとまり」を自動で作る

円のフレームが、柔らかさや安定感、まとまりを自動的に生み出してくれます。多少花の向きがバラついても、問題なし。形そのものがデザインを助けてくれるので、初心者でも安心して楽しく作れます。

③ 早春の花と相性がいい

早春の花は草丈が低く、丸みのあるものが多い季節。リースの形と相性がよく、“ちゃんと可愛い”仕上がりになりやすいのです。

3つのリースが描く、3つの「早春の庭」

武島さんに3つの「早春の庭リース」を解説していただきます。

① 花束のように、ぎゅっと咲く「春の入口」のリース

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

春が来たことが一瞬で伝わる、やわらかな花色をセレクトしました。玄関先やベランダで、椅子に立てかけておけば目線の高さで花束のような華やか春が迎えられますよ。

主役はプリムラ‘エムズセレクション マビリア’。淡いピンクとイエローのグラデーションと、バラのような花形が花束のような存在感を放ちます。同系色のフリル咲きビオラ‘アイクルール’を傍に添えて、やさしい変化を加えました。

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

花を引き立てるのは、ピンクパープルの斑入り葉のキンギョソウ、クリーム色の斑入り葉のタイム、そしてワイヤープランツ。小葉のリーフの色と質感を重ねることで、甘さの中に奥行きを生み出しています。

<植え方のポイント>

同じ草丈のものを揃えて、規則的に配置するのがリースの寄せ植えの基本です。

まず主役のプリムラを3株、リースの中で三角形を描くように配置。その間をビオラ、タイム、キンギョソウの順にリズムよくつないでいきます。

小さく株分けしたワイヤープランツを鉢ふちに植え込み、ふんわりと動きをプラス。タイムはやや内側寄りに、ワイヤープランツは外側寄りに配置すると、器の輪郭がやわらぎ、ナチュラルでやさしい雰囲気になります。

② いろいろな春を重ねる「ガーデンリース」

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

こちらは、ほぼ一株ずつ異なる草花を組み合わせたリース。
花壇の一角をそのまま切り取ったような、にぎやかで自然な春の景色を目指しました。

主役をひとつに絞らず、プリムラ・マラコイデス、パンジー、ハナカンザシ、イベリス、プリムラ・ジュリアン、クリスマスローズ、オキナグサ、ムスカリ、黄花アリッサムと、咲き方も高さも異なる花を重ねています。

規則的に並べる①とは違い、ここでは“庭のリズム”を取り入れます。リースはどこから見ても楽しめますが、ほんの少しだけ高さのリズムを意識すると、より庭らしい奥行きが生まれます。

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

背の高いプリムラ・マラコイデスやクリスマスローズは奥寄りに。
ボリュームのあるハナカンザシやイベリスはサイドへ。
ムスカリやオキナグサは手前に。

こうして高低差をつくることで、小さな器の中に奥行きが生まれます。

これは壁に掛けるリースではなく、置き型を前提にした構成。
上からの視線と横からの視線、どちらも楽しめるよう、高さの違いをあえて生かしています。

<植え方のポイント>

リースは器がデザインを助けてくれますが、庭のルールを少し取り入れてみるとグッと洗練されます。このリースのように異なる草花を使う場合は、「高さ」と「株の密度」を意識して、三角形の立体感が出るようにすると、どの花の顔もきれいに見えます。

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

また、このリースでの配置は、「均等」ではなく「リズム」がポイント。

  • 密な部分(プリムラ・マラコイデスやハナカンザシのボリュームゾーン)
  • 少し抜ける部分(ムスカリやオキナグサのスッキリゾーン)

これがあると庭の一画を凝縮したような自然な景色が生まれます。

③ 余白が春を語る、森の林床のリース

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

早春の森の林床をイメージしたリースです。

春が訪れたばかりの森は、まだ地面が見えていて、花は“点”で咲いている景色です。

だから、このリースではぎゅっと咲かせるのでもなく、多彩な花を重ねるのでもなく、苔の緑をベースに、ムスカリやスノードロップ、ヒナソウをぽつり、ぽつりと配置。
すべてを埋め尽くさず、あえて余白を残すことで、静かな春の空気感をつくっています。

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

中央に置いた鳥の巣は、実際に庭に落ちていたヒヨドリの巣。自然の中にあった素材を合わせてみたら、より森っぽい雰囲気になりました。小枝などでも同じ雰囲気が再現できそうです。

<植え方のポイント>

このリースで大切なのは、「詰めない勇気」。

  • 花は均等に散らすのではなく、少し偏りをつくる
  • 苔や土の面をあえて見せる
  • 草丈は低めを基本にする

春の林床は、まだ隙間の多い世界。
その“未完成さ”が美しさ。

ぐるりと一周すべてを華やかにしなくてもいい。
ぽつぽつと咲く花の間に、空気が流れるように配置するのがコツです。

リースの器での基本の作り方ポイント

① まずは「土台づくり」が8割

リース形寄せ植え
ワイヤーの場合は、麻布を敷き詰めた上にビニールを敷くとナチュラル。

リースの器はバスケットやワイヤー素材のものが多く、あらかじめ土こぼれしないようにビニールがセットされているものが多いです。もしビニールがセットされてない場合は、ご自身でビニールを器に敷き詰めて、土こぼれしないようにしましょう。ビニールには水抜け用の穴をあけるのも忘れずに。

花苗用の培養土を器の1/3〜半分の高さまで入れ、苗を植え込んだらしっかり間に土を詰めていきます。その上から水苔をしっかり敷くと、土こぼれがしにくくなります。リースは縦に使うこともあるので、土がゆるいと崩れやすくなります。

②水やりは“たっぷり・しっかり”

リースは土量が少ないので乾きやすいです。

  • 表面が乾いたら
  • 底から水が流れるまで
  • 全体に行き渡らせる

のが基本。壁掛けにする場合は、水やり後すぐにではなく、水が染み渡ってしばらく経ってから掛けます。

リースの器の失敗しないコツQ&A

Q1. 色は何色まで?

A. 3色程度にまとめると失敗しにくいです。同系色+差し色1色が基本。

Q2. 壁掛けと置き型、初心者はどちらがいい?

A. まずは置き型がおすすめ。水やりや管理がしやすく、失敗しにくいです。

Q3. 水やりは難しい?

A. 土量が少ないので乾きやすいのがリースの特徴。表面が乾いたら、全体にしっかり水を行き渡らせましょう。ハス口のあるジョウロで柔らかく水やりをすると、土こぼれがしにくいです。

Q4. 肥料はどうする?

A. 植え込む際の土に、元肥を規定量混ぜて植え込みます。暖かくなってくると、株が生育してくるので、定期的に液肥を与えると花が長もちします。

Q5. うまくまとまらなかったら?

A. 大丈夫です。円の形が自然にまとめてくれます。少し引いて全体を見ると、意外と“ちゃんと可愛い”はずですよ。

庭は、広さではなく“描き方”

春のリース寄せ植え
GardenStory (ガーデンストーリー)

庭というと、広いスペースや立派な花壇を思い浮かべがちです。
でも本当は、庭は広さで決まるものではありません。

円という小さな器の中にも、規則的に咲く春も、にぎやかな春も、静かな林床の春も描くことができます。

リースは、花を飾るものではなく、“庭を描くキャンバス”なのかもしれません。

広い庭がなくても大丈夫。今年は、リースという円の中に、あなたの春を描いてみませんか。

Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 武島由美子
GardenStory (ガーデンストーリー)

愛知県Anne’s Garden主宰。一般社団法人日本ハンギングバスケット協会理事。日本フラワーデザイナー協会(NFD)1級フラワーデザイナー。個人邸や店舗、ショーガーデンなどのガーデンプランニングや植栽管理のほか、コンテナガーデンスクールや日本ハンギングバスケット協会認定試験スクール、フラワーアレンジメントスクールなど複数の教室を主催。地植えの庭からコンテナ、ハンギング、フラワーアレンジメントまで、屋内外あらゆるシーンを花で彩る美しい暮らしを提案。


まとめ・写真 / 3and garden
GardenStory (ガーデンストーリー)

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!

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