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「とんでもなく大好きなドラマ」「大傑作」冒頭から炸裂する“NHKクオリティ”…7年経てもなお “称賛”止まない秀逸作

  • 2026.2.16

ドラマの中には、冒頭わずか数分で「これは名作だ」と感じさせる作品があります。世界観の見せ方、テンポ、空気感がかみ合った瞬間、視聴者は自然と物語へ引き込まれます。

今回は、ドラマ『スローな武士にしてくれ〜京都 撮影所ラプソディー〜』(NHK BSプレミアム)をご紹介します。ハイテク機材を持ち込むNHK班と、昔気質の撮影所スタッフ。ぶつかり合う現場で、前代未聞の時代劇は完成するのでしょうか――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに制作された内容です
※一部、ストーリーに関するネタバレを含みます

NHKドラマ『スローな武士にしてくれ~京都 撮影所ラプソディー~』

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フジ月9『ラヴソング』制作発表会に出席した水野美紀(C)SANKEI
  • 作品名(放送局): ドラマ『スローな武士にしてくれ~京都 撮影所ラプソディー~』(NHK BSプレミアム)
  • 放送日: 2019年3月23日
  • 出演: 内野聖陽、柄本佑、中村獅童、水野美紀 ほか

あらすじ

舞台は、京都の歴史ある撮影所です。ある日NHKから「最新技術を使って新番組を撮ってほしい」という依頼が舞い込み、ハイテク機材とともに田所(柄本佑)が現場に派遣されてきます。時代劇マニアの田所は、到着するなり「池田屋事件をドラマにしたい」と言い出し、撮影所のスタッフを仰天させます。ただ、新技術を使う撮影はトラブルの火種になりがちです。売れっ子俳優を起用すれば現場が回らなくなる恐れもあります。そこで撮影所長は、斬られ役専門の大部屋俳優・シゲちゃん(内野聖陽)を主役に抜てきし、過酷なアクションシーンに挑む方針を決めます。しかし撮影するのは、ハイテクとは無縁の高齢スタッフが中心です。現場では難題やトラブルが次々に噴き出し、思うように撮影は進みません。そしてクライマックスでは、ハイスピードカメラとワイヤーアクションを使い、前代未聞の「池田屋階段落ち」に挑戦します。

シゲちゃんと撮影所の仲間たちは、このハイテクの試練を乗り越えられるのでしょうか――。なお本作では時代劇スター役として里見浩太朗さんが本人役で登場することでも話題を呼びました。

「開始5分で名作の予感」導入から魅せる完成度

ドラマ『スローな武士にしてくれ~京都 撮影所ラプソディー~』は、 京都の撮影所を舞台に、時代劇づくりの現場をエンタメとして描いた作品です。 物語の軸は、「最新技術で効率化したいNHK班」と、「職人芸で現場を回してきた撮影所側」のすれ違いです。対立を説明で済ませず、撮影の手順を確認し合うやり取りや現場の動きで見せていくため、序盤から"現場の物語"だと伝わり「開始5分で名作の予感」と視聴者に感じさせます。

本作は、時代劇の見どころを最新の映像技術そのものとして打ち出しています。

最先端のハイスピードカメラで撮るスーパースロー360度撮影で見せるワンカット13人斬りワイヤーアクションの「池田屋階段落ち」といった映像技術が作品の迫力とリアリティを押し上げ、視聴者に迫ります。映像の見せ場が強いため役者の芝居とのバランスが懸念されるところですが、本作は現場の会話→段取り→見せ場と工程を丁寧に描いているため、技術が芝居を邪魔することなく、双方が調和しています。

なお、本作は『第74回文化庁芸術祭賞 テレビ・ドラマ部門』優秀賞を受賞する快挙を遂げています。最先端のデジタル映像技術を、昔ながらの撮影所の現場に持ち込んだときの戸惑いと試行錯誤を、ユーモアを交えて描いた点も評価のポイントです。

技術デモとしての見せ場も押さえつつ、根底にはものづくりへの情熱を肯定する視点があります。
さらに、本作は映画『蒲田行進曲』や過去の時代劇名作へのオマージュが作品全体にちりばめられていることでも知られています。

水野美紀さんの快演が支える現場のリアリティ

水野美紀さんが演じる村田富士子は、大部屋俳優・シゲちゃん(村田茂雄)の妻で、元アクション女優という役柄です。撮影所側の人間として、新しい機材や方針に揺れる現場を受け止め、空気や肌感を自然に伝えます。混乱を生活者の感覚で受け止めてくれるため、物語にリアルさが出ます。視聴者も富士子の反応を通して、現場の距離感や空気の重さをつかみやすくなります。

水野美紀さんは、ドラマ『ビューティフルライフ〜ふたりでいた日々〜』(TBS系)で「第24回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」助演女優賞を受賞した実績もあり、役に合わせて表情や間合いを変え、作品の雰囲気を支える俳優として知られています。

舞台でも活動しており、演劇ユニット「プロペラ犬」を共同主宰で設立したことがプロフィールに記載されています。舞台で鍛えた間合いと反応の速さがあるからこそ、本作でも撮影所の緊張や温度が伝わってきます。SNSでは、「保存して見返すほど好き」「水野美紀さんがキレッキレでかっこいい」といった、作品と演技を絶賛する声が見られます。また、NHKオンデマンドで視聴し、「久しぶりに見ても良かった」「とんでもなく大好きなドラマ」「NHKの大傑作」という反応も。さらに「再放送すべき」「しつこいけど何度でもいう」など再放送を熱望する声も見られ、放送後もなお本作への声は相次いでいます。

序盤から一気に立ち上がる現場の空気と、そこに乗る熱量。“開始5分で名作の香り”が漂う理由を、ぜひ冒頭から確かめてみてください。


※記事は執筆時点の情報です