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科学的に「エッチな生配信をカップルで見る現象」を調査した研究結果が発表

  • 2026.2.4
科学的に「エッチな生配信をカップルで見る現象」を調査した研究結果が発表
科学的に「エッチな生配信をカップルで見る現象」を調査した研究結果が発表 / Credit:川勝康弘

恋人といっしょに「エッチな生配信」を見る──。

そんな行動をするカップルは、ある大規模調査ではおよそ2パーセントしかいませんでした。

かなりレアな少数派です。

ところが、アメリカのインディアナ大学(Indiana University, IU)で行われた研究によって、この少数派に対して追加で「正直どう感じた?」と聞いてみる調査が行われ、意外な事実が明らかになりました。

ポルノやアダルトコンテンツは「浮気の入口」「関係を壊す原因」として語られがちですが、エッチな生配信を一緒に視聴すると答えたカップルでは、「関係が悪くなった」と答えた人はごく少数で、「前より性の話がしやすくなった」「相手の好みが分かった」「関係全体にプラスの効果があった」と報告する人が目立ったのです。

さらに研究では「一緒に見る派」にあたるカップルたちは、一度きりではなく何度も一緒に見ている場合が多く、なかには2人で20回以上視聴しているヘビーユーザーもいることが示されています。

なぜ一部のカップルは、あえてエッチな生配信を一緒に見ることを好むのでしょうか?

研究内容の詳細は『Journal of Social and Personal Relationships』にて発表されました。

目次

  • 心理学で「エッチな生配信を2人で見る現象」を調べてみた
  • エッチな生配信をカップルで見る人々に何が起きたか?

心理学で「エッチな生配信を2人で見る現象」を調べてみた

心理学で「エッチな生配信を2人で見る現象」を調べてみた
心理学で「エッチな生配信を2人で見る現象」を調べてみた / Credit:川勝康弘

ネットの普及により、現在多くの人々が配信者と意思疎通ができる「生配信」を見るようになっています。

ですがそんな生配信の中には「エロティック」なものも存在します。

昔ながらのアダルト動画と違い、生配信では画面の向こう側にはライブで出演している人がいて、視聴者はテキストチャットで話しかけたり、投げ銭のようなチップを送ったりできます。

ある程度ならリクエストもできるので、「ただ眺めるだけの映像」ではなく、「ゆるく会話できる相手がいる場所」に近い性質を持っています。

これまでの性科学分野などでの調査では、アメリカの成人の18%がこうした「エッチな生配信(Camsite)」を使ったことがあることが報告されています。

一方、これまで「ポルノとカップル」の関係を調べた多くの研究は、「一人でこっそりポルノを見る」ことを前提にしてきました。

たとえば、男性がひそかにポルノを大量に視聴していると、パートナーとの満足度が低くなる傾向がある、と報告する研究も少なくありません。

そこでは、ポルノはしばしば「2人の関係の外側でひそかに使われるもの」「場合によっては関係をむしばむもの」として扱われてきたのです。

しかし、ここ十数年で少し流れが変わり始めています。

恋人と一緒にポルノを見る「共有視聴」を取り上げた研究では、2人で見る場合には、性について話しやすくなったり、お互いの好みを知るきっかけになったりする、という報告も出てきました。

ただし、その多くは録画された動画やDVDなどを想定したもので、「チャットで画面の相手と意思疎通もできる生配信を、2人でどう使っているか」に着目した研究はほとんどありませんでした。

そこで今回研究者たちは「エッチな生配信を、恋人同士で一緒に視聴すると、関係にどんな影響があるか?」を調べることにしました。

「なぜそこを調べた!」とツッコミの声を上げそうになる人もいるでしょうが、少し待ってください。

心理学では「自己拡張モデル」と呼ばれる考え方があります。

これは、「人は、恋人と一緒に新しくて少しドキドキする体験をすると、自分の世界が広がり、関係への満足度も上がりやすいと考えられています」という考え方です。

初めての旅行に行ったり、一緒にジェットコースターに乗ったりすると、そのカップルの距離がぐっと縮まる、というイメージに近いでしょう。

研究者たちは、「もしそうなら、エッチな生配信という、かなり刺激が強いデジタルの遊び場を2人でのぞきに行くことも、“一緒に未知の世界を体験する”行為の一つと見なせるのではないか」と考えました。

エッチな生配信をカップルで見る人々に何が起きたか?

エッチな生配信をカップルで見る人々に何が起きたか?
エッチな生配信をカップルで見る人々に何が起きたか? / Credit:川勝康弘

心理学の自己拡張モデルは「カップルでエッチな生配信を見る場合」にも当てはまるのか?

この大いなる謎を解明するため研究者たちは海外の大手サービス会社の利用者5000人以上を対象にアンケートを行い、恋人や配偶者などのパートナーがいて、なおかつ自分がカムサイトを利用していることを相手も知っている人を探しました。

すると、5000人超の中からその条件を満たす312人が見つかりました。

さらにその中で「一緒に見たことがある」と答えたのはだいたい3分の1(107人)であることもわかりました。

次に研究者たちはこの約107人の「精鋭」たちに対して「何回くらい一緒に見ましたか?」という質問を行いました。

すると半分以上が「複数回」と答えていました。

さらに、その中の四分の一くらいは、「2人で20回以上見た」と答えています。

最初の一歩を踏み出すカップルは少ないのに、いざやってみた人たちの中には、かなりの頻度でリピートしているグループがいたわけです。

では、なぜそんなことをするのでしょうか?

動機をたずねる質問に対して、いちばん多く挙がった答えは、「関係にスパイスを加えたかった」「新しいことを試したかった」というものでした。

長く付き合っていると、どうしても日々の生活がルーティンになりがちです。

そこで、ふだんとは違う刺激を一緒に味わうことで、マンネリを破りたいという気持ちが見えます。

ほかにも、「特定の性的なファンタジーを安心して試してみたかった」「単純に好奇心やエンタメとして楽しみたかった」といった理由が挙がりました。

「相手の趣味や限界ラインを知りたかった」という声もあり、「自分の頭の中だけで想像するのではなく、画面を見ながら話すことで、具体的にすり合わせをしたかった」というニュアンスがにじみます。

さらに研究者たちは「関係への影響」をたずねる各種の質問も行いYESと答えた割合を調べると

関係全体が前より良くなった:24.3%
性についての話しやすくなった:37.4%
感情的により近く感じるようになった:20.6%
相手の性的な好みや興味が分かるようになった:28.0%
性に関する気まずさが減った:15.0%
特に変化はない:27.1%
関係が悪くなった:4.7%

という結果になりました。

また結果を総合すると、全体の約7割が“何らかのポジティブな影響”を報告していていることがわかりました。

このことからエッチな生配信を一緒に見る「文化」のあるカップルにおいて、同時視聴は関係性にプラスになる傾向が強いことがわかります。

興味深いのは、「またやりたいか」という質問への答えです。

共有視聴を経験した人たちのうち、64パーセントは「またパートナーと一緒にカムサイトを使う可能性が高い」と答えています。

一度やってみて「これは2度とごめんだ」と感じた人ばかりであれば、この数字にはならないでしょう。

ここでポイントなのは、2人がじっと見ているのは「画面の向こう側の人」なのに、そこで起きている心理的な変化は「こちら側の2人の関係」に返ってきている、という点です。

さきに出てきた自己拡張モデルのことばで言い直すと、人は恋人といっしょに新しくて少しチャレンジングな体験をすると、「自分の世界」と「2人の世界」が広がり、そのぶん関係にワクワク感や親密さを感じやすくなると考えます。

エッチな生配信を一緒に見ることは、単に性的なコンテンツを消費するだけでなく、「2人で未知の世界をのぞき込み、自分たちの関係を少し作り替えていく」ための舞台としても機能しているのかもしれません。

元論文

Connected, online and off: Romantic partnered experiences on erotic webcam sites
https://doi.org/10.1177/02654075251392288

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

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