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有人宇宙飛行、ロケット…… 日本の宇宙開発、最新トピック【1】

  • 2026.2.2

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第454回)

早いもので2月になりました。1月は政治、経済と様々なニュースであっという間に過ぎていきました。政治の世界はまさに進行中の状態ですが、一方で、宇宙開発の分野もさまざまな動きがありました。小欄では新年に入っての最新トピックをシリーズでお伝えしていきます。

諏訪理宇宙飛行士

■将来を見据えて……、きりっとした表情の次世代宇宙飛行士の姿

新年の「初荷」とも言えるうれしいニュースが、諏訪理宇宙飛行士の宇宙長期滞在決定でした。滞在は来年2027年ごろの予定です。諏訪さんはおととし2024年10月、米田あゆさんとともにJAXA宇宙飛行士に認定されました。直接会うのはそれ以来ですが、この日の記者会見に姿を見せた諏訪さんは、一段と精悍できりっとした表情に見えました。

「素晴らしいプログラムの一翼の小さな貢献をする機会を与えていただいたこと、本当に光栄で幸せに思っている」

諏訪さんは開口一番、心境を語りました。宇宙長期滞在の話が諏訪さんに来たのは昨年暮れ。「うれしい」と同時に「これから頑張っていかないといけない」という気持ちも新たにしたと言います。家族の反応を聞かれると、「娘は『いっちゃうの?』と、ちょっと微妙な反応をした」そうで、表情からは「家族思い」の諏訪さんが垣間見えました。

記者会見場に入る諏訪理宇宙飛行士

宇宙飛行士“同期”の米田あゆさんとは、アメリカ・ジョンソン宇宙センターで同じ部屋で働いているそうで、米田さんからは「楽しみだね」の一言。初飛行までの間、これからも相談しながらということになりそうです。諏訪さんと米田さんはひと回り以上の年齢差がありますが、以前インタビューをした先輩宇宙飛行士の大西卓哉さんによれば、米田さんが諏訪さんを「すわっち」と呼ぶ仲だそうです。

一方、国際宇宙ステーションは2030年の引退が予定されています。残された時間、自身に課せられた役割について、諏訪さんは次のように話します。

「いままで出してきた科学的成果に磨きをかける時期に来ている。次をにらんで地球低軌道の商業利用をどうつなげていくか、どう民間の需要をつくっていくのか、その後の探査の時代、月や火星に向けてどのような基礎を築いて次の世代の宇宙開発につなげていくか意識しながらミッションをやっていく必要がある」

諏訪さんは一段と精悍で、きりっとした表情に見えた

諏訪さんと米田さんは将来の月面探査を見据えた宇宙飛行士の採用でした。関係者によれば、やはり「いきなり月」となる前に、国際宇宙ステーション滞在の経験が必要と考えているようです。JAXAでは残された期間内に米田さんのステーション滞在も目指します。

諏訪さんは「まずはISSのミッションを成功させることに全力を注ぐ」と話した上で、その先…月面探査についてはチームプレイの大切さを強調しました。

「月へのミッションは一段と難しいミッションになると思う。それを成功させるのは1人の宇宙飛行士の責任というより団体戦だと思う。しっかりと経験を積んで団体戦の一員として貢献できるように頑張っていかなくてはいけないという思いを新たにしている。自分がリタイアする前に、JAXAの宇宙飛行士が月面に立つ日を夢見て頑張りたい」

油井亀美也宇宙飛行士搭乗のクルードラゴン着陸の瞬間(NASAテレビから)

■訓練レポートから感じる諏訪宇宙飛行士の“人柄”

諏訪さんは1年3ヶ月ほどの間、様々な訓練を行ってきましたが、その中で、イタリアで実施された洞窟の訓練があります。JAXAのサイトにある諏訪さんのレポートには、「非日常が日常になる場所で“宇宙の作法”を学ぶ」と記されています。

日光が届かず、灯りを消せば漆黒の世界。そこで仲間の飛行士とともに3泊過ごします。食事やトイレもそこで済ませながら、命綱を使った移動など様々な訓練に臨みました。諏訪さんにとって、それらは宇宙ステーションの中や、船外活動の訓練にも通じ、「洞窟はもうひとつの宇宙船」と感じたそうです。そして、洞窟訓練を終えた朝、諏訪さんは洞窟に「まだまだいたい」という気持ちになったということです。日常の中に築かれる日常、その設定に心が惹かれたと記されていました。まさに閉鎖環境、極限の限られた環境で人がどう対応するか、どう楽しめるのかが、宇宙飛行士に求められる資質なのかもしれません。

先輩宇宙飛行士の金井宣茂さんからは「キャラをつけた方がいいよ」とアドバイスされた諏訪さん、そのキャラクターづくりはまだ「迷走中」だそうですが、「極限状態を楽しめる人」……、これこそが諏訪さんのキャラではないかと思います。

洋上に浮かぶクルードラゴン(NASAテレビから)

■前直しになった油井亀美也宇宙飛行士の帰還

宇宙飛行士については先月、こんな出来事もありました。日本時間の1月15日、宇宙飛行士の油井亀美也さんが地球に帰還しました。昨年8月初旬から国際宇宙ステーションに長期滞在し、先に滞在中だった大西卓哉さんとの“ツーショット”が実現、今月(2月)まで滞在する予定でしたが、同僚の飛行士に健康上の問題が発生したため、帰還を急きょ早めたものです。同僚飛行士の詳細は明らかになっていませんが、容体は安定しているということです。油井さんも健康面に問題はなく、帰還後、X=旧Twitterで「無事に帰ってきました。元気にやってまーす」と明るく話していました。

その後も油井さんはXを頻繁に更新し、情報発信を続けています。帰還後初めて日本のカップ麺も食べたそうです。また、睡眠の質は宇宙の方がよいとか。長く寝ていても、背中が痛くならず、寝返りの必要もなし、油井さんにとって「無重力は最高のマットレス」だそうです。

帰還した油井さん 元気な様子を見せた(NASAテレビから)

地球上でもさまざまな「不確実性」があふれていますが、それは宇宙でも例外ではありません。NASA(アメリカ航空宇宙局)によりますと、このような健康問題によるスケジュール変更は3年に1回程度はあるものと想定されていたそうですが、実際に発生したのは国際宇宙ステーションに飛行士が常駐するようになって以来初めてということです。宇宙飛行士の健康管理については今後見直しの必要があるかもしれませんが、逆に言えば、四半世紀あまりたって初めてのケース、これまで飛行士の健康管理がいかに緻密であったか、その証なのかもしれません。

(【2】に続く)

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