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親からもらった土地が「災害レッドゾーン」であることが判明…譲り受けた人を待っていた“驚きの末路”【お金のプロが解説】

  • 2026.2.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

親から譲り受けた土地に家を建てようとしているAさん(仮名)。ところが、そこでの新築が住宅ローン減税の対象外になるとしたら?

令和8年度税制改正大綱では、住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン減税)の期限が5年延長され、適用条件の変更も示されました。
省エネ住宅、子育て世帯に手厚くなった一方、2028年(令和10年)以降に入居する場合、災害レッドゾーンでの新築住宅は減税対象外とされます。想定されているのは、土砂災害特別警戒区域などです。

今すぐ建てない、2028年まで入居できない場合、Aさんはどう判断すればよいのでしょう。

「災害レッドゾーン」とは

国土交通省によると、都市計画関連規制において「災害レッドゾーン」とは、以下の区域を指します。

  • 土砂災害特別警戒区域
  • 地すべり防止区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • 浸水被害防止区域
  • 災害危険区域(都市再生特別措置法に基づく勧告に従わないものとして公表の対象となった場合に限る)

都道府県が「レッドゾーン」と言う場合は、これらの中でも「土砂災害特別警戒区域」を指すことが一般的です。これは、「土砂災害防止法」に基づき知事が指定する「(前略)急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域(後略)」のことで、住宅の建築や開発行為などに規制があります。

減税をとるか、土地代をとるか

新築住宅に住宅ローン減税を適用すると、最長13年間、年末のローン残高の0.7%の金額が毎年の所得税額から控除(減額)されます(2026年現在)。

たとえば借入額3,000万円、金利年2.0%、35年返済と仮定すると、トータルでおよそ240万~250万円の減額になります。住宅ローン減税の対象外となれば、このメリットがなくなる計算です。

一方で、減税対象となるエリアに土地を新たに購入する場合、地方都市でも1,500万~2,000万円程度の費用がかかるケースは珍しくありません。単純に比較すると、減税が受けられなくても土地代が不要なほうが家計負担は軽くなるでしょう。

住宅ローン減税より重い?総コストを考慮する

レッドゾーンで家を建てる場合、住宅ローン減税を失うこと以外にも考慮すべきコストがあります。

火災保険・地震保険料
保険料が割高になる、場合によっては土砂災害が補償対象外とされる

建築にかかる追加費用
住宅の新築には厳しい構造規制があり、数百万円単位の費用が発生する

売却時の資産価値
売れたとしても安価にしかならない

「住宅ローン減税か土地代か」という単純な構図ではなく、総コストで考える視点が必要です。

それでも親の土地に建てる選択が合理的な場合も

一方で、土地取得費がかからないことのメリットは、やはり大きいものです。

さらに、自治体によっては、土砂崩れに耐えられる強固な建物を建築する場合に一部費用を補助する制度を設けている場合があります。これを利用すれば、費用の軽減が図れます。

減税額だけでは判断できない

災害リスクを受け入れる、または、親から譲り受けた土地を放棄する。どちらにしても、Aさんにとって、経済合理性だけでは測れない重い決断であることは間違いありません。

迷う場合は、制度改正の趣旨を踏まえたうえで、住宅ローン減税以外のメリット・デメリットを含めた冷静なシミュレーションをすることが大切です。


参考:
国土交通省「住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!~既存住宅、コンパクトな住宅への支援が拡充されます~」
国税庁「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
国土交通省「令和7年都道府県地価調査」
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)

ライター:八木満里子
元銀行員。証券アナリスト、日本FP協会認定AFP、消費生活アドバイザー。資格と実務経験を活かし独立、金融分野を中心に執筆活動を行う。制度やお金の話題を「自分ごと」にする解説を心がけている。