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今期の“2大考察ドラマ”主演コンビ、6年前の日曜劇場で共演していた! “実力派俳優たち”の確固たる代表作

  • 2026.2.24

今期話題の2大ミステリードラマ『再会~Silent Truth~』と『リブート』。『再会』は竹内涼真、『リブート』は鈴木亮平がそれぞれ主演を務めている。どちらも考察要素の多い作品で、毎週目の離せない展開が続いている。

そんな2人が過去に共演したミステリードラマが2020年に放送された日曜劇場『テセウスの船』だ。父親と息子が31年の時空を超えて冤罪事件と家族の絆に向き合う感動の物語であり、『再会』のように長い時を挟んで展開し、『リブート』のように無実の証明のために行動するという点で、今期の2作品と共通点があって興味深い。

タイムパラドックスというSF要素を取り入れた本作は、二転三転するスリリングなストーリーと、家族の絆を力強く描く感動を併せ持った、泣けるミステリーの決定版だ。

父の無実を晴らすために時空を超えて戦う青年

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竹内涼真 (C)SANKEI

主人公の心(竹内涼真)は、自分が生まれる前に父が21人の小学生を殺害した犯人として死刑判決を受けたことで、家族とともに世間から身を隠すように生きてきた。父親はもういないと自分に言い聞かせてきたが、妻の田村由紀(上野樹里)から父親の無実を信じるよう促され、真相を確かめる決意をする。
しかし、その矢先に突如として事件発生直前の31年前にタイムスリップしてしまう。そこで出会った父・文吾(鈴木亮平)の本来の温かい姿に触れた心は、事件を食い止め、失われた家族の笑顔を取り戻すため、“過去を変える”というタブーに挑む覚悟を決める。

父の無実を信じた心は、未来を知っているというアドバンテージを活かして事件を未然に防ぎ、真犯人を捕まえようと奔走する。しかし、彼が過去に介入したことで出来事が少しずつ変化し、事態は予測もつかない方向へと転がっていく。過去を変えるたびに予期せぬ事態が引き起こされ、優位に立っていたはずの心は逆に追い詰められていく。彼の介入が、時に未来をより悪い方向へ変えてしまうなど、先の読めない展開から目が離せない。

しかし、それでも変わらないものがあった。それは、冤罪で死刑囚となった父・文吾の家族への深い愛情だ。「自分はどうなってもいいから家族だけは幸せになってほしい」と常に願う彼の姿に胸を打たれ、心はくじけそうになりながらも、事件の真相究明をあきらめずに立ち向かっていく。
“テセウスの船”とは、ギリシャ神話に登場するパラドックス(逆説)である。“英雄テセウスの船を後世に残すため、朽ちた部分を新品に交換していった結果、それは果たして元の船と同じものだと言えるのか”。本作はこの問いを、“過去が変わっても、未来の家族は同じと言えるのか”という命題に置き換え、加害者家族という重い十字架を背負った主人公の人生に落とし込んでいる。

物語の最大の特徴は、タイムパラドックスを通してこの“テセウスの船”という命題を登場人物たちに突きつける点にある。過去のピースが入れ替わり、未来が全く違う形に歪んでしまったとしても、同じ人間と言えるのか。同じ家族と言えるのか。真犯人をめぐる二転三転する真相にハラハラさせられながらも、どれだけ時間が改変されてもそこに見え隠れする“変わらぬ人の絆や愛情”が、圧倒的な感動を呼ぶのだ。

竹内涼真の実直な情熱と鈴木亮平の父親像

息もつかせぬスリリングな展開に加え、冤罪事件の加害者家族としての苦しみや、時を超えた家族愛を謳いあげる本作。今期を沸かせている竹内涼真と鈴木亮平による、魂のぶつかり合いが見どころだ。単なる“考察ミステリー”にとどまらず、家族の在り方を深く問いかける、心震えるヒューマンドラマでもある。

竹内涼真は、本作で自身の確固たる代表作を生み出した。あきらめずに立ち向かう実直な演技は必見だ。殺人犯の息子として日陰を歩いてきた彼が見せる、父の無実を信じ抜いて真相を追う果てしない情熱。そして何よりも“大切な人を守りたい”という真っ直ぐで強い気持ちが、画面を通して痛いほどに胸を打つ。

そして、なんといっても鈴木亮平の存在感が物語に深い説得力を与えている。心優しく正義感に溢れる警察官であり、不器用ながらも家族を愛する父親・文吾。未来を知る心から見れば、最初はどこか底知れぬ怖さや疑いを感じさせる存在だが、物語が進むにつれて彼の揺るぎない本心が分かってくる。その二面性を見事に演じ切る鈴木の表現力は圧巻だ。

この実力派俳優2人の共演は、初めは「そんなことがあるはずがない」と思うようなタイムスリップの物語であっても、視聴者をグイグイとその世界へ引き込んでいく力を持っている。

また主演の2人だけでなく、物語を動かすキーパーソンとなる妻・由紀を演じる上野樹里の存在も大きい。彼女は、心に父親と向き合うきっかけを与え、一度現代に戻ってなす術を失った彼を救い出す重要な役割を果たしている。さらに、誰もが怪しく見えてくる村人たちの中で、麻生祐未の怪演が作品の要所に不気味な影を落とし、ミステリーとしての純度を高めている。

『テセウスの船』は、ただ謎解きを楽しむだけではない。長い時間を命がけで行き来することでしか描けなかった、家族の絆の強さと愛情の深さを、観る者の心に深く刻み込む作品だ。絶望の淵でも希望を捨てなかった人間の強さに触れたとき、深い感動の涙がこみ上げてくるはずだ。


ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi