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朝ドラに“2作連続出演”のネクストブレイク俳優「最高」「すでに有望株」主役を“食わない”静かな存在感

  • 2026.2.27
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『ばけばけ』第20週(C)NHK

朝ドラ『ばけばけ』熊本編で、ひときわ静かな存在感を放つ正木清一。その役を演じる日高由起刀は、いま“ネクストブレイク筆頭”と評される若手俳優の一人である。モデルとして活躍していた日高は、演技未経験から映画主演、そして朝ドラ2作連続出演を果たした。派手な自己主張はなく、場の空気を変える力で信頼を積み上げてきたといえる。その歩みと現在地を、正木という役柄から読み解いてみたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

熊本編の若き探偵?

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『ばけばけ』第20週(C)NHK

朝ドラ『ばけばけ』熊本編にも引き続き登場している正木清一は、錦織友一(吉沢亮)の弟・丈(杉田雷麟)とともにヘブン(トミー・バストウ)たちと暮らす居候の一人。SNS上でも「この組み合わせ最高」「すでに有望株」と話題の二人、確かに彼らが画面にいるだけで空気が変わるようだ。秀才として勉学に励む、まさに大盤石の再来。

熊本編のスタートを彩った焼き網失踪事件での“本気の推理”は、正木という人間の一面が知れる場面だった。冗談のはずだった犯人探しを、誰よりも真剣に考え、論理を組み立てる。結果としてズレてはいるのだが、その真面目さがなんとも可笑しい。

正木は“笑わせる役”ではないはずなのに、それでも自然に笑いに繋がるのは、演じる日高由起刀のバランス感覚によるものかもしれない。物語が停滞しかける場面で、正木は触媒のように作用する。前に出すぎず、しかし確実に場を動かしている。

2作連続朝ドラ出演が示す信頼

日高は、演技未経験ながら映画『HAPPYEND』で主演に抜擢され俳優デビュー。モデル活動から芝居へと活動の場を広げ、着実にキャリアを重ね始めている。

なんといっても、朝ドラ2作連続出演という実績は外せない。前作『あんぱん』に続き、『ばけばけ』でも重要なポジションを担う日高にとって、朝ドラは撮影期間も長く、現場の密度も高いだろう。そんな場にふたたび声がかかるということは、信頼を勝ち取った証にほかならない。

ネクストブレイクの筆頭と評されるのも頷ける活躍ぶりだが、日高の強みは爆発的なインパクトというよりは、“任せられる安定感”にこそあるのではないか。

長台詞でも安心感があり、掛け合いでは相手の芝居をきちんと受け止める。自分が目立とうとするのではなく、あくまで物語としてシーンを成立させようとする姿勢は、作品を支える俳優としての数多くの資質を感じさせる。

主役を“食わない”存在感

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『ばけばけ』第20週(C)NHK

そして日高の芝居には、過剰な誇張がない。声を張り上げなくても、立ち姿や視線に実直さが滲む。正木という“ひたむきな青年”と、日高自身の持つまっすぐな空気感が自然に重なる。やはり、モデルとしての見せ方を心得ているからだろうか。

以前出演していたドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』で演じた鷹野良則もまた、生徒会長という、作品の軸を担う役どころだった。ほかにも若手有望株が並ぶなかで、場を締める役割を果たしていたのが印象的だ。派手さよりも、全体を整える存在感。そこに日高の持ち味がある。

韓国語が堪能で、日韓両国で活動している点も今後の可能性を感じる。国際的な視野を持ちながら、明治期の日本を描く作品で地に足のついた芝居を見せる。その振れ幅は、俳優としての射程の広さを示していると思えてならない。

“ネクストブレイク”という言葉は軽く使われがちだ。しかし日高の場合、単に期待値だけで語られているわけではないだろう。映画主演経験、朝ドラ連続出演、制作陣からの信頼、そして画面越しに伝わる誠実さ。条件は、すでに整っている。

物語の重心を静かに支える正木。主役を食わず、しかし存在感は保ったまま。そのバランスを持つ俳優は、長く芝居界隈に残るだろう。


連続テレビ小説『ばけばけ』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_