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寄生虫は一途だった!「本命の魚」をあえて選んでいると判明

  • 2026.1.22
サヨリヤドリムシはサヨリを選択して寄生している / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

小さな寄生虫に対して、「どんな魚にでも見境なく寄生する存在」というイメージをもっているかもしれません。

しかし、弘前大学と北海道教育大学の研究グループは、魚に寄生する甲殻類の一種が、実は「本命の魚」を選んで寄生していることを実験で明らかにしました。

対象となったのは、サヨリに寄生することで知られるサヨリヤドリムシです。

この研究成果は、2026年1月11日付で学術誌『Parasitology International』にオンライン掲載されました。

目次

  • 寄生虫「サヨリヤドリムシ」は本命の魚を選んでいた
  • サヨリヤドリムシが一途なのは「捕食を避ける」ため

寄生虫「サヨリヤドリムシ」は本命の魚を選んでいた

サヨリヤドリムシは、等脚目ウオノエ科に属する寄生性甲殻類で、主にサヨリのえらの中に寄生して一生を過ごします。

成体になると宿主を変えることはなく、その魚の体に取りついたまま成長し、繁殖します。

つまり、サヨリヤドリムシにとって最初の宿主選びは一度きりで、その成否が生き残れるかどうかを大きく左右します。

ところが自然界では、サヨリヤドリムシの幼生であるマンカが、クロダイやメジナなど、サヨリ以外の魚から見つかる例も知られていました。

この事実から、幼生は魚を選ばず無作為に寄生し、その中で偶然サヨリに取りつけた個体だけが生き残っているのではないか、という可能性も指摘されていました。

一方で、幼生の段階ですでに宿主を見分け、本命であるサヨリを選択している可能性もあります。

そこで研究グループは、水槽を用いた宿主選択実験によって、この問題を直接検証しました。

実験では、サヨリヤドリムシの幼生を水槽に入れ、主要宿主であるサヨリと、非主要宿主であるクロダイ、あるいはメジナを同時に泳がせました。

さらに、クロダイとメジナという非主要宿主同士だけを入れた条件も設定し、幼生がどの魚に寄生するかを詳しく観察しました。

その結果、サヨリが水槽にいる条件では、寄生が起きたほぼすべてのケースで幼生はサヨリを選びました。

一方で、クロダイやメジナへの寄生はごくわずかにとどまりました。

また、非主要宿主同士だけを入れた条件では、寄生自体がほとんど起こりませんでした。

この時点で、サヨリヤドリムシが無作為に寄生しているとは考えにくいことが見えてきます。

より詳しい結果とその意味について、次項で見てみましょう。

サヨリヤドリムシが一途なのは「捕食を避ける」ため

この実験で特に重要だったのは、寄生の成立だけでなく、幼生が捕食されるかどうかも同時に調べられていた点です。

観察の結果、クロダイやメジナは、サヨリヤドリムシの幼生を頻繁に捕食していました。

それに対して、主要宿主であるサヨリが幼生を捕食する場面は、実験を通して一度も確認されませんでした。

この違いは、寄生虫にとって非常に大きな意味を持ちます。

間違った魚に近づくことは、単に寄生できないだけでなく、捕食されて命を落とす危険を伴う行為だからです。

サヨリヤドリムシの幼生にとって、サヨリは安全に寄生でき、成長と繁殖が見込める最適な宿主でした。

一方、非主要宿主の魚は高い捕食リスクを伴う存在です。

このような状況を考えると、幼生がサヨリを積極的に選んでいると考えるのは自然です。

稀に見られる非主要宿主に寄生している例は、幼生が捕食を避けた結果として起きている可能性があります。

この研究は、ウオノエ科の寄生虫で宿主を能動的に選んでいることを実験的に示した、初めての成果です。

寄生虫サヨリヤドリムシは「どんな魚にも見境なく寄生する存在」ではなく、生き残るため、「本命に対して一途」だったのです。

参考文献

寄生虫は“本命の魚”を選ぶ ― ウオノエ類が宿主を見分けていることを水槽実験で証明
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/110683/

元論文

Host preference of an obligate fish parasitic isopod, Mothocya parvostis
https://doi.org/10.1016/j.parint.2026.103233

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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