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【日本の公立美術館初開催】ソル・ルウィットの個展に注目!学芸員が見どころ解説

  • 2026.1.16

作品を生み出すアイデアを重視する試みで、芸術のあり方を転換したソル・ルウィット。
日本の公立美術館では初めての個展を通じて、彼の芸術に通底する思考を読み解きます。

既存の枠組みを再考。新たな可能性を開く

芸術作品ときいて、どのようなものを思い浮かべますか。
才能や技巧に恵まれた芸術家によって創造された絵画や彫刻でしょうか。

いまから50年以上前、アメリカ出身の芸術家ソル・ルウィット(1928―2007)は、そうした従来の理解を見直し、完成した作品よりも、それを生み出すアイデアこそが重要だと考えました。
その思想を象徴するのがウォール・ドローイングです。

この作品は、ルウィットの文章や図面による指示をもとに、別の誰かの手によって、壁に直接描かれます。図版の作品の指示は次のようなもの。

「青色の円は壁の中心を中心とする直径80インチで、赤色の線は円の中心と円周を結ぶ線分の中点から壁の右上方向へ壁の右上角まで描かれ、黄色の線は赤色の線が円周と交わる点から円周と壁の左辺の中点を結ぶ線分を二等分する点まで描かれる」。

この指示に沿っていれば、誰もがルウィットの共同制作者として、いつでも・どこでも作品をつくることができます。
他方で、どれだけ正しく指示を実行しても、描き手の解釈や描かれる環境が異なるため、全く同じ見た目になることはありません。

こうした制作の手法やプロセスは「芸術とは何か」、「作者とは誰か」、「作品は誰のものか」といった多くの問いを投げかけます。

本展のために制作される6点のウォール・ドローイングのほか、立体作品や版画・写真、本の作品を通して、二十世紀後半の芸術を根底から変えたルウィットのアイデアに触れていただけたら幸いです。

教えてくれたのは・・・
東京都現代美術館
学芸員
楠本 愛さん
これまで担当した主な展覧会に『デイヴィッド・ホックニー』(2023年)、『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』(2020年)、『MOTアニュアル2024』(2024年)など。

トップ掲載作品:ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング #283 青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置》初回展示1976年2017年イェール大学美術館ウェストキャンパス・コレクションセンター(コネチカット州ウェストヘイブン)での展示© 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.

『ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー』

場所:東京都現代美術館(東京都)
開催:2025年12月25日~2026年4月2日
開館 : 10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
閉館 :月曜日(2月23日は開館)、2月24日
03-5245-4111

Photo: Kenta Hasegawa

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文/工藤花衣

大人のおしゃれ手帖2026年1月号より抜粋
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大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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