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絶対に見ておきたい!“監修者が教える”「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」見どころ(福岡市美術館)

  • 2026.1.15

現在開催中の『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』の見どころを、スペシャルな方に教えてもらいました!

話題!3月8日まで開催中の「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」(福岡市美術館)

2026年3月8日(日)まで、福岡市中央区大濠公園の「福岡市美術館」で開催中の『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』。

ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、選りすぐりの名品群約150点が福岡市美術館に集結。

私たちの想像を超える高度な文化を作り上げた人々の営みをひも解き、これまで見過ごされてきた「知っているようで知らない事実」から最新技術を使ったピラミッドの研究成果まで、知的探求心を刺激する展示が話題となっています。

「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」(福岡市美術館)メインビジュアル
《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》(部分)前760~前558年頃 ブルックリン博物館蔵 Photo:Brooklyn Museum

見どころを紹介!教えてくれるのは、なんと本展監修の考古学者・河江肖剰氏

今回、『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』の見どころを、本展を監修したエジプト考古学者の河江肖剰氏に伺いました。

ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト 河江先生
画像:ARNE

【河江肖剰(かわえゆきのり)プロフィール】エジプト考古学者/名古屋大学 デジタル人文社会科学研究推進センター教授。1992年から2008年までカイロ在住。カイロ・アメリカン大学エジプト学科卒業。2012年、名古屋大学で歴史学博士号を取得。サッカラの階段ピラミッド、ギザの3大ピラミッドとスフィンクス、アブシールのピラミッド群の3D計測調査、「ピラミッド・タウン」やシンキの小型ピラミッドの発掘など、さまざまな考古学調査に20年以上にわたって従事。2016年、ナショナル・ジオグラフィック協会のエマージング・エクスプローラーに選出される。

1st stage「古代エジプト人の謎を解け!」

―まずは、1st stageの「古代エジプト人の謎を解け!」。5000年前にすでに高度な文明を築いていた古代エジプトの人々の日常生活が垣間見えるコレクションが展示されたゾーンです。

※写真左から、《人型棺の右目》前1539~前30年頃 ブルックリン博物館蔵、《ベス神の顔をかたどった壺》前522~前332年 ブルックリン博物館蔵、《ニカーラーとその家族の像》前2455~前2350年頃 ブルックリン博物館蔵

―このゾーンで、特に注目してほしいところを教えてください。

入り口すぐに、古代エジプトで最も人気のあった職業「書記」の座像や、書記が使っていたペン、メモ帳代わりのオストラコン(陶器や石灰岩の破片)などを展示しています。これらはそれぞれ異なる時代や場所で使われていたもので、時代の垣根を越えて「書記」というテーマに沿って展示しているのはこの特別展ならではです。

書記アメンヘテプ(ネブイリの息子) ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《書記アメンヘテプ(ネブイリの息子)》前1426~前1400年頃

また、古代エジプトの寝室の様子がわかるレリーフや約3500年前の木製の枕などから、古代エジプトの夜の文化がわかるでしょう。

個人的にぜひ見ていただきたいのは、ツタンカーメン王(紀元前1336年頃~紀元前1327年)が王子だった頃、実際に生活をしていた王宮のレリーフです。

王宮の調理場レリーフ ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《王宮の調理場レリーフ》前1353~前1336年頃

左側の丸い枠はパン焼き工房、真ん中の魚のような形はワイン壺です。実際にツタンカーメン王の墓からは30ほどのワイン壺が発見されていて、現代のワインと同じように、何年物で産地はどこか、誰がつくったのかが記されていました。ワインは墓の中だけにある特別な副葬品ではなく、日常的に消費していた嗜好物であることが伺えます。

―日常生活を紹介したゾーンを過ぎると、エジプトの最新調査についてのコーナーです。

ここでは、ピラミッド調査の歴史や、ピラミッドの構造・建造の方法を明らかにするために宇宙線ミューオン(宇宙から降り注ぐ素粒子)を用いての調査を紹介しています。私の発掘道具も展示していますよ。

ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE

2nd Stage「ファラオの実像を解明せよ!」

―次は3000年間にわたる王たちの軌跡を知ることができる2nd Stage「ファラオの実像を解明せよ!」。クフ王やラメセス2世など、先王朝時代からプトレマイオス朝時代まで、3000年の王朝史を通じて活躍した12人の王にまつわるコレクションを紹介し、王の姿と王朝の変遷をたどります。

※写真左から《ネフェレトイティ(ネフェルティティ)王妃のレリーフ》 前1353~前1336年頃 ブルックリン博物館蔵、《ひざまずくペピ1世の小像》前2338~前2298年頃 ブルックリン博物館蔵

注目いただきたいのは、大ピラミッドをつくったクフ王ではないかと言われている王の頭部の像です。

王の頭部 ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《王の頭部》前2650~前2600年頃

現在発見されているものでクフ王だと確定されているのは、アビドスで発見された象牙製の7.3cmほどの座像。この頭部の像がクフ王のものであれば、最大のものとなります。当時はこれほど大きな像はなく、等身大の像としては最古の部類に入ります。

―この頭部の像はどこを見ると“王”だとわかるのでしょうか。

装飾品から王の像を判別します。白冠(しろかん)を身に着けているので王の像であることがわかり、顔の表情を類型学的に美術史的な視点からみると古王国時代初期のものだと推察されます。加えて、冠のタブ(冠横に出ている垂れた部分)が四角くて分厚いことからクフ王ではないかと言われています。

「王の頭部」 ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《王の頭部》前2650~前2600年頃

もう一つ、ツタンカーメンが生きたアマルナ時代も見どころの一つです。多神教から一神教に、そしてまた多神教に戻ったこともあり、エジプトの歴史の中でも特異な時代です。

下の写真のレリーフからは、彼らが唯一神である太陽円盤の神アテンをどのように崇拝していたのかが見てとれます。ツタンカーメンの父親は花束を捧げ、アクエンアテンの娘は、シストラム(古代エジプトの楽器)を持っています。王たちに太陽の光線が降り注ぎ、アテン神が王家に恩恵を与えるシーンが描かれています。

アテン神に物を捧げるアクエンアテン王とその娘のレリーフ ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《アテン神に物を捧げるアクエンアテン王とその娘のレリーフ》前1353~前1336年頃

アクエンアテンが(宗教改革を通じて)多神教から一神教信仰に変えましたが、その後、多神教信仰に戻る時に、アクエンアテンの存在は消されました。(上の写真で)レリーフからノミで王の名前、顔が削られているでしょう。古代エジプトは永遠性を求め、永遠に残るのが重要とされているので、名前や顔を削るというのは死後の罰の中でも最大級の罰なんです。

Final Stage「死後の世界の門をたたけ!」

―最後のゾーンでは、人や動物のミイラをはじめ、美しい副葬品の数々や葬儀のための道具、神々の姿をあらわしたレリーフなど、葬送儀礼に関するアイテムが紹介されています。

※写真左から、《人頭の鳥で表されるバーの護符》 (上)おそらく前305~前30年 ブルックリン博物館蔵、《ネコの棺とミイラ》 前664~前332年 ブルックリン博物館蔵

―このカバの像はなぜ逆さに展示されているのでしょうか。

カバの像 ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《カバの像》(前1938~前1539年頃)

カバはエジプトにおける豊穣の印で、死者の魂を保護する意味で副葬されました。ただ、カバは力の強い動物なので、墓の中で動き回って死者を傷つけないように、あえて足を折って墓に入れたのです。それがわかりやすいように展示しています。

カバの青色は古代エジプト人が人工的につくった色です。当時、青色の着色に用いられたラピスラズリは輸入に頼っていたので、シリカ(石英砂)、酸化銅、石炭などを混ぜて、人工の青色をつくり、展示のような像や皿などに使われました。

ヌン<原初の海>を表した皿 ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《ヌン<原初の海>を表した皿》前1539~前1493年頃 ほか

―技術力が大きく発展した時代だったのですね。

技術力に関しては中王国時代に目覚ましい発展を遂げました。ビーズ細工も、より繊細な加工がなされています。

末期王朝時代になると、副葬品は日常のものから、来世で使う葬送と儀礼にまつわるものに変わりました。

こういったネックレスや腕輪はベス神やタウェレト女神、スカラベが付いていて、身を守る護符として死者とともに埋葬されました。

ベス神とタウェレト女神のペンダントが付いた首飾り ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《ベス神とタウェレト女神のペンダントが付いた首飾り》前1539~前1292年頃

―会場内を進むと、呪文が聞こえてきました。

面白いですよね。古代エジプト語・ヒエログリフの音の再建研究で、筑波大学の宮川創先生が「このように発音されていたのではないか」と音を録ってくれたのです。

現存最古の葬送文書である『ピラミッド・テキスト』の一部抜粋していて、視覚だけではなく、音でもエジプトを楽しんでもらう新しい試みです。

―ミイラが入った棺やミイラづくりで使うカノプス壺も展示されています。

約2500年前の大ピラミッド時代は、巨大な建造物をつくるイノベーションが起こっただけでなく、ミイラづくりのイノベーションが起こった時代でもあります。人間の重要な内臓を抜いてナトロン(天然の塩)に漬け、カノプス壺に入れられました。

(左から、ジャッカルをかたどったもの、ハヤブサをかたどったもの、人間をかたどったもの、ヒヒをかたどったもの)》、いずれも前664~前525年またはそれ以降
《カノプス壺と蓋(左から、ジャッカルをかたどったもの、ハヤブサをかたどったもの、人間をかたどったもの、ヒヒをかたどったもの)》、いずれも前664~前525年またはそれ以降

ただ、このあたりもある種、人間臭くて、ミイラづくりには松竹梅があったんです。きちんとしたミイラは内臓を抜いてナトロンに漬け、時間をかけてつくっていましたが、簡易的に作られる場合はカノプスを用意するだけで内臓をとりませんでした。展示されているカノプス壺は中身が入れられなかったものです。

ミイラの展示ゾーンに進みましょう。今回、ミイラは見せていませんが、カルトナージュ(亜麻布やパピルスを漆喰で固めたミイラを納めたもの)の中には本物のミイラが入っています。見学される方々はよく、「拝みたくなりますね」とおっしゃいます(笑)。

新王国時代につくられた、「家の女主人 ウェレトワハセトの棺と内部のカルトナージュ」を見てみてください。

家の女主人 ウェレトワハセトの棺と内部のカルトナージュ ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《<家の女主人>ウェレトワハセトの棺と内部のカルトナージュ》(部分)前1292~前1190年頃

棺と、その中に納められたマスクでは肌の色が違うのがわかります。通常、男性の肌は褐色に塗られ、女性の肌は白色や黄色に塗られていました。この時代の思想の特色として、女性が来世に行くためには、一旦男性に性を変えて、そこからもう一度女性に戻す必要があると考えられていたため、棺のふたの顔は男性の色で塗られ、中のマスクの顔は女性の色で塗られているんです。

次に「神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ」を見てみましょう。

《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》前760~前558年頃 ブルックリン博物館蔵
《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》前760~前558年頃 ブルックリン博物館蔵

棺に葬送儀礼のレリーフが描かれています。通常は墓に葬送儀礼を描いていましたが、墓をつくるのは高価なので、この時代は棺に描くことも多くありました。末期王朝時代のミイラの特色ですね。

神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《<家の女主人>ウェレトワハセトの棺と内部のカルトナージュ》(部分)前1292~前1190年頃

ローマ時代の「デメトリオスという名の男性の肖像とミイラ」は顔の部分に「ファイユーム・ポートレート」として知られる故人の肖像画が描かれています。誰のミイラなのかわかるようになっているのがローマ時代の特長です。このようにミイラや棺に、時代ごとの特色が表れているんですね。

デメトリオスという名の男性の肖像とミイラ ブルックリン博物館所蔵 古代エジプト
画像:ARNE ※《デメトリオスという名の男性の肖像とミイラ》(部分)後95~後100年

—あらためて、先生にとってのエジプトの魅力とは?

世界中にさまざまな文明がありますが、エジプト文明は遺物が残っているのが最大の魅力です。もの、建造物とも圧倒的に現代まで残っています。この特別展は、これまでエジプトを知らなかった方にも楽しんでいただけるエジプト文明の「入口」。ご覧になった後はぜひ、本物のエジプト文明に触れるべく、エジプトを訪れてほしいです。

ミュージアムグッズや菊池風磨さんの音声ガイドナビにも注目!

本展監修者・河江氏おすすめの見どころ、いかがでしたか? 最後に、「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」のさらなる注目ポイントを2つご紹介します。

まずは大充実のグッズ。スヌーピーたちが本展ならではのビジュアルで登場する「PRANUTSコラボグッズ」の数々や、現地での感動を持ち帰るのにピッタリなユニークなミュージアムグッズ(ちなみにARNE編集部の注目アイテムは写真の「前髪クリップ」)など、ステキなアイテムが揃います。

ブルックリン博物館、特別展 古代エジプト 福岡実行委員会 髪留め
※画像:ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト 福岡実行委員会

2つめは、本展の「音声ガイドナビゲーター」。ガイドは「通常版」(貸出料金650円)、「特別版」(同750円)の2種類から選べ、「特別版」のナビゲーターを務めているのが、なんと菊池風磨さんなんです! 菊池さんと一緒に鑑賞しているような気分が楽しめそうですね。

魅力盛りだくさんの『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』、ぜひ体感しに出かけてみてください。(インタビュー・撮影/奥永智絵<ホクレア社>、構成/ARNE編集部)

<「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」概要>
会期:2025年12⽉13⽇(土)〜2026年3⽉8⽇(日)
時間:9:30〜17:30(入館は30分前まで)
会場:福岡市美術館 特別展示室(福岡県福岡市中央区大濠公園1-6)
休館日:毎週月曜日 ※2月23日(月・祝)は開館し、2月24日(火)は休館
観覧料:一般2,000円(団体1,800円)、高校生・大学生1,500円(同1,300円)、小学生・中学生1,000円(同800円)
※ 団体は20名以上。学生の方は入場の際、 学生証等をご提示ください。※ 身体障害者手帳、 精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、 障害者手帳アプリ 「ミライロID」の提示者とその介護者1名、および特定疾患医療受給者証、特定医療費 (指定難病)受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者は観覧無料 ※ 未就学児無料(ただし、保護者同伴)プレイガイド:アソビュー!、ローソンチケット(Lコード:82811)、チケットぴあ(Pコード:687-340)、楽天チケット、ARTNEチケットオンライン ※当日券は会場でも販売(現金のみ)主催:ブルックリン博物館、特別展 古代エジプト 福岡実行委員会
特別協賛:大和ハウス工業
協賛:DNP大日本印刷
協力:名古屋大学、日本航空、一般社団法人Platoo、ヤマト運輸、World Scan Project
企画協力:朝日新聞社、日本テレビ放送網
問い合わせ:東映 TEL092-532-1082 ※平日:10:00~18:00(会期中は開館時間)
公式サイト:https://egypt-brooklyn-fukuoka.com/index.html/
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