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時代とともに進化する、オールドハリウッド・スタイルの魅力

  • 2026.1.14

クリティクス・チョイス・アワードゴールデン・グローブ賞にナショナル・ボード・オブ・レビュー・ガラ。今年もアワードシーズンが到来し、3月に開催されるアカデミー賞に向けて賞レースは本格化。チェイス・インフィニティやレナーテ・レインスヴェ、ローズ・バーンといった注目俳優のレッドカーペットファッションも見頃を迎えている。

華やかな授賞式シーズンには華やかなルックが付きものだ。中でもハリウッド黄金期の映画スターたちによって築かれた“オールドハリウッド”スタイルは人気が衰えたことがなく、今なおそのグラマラスなテイストを取り入れた装いを賞レース期間中に披露するセレブが後を絶たない。ゴールデン・グローブ賞、アクター賞(旧SAG賞)、アカデミー賞など、どの授賞式のレッドカーペットに目を向けても、ストラップレスのガウン、スパンコールの装飾、長く伸びたトレーンなど、マリリン・モンローエリザベス・テイラーオードリー・ヘプバーンといった往年のスターが全盛期に纏っていたようなルックが目につく。だが、1950年代のレッドカーペットルックを彷彿とさせるオールドハリウッドのファッションは、2026年の今、時代性はあるのだろうか?

1957年、第10回カンヌ国際映画祭でのエリザベス・テイラーとマイク・トッド。
Elizabeth Taylor1957年、第10回カンヌ国際映画祭でのエリザベス・テイラーとマイク・トッド。

昨今のファッションは、エキセントリックに刷新しており、より奇抜なシルエットや遊び心のあるディテールで個性を全面に押し出したルックを纏うセレブたちがスポットライトを浴びている。マイハラ・ヘロルドアレクサンダー・スカルスガルドなどがその好例だ。それだけに、スイートハート・ネックラインやクラシックなマーメイドラインといったオールドハリウッドを呼び起こすスタイルが、現在のファッションのムードを捉えているのかを疑問に思ってしまう。

とはいえ、「華やかさ」と「豪華さ」というオールドハリウッドを象徴するふたつの柱は、今のレッドカーペットスタイルに通ずるものがある。何メートルにも及ぶトレーンやタフタ生地を惜しみなく使用したガウンなど、大手映画スタジオが大いに潤っていたハリウッド黄金期に見られたような絢爛なルックには夢があり、今も人々に求められている。だが、そういったルックを現代に見合ったものにアップデートすることはできるのだろうか? 遊び心と意外性に富んだモダンなものに。

生地やディテールに息づく、“新”オールドハリウッドの精神

シャネル 2026年メティエダールコレクションより。
photo: Filippo Fior / Gorunway.comシャネル 2026年メティエダールコレクションより。
シャネル 2026年メティエダールコレクションより。
photo: Filippo Fior / Gorunway.comシャネル 2026年メティエダールコレクションより。

授賞式が続々と開催される裏で、ハリウッドで活躍するトップスタイリストたちはそれぞれのクライアントたちが纏うレッドカーペットルックの準備に奔走している。かれらの多くは、まさに件のオールドハリウッド風のルックを仕立て上げているが、それぞれこの古き良き魅力を湛えたスタイルに捻りをプラスし、モダンに生まれ変わらせている。

「オールドハリウッド・スタイルといえばクラシックな形ですが、そこに大胆なディテールやプリントを取り入れます」とシンシア・エリヴォマイケル・B・ジョーダンなどのスタイリングを手がけるジェイソン・ボールデンは言う。「個人的にはシャネルCHANEL)といったブランドに注目しています。この前行われたプレフォールショーには、オールドハリウッドを想起させる要素がたくさんありました」

ボールデンが言うプレフォールショーとは、マチュー・ブレイジーが昨年12月にニューヨークで発表したメティエダールコレクションのことだ。「とても現代的でありながら、オールドハリウッドのエッセンスが息づいています」と、複雑なシルバーのビーズ細工が施されたシンプルな白いシフォンのタンクガウンなど、ランウェイに登場したルックを思い返しながら彼は語る。

第31回クリティクス・チョイス・アワードでのチェイス・インフィニティ。
31st Annual Critics Choice Awards - Arrivals第31回クリティクス・チョイス・アワードでのチェイス・インフィニティ。
ディオールのガウンで第31回クリティクス・チョイス・アワードに参加したミア・ゴス。
31st Annual Critics Choice Awards - Arrivalsディオールのガウンで第31回クリティクス・チョイス・アワードに参加したミア・ゴス。

エゴ・ノワディムやルピタ・ニョンゴを担当するスタイリストのミカエラ・アーランガーは、オールドハリウッドを現代風に仕立てるには、ソフトでロマンティックな雰囲気のドレスが欠かせないという。「シャープなラインや形式ばった作りにフォーカスするよりも、不朽のエレガンスを醸し出すことが重要なんです」と彼女は語る。「流れるようなシルエット、美しいドレープ、そして作り込んだ優雅さではなく、自然な優雅さを目指してルックを作ります」

そんなアーランガーは今年、マックイーンMcQUEEN)のしなやかなコルセット付きの黒いジャンプスーツや、肩に立体的な花をあしらった、スキャパレリSCHIAPARELLI)によるシルバーのガウンをアワードシーズンのルック作りの参考にしている。どちらもオールドハリウッドのドラマティックな雰囲気と、2026年のファッションを象徴する軽やかさを併せ持つ、洗練されたピースだ。「プロポーション、生地、そして着こなしによって魅力が生まれる、エフォートレスでありながら、考え抜かれたピースに惹かれます」と彼女は言う。

スキャパレリ 2026年春夏コレクションより。
スキャパレリ 2026年春夏コレクションより。
マックイーン 2026年リゾートコレクションより。
マックイーン 2026年リゾートコレクションより。

一方、より細かいディテールにこだわるスタイリストたちもいる。ベラ・ラムジージョセフ・クインといったスターたちをクライアントに持つファビオ・イメディヤートは、往年のグラマラスなスタイルをさりげなく彷彿とさせる繊細な生地を選ぶことが多い。

「2026年におけるオールドハリウッド・スタイルとは、かつてのルックをコスプレをすることでも、ノスタルジー漂うルックを作ることでもなく、グラマラスな要素をさりげなく散りばめることです」。オールドハリウッドといえば、本物の毛皮やスパンコールを思い浮かべるかもしれないが、イメディヤート曰く、ぱっと見はシンプルなウール、高品質なジャージー生地、繊細なニットといった意外性のある素材を選ぶことで、ルックをモダンに維新することができる。

「洗練されていて、自信にあふれ、ドラマがある。そういったクラシックな映画の空気感を取り入れながら、デザインの慎ましさ、生地やフィット感、そしてアイテムが着られる文脈をアップデートすることで、今っぽいルックになるのです」

ジャンバティスタ ヴァリ 2025-26年秋冬オートクチュールコレクションより。
ジャンバティスタ ヴァリ 2025-26年秋冬オートクチュールコレクションより。

また、メンズウェアに関しては、スーツやタキシードをアップデートすることで、かつてのハリウッドを想起させるモダンなルックになるとスタイリストのクロエ・タカヤナギはいう。

「オールドハリウッドのフォーマルなメンズウェアを思い浮かべるとき、仕立ての良い洗練されたタキシードにボウタイ、ネクタイ、カマーバンド、ショール、そのほかのアクセサリーを合わせたスタイルをイメージすることが多いです」と彼女は言う。「ハイダー・アッカーマンが手がけたトム フォードTOM FORD)の2026年リゾートコレクションで披露されたスタイリングが参考になりますね。ポロシャツの下から首にゆるく巻いたアスコットタイを覗かせたり、スエードのジャケットの下にニットを重ねたりと、よりリラックスした形のスタイリングや、タキシードショールのようなフリンジ付きのベルトで全体をまとめたコーデが見られました」

アミリ 2026年春夏メンズコレクションより。
Photo: Filippo Fior / Gorunway.comアミリ 2026年春夏メンズコレクションより。
トム フォード 2026年リゾートコレクションより。
トム フォード 2026年リゾートコレクションより。

「うまくやれば、オールドハリウッド・スタイルのルックは特定の時代を踏襲したものではなく、時代を超える不朽のものになるのです」。そうアーランガーが言うように、セレブたちがレッドカーペットで披露するルックは、昔ながらの魅力とモダンな雰囲気を絶妙に兼ね備えている。今年のアワードシーズンは、そのこだわり抜かれたファッションにも注目しながら楽しみたい。

Text: Christian Allaire Adaptation: Anzu Kawano

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