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「顔も見たくない」家出してから会ってない母が亡くなった。遺品整理している時に見た母の本音【短編小説】

  • 2026.1.14
「顔も見たくない」家出してから会ってない母が亡くなった。遺品整理している時に見た母の本音【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

母との別れ

「顔も見たくない」 そう言い放って実家を飛び出したのは、もう十年前のことです。

母との折り合いが悪く、干渉されるのが嫌でたまりませんでした。

家を出たその日に連絡先をブロックし、二度と会わないつもりで自分の人生を歩んできました。

そんな母が急逝したという知らせが届いたのは、先月のことでした。

久々に足を踏み入れた実家は、記憶よりもずっと小さく、埃っぽく感じられました。

葬儀を終え、静まり返った部屋で遺品整理を始めたとき、私の指が止まったのは、机の引き出しの奥から母のスマートフォンを見つけたときでした。

何気なく手に取り、私の誕生日を入力すると、画面が簡単に開きました。

ふと思い立ってメッセージアプリを覗くと、そこには私の連絡先に向けて送られた、膨大な数のメッセージが並んでいたのです。

母の気持ち

「今日はあなたの好きなハンバーグを作ったよ。いつかまた、一緒に食べたいな」

「寒くなってきたけれど、風邪はひいていないかな。体を大切にしてね」

「あの時は、あんな言い方をして本当にごめんね。ずっと後悔しています」

日付を見ると、私が家出をした直後から、亡くなる数日前まで、数日おきにメッセージは続いていました。

でも、私のスマホには、この十年間一度も通知が来ることはありませんでした。

あの日、感情に任せて母のアカウントをブロックしたまま、私はその設定を一度も変えなかったからです。

母は、自分の言葉が既読にならないことを分かっていたはずです。

それでも、誰にも届かない言葉を、日記のように、あるいは祈るように送り続けていたのです。

画面をスクロールする手が震えました。

最後の方のメッセージには、弱々しい文字でこう記されていました。

「私の一番の宝物は、あなただよ。生まれてきてくれてありがとう」

私はスマートフォンを胸に抱きしめたまま、その場に泣き崩れました。

「ごめんね、お母さん。本当に、ごめんね……」 冷え切った部屋に、私の謝罪だけが虚しく響きます。

一方的に心を閉ざし、母の愛を拒絶していたのは私の方でした。 届かなかった十年の想いを、私は今、母のいなくなった世界で一人、痛いほどに受け止めています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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