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【ばけばけ】大告白を見届ける羽目に…錦織(吉沢亮)の“所在なさ”にクスッ。引きの映像が光る名シーン

  • 2026.1.12

【ばけばけ】大告白を見届ける羽目に…錦織(吉沢亮)の“所在なさ”にクスッ。引きの映像が光る名シーン

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。『怪談』でおなじみ小泉八雲と、その妻 小泉節子をモデルとする物語。「ばけばけ」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ! ※ネタバレにご注意ください

王道ラブストーリーのような雰囲気すら漂う

それぞれが抱えてきた想いを整理したことで、ようやく心を通わせることができたヘブンとトキ。日本に伝承される怪談をもとにした作品を発表したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とその妻・セツをモデルとしたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の放送も新たな年を迎え再開、第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」が放送された。

昨年最後の放送回ラストで、トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)が宍道湖のほとりで言葉もなく手をつなぐというなんともロマンチックな演出でその心の通いを伝え、いよいよ物語は〝二人〟が本格的にそのつないだ手を離さず歩いていくこととなる。

その宍道湖のシーンをはじめとして、ラブストーリーとしての要素が実に美しく、そしてきわめてプラトニックに描かれてきているが、気持ちは通じ合ったものの、そこから進んでいくにはさまざまな壁があるところがまた、ある意味「王道ラブストーリー」のような雰囲気すら漂う。

ヘブンが日本、松江にやってきた理由、それは「日本滞在記」の執筆である。それが達成されることはすなわちヘブンの帰国を意味する。ようやくその気持ちに気づいたところでありながら、離れ離れになってしまうという定めはどうにも歯痒くもどかしい。ヘブンは、「ダイジ、ハナシ」として、日本滞在期の完成に対しての感謝をトキと錦織(吉沢亮)に伝える。しかし、完成の報告=帰国の報告とはすぐならず、ヘブンはなんともせつなげに一言、漏らした。
「イテモ、イイデスカ?」

そしてこう続けた。
「マツエ、イル、イタイ」
相変わらずのたどたどしい日本語に拍車もかかり、ヘブンの熱い本心が伝わってくる。

その気持ちを受け取ったトキは、喜びと涙を噛み締めたような笑顔で、「なして?」
と、とどめの言葉を聞こうとする。これもまた、素敵な恋愛演出である。ヘブンはこう返した。
「トナリ、ズット、トナリ……」

言葉なく手をつなぎ、そして、わずかな単語の羅列のようなもので溢れる想いを届ける。わかり合っていれば、余計な言葉はいらない。片言での大告白である。そこに、
「トナリ、イカイ……イサセラレ……」
と、最後の最後で言葉がぐだぐだになってお互い吹き出してしまう姿もまた、仲睦まじさ全開であり、見ている側の「照れ」をジャストなタイミングで笑いに変えてくれ、このドラマの笑いの入れ加減、押し引きの絶妙が凝縮されているようであった。

ここで、映像は引きとなり、この大告白をそこで見届ける形になった錦織の所在なげそうな、少し気まずそうな、それでいて、グッときて涙ぐんだりする様子が映し出され、ここもまた、二人のスイートな空気に見入っていたところから思わず笑ってしまうといううまさを感じる。

さて、晴れて「両想い」になり出雲大社で神様に永遠の愛を誓った二人であるが、二人がその先に進むにあたり、前述した通り大きな壁がさまざまある。

二人の母の存在に、「ハッピーデス」

まずは異人であるヘブンとの、今でいう「国際結婚」という壁だ。なにより松野家には大の異人嫌い〝ラストサムライ〟勘右衛門(小日向文世)がいる。しかし、これに関しては、すでにいろいろ親しき存在となったヘブンであることもあってか、好きなら止めることもないとあっさり承諾。そして、勘右衛門自身が自分の想いに正直にとばかりに、かねてから親しくしていたタツ(朝加真由美)に「猪突猛進」と想いを伝えるという、トキとヘブンが背中を押したような幸せが訪れた。

しかし、もうひとつの大きな問題がある。帰国しないとなっても、ヘブンとの結婚は、トキが女中でなくなるということを意味する。
「ジョチュウ、ナイ、キョウカラココニクラシマス」
とヘブンは言っていた。

トキが「ココニクラシマス」ということ、すなわち、松野家、そして雨清水家を支え続けてきたトキの「二十円」が支払われなくなってしまうことになる。なにげない体でトキは母のフミ(池脇千鶴)に夫からお金をもらったことがあるかと聞き、そんな夫婦おらんと言われ、悩みが深まる。ヘブンへの愛と、家族への責任の板挟みとなり、思い悩むトキ。

そして、松野家の借金や、トキと雨清水家との関係、トキが給金の一部を渡して支え続けてきた三之丞(板垣李光人)の存在そのものなど、ヘブンに伝えていないことがまだたくさんある。それを錦織に説明されるとヘブンの表情は一変、「ウソ、キライ、ミンナ、ウソツキ」と、傷ついた様子で絶叫する。

この様子に、松野家、雨清水家、そしてヘブンの前でトキが嘘をついた理由を明らかにしていく。その流れで「社長」という設定の三之丞の嘘も示されることとなり、三之丞の辛かった思いも涙ながらに告白される。嘘は嫌いなヘブンだが、嘘の理由やそこに悪意のないことを理解したのか、二人の母という存在に対して「ハッピーデス」と伝えるのはその人間性がよくわかる。

涙涙の贖罪大会を締め括るかのように、本作らしい照れ隠しかのように本作イチの能天気キャラ・司之介(岡部たかし)が、こんなときは叫ぼうと、斜め上からの提案をする。
「ダラくそが~!」

ダラくそが〜で、すべてを着地させるという力技のようであり、ネガティブなことを吹き飛ばすのって、こういう思わず笑ってしまうことだなといえるリアリティを感じるのが、このドラマの大きな魅力ではないだろうか。

前週の盛り上がりに続き、またまた新たな盛り上がりを見せ、毎週クライマックスが訪れるような『ばけばけ』の世界。次週からの新生活でも、また新たなクライマックスで楽しませてくれることは間違いない。

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