1. トップ
  2. ファッション
  3. フランスの文化遺産を守る、アーカイブの「番人」たちにフォーカス。

フランスの文化遺産を守る、アーカイブの「番人」たちにフォーカス。

  • 2026.1.8
ARTDEVIVRE.png

アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.82025年、創刊35周年を迎えたフィガロジャポン。モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきました。その結晶ともいえるフランスの美学を、さまざまな視点からお届けします。

時間の流れが加速するいま、現代社会を読み解く鍵として「過去」がこれまで以上に重要になっている。過去を振り返り、新たなクリエイションへと繋げるのはモードやアートはもちろん、ビューティやメディアも同様だ。フランスの優れた文化遺産を守る手段、アーカイブ(記録の保管)に携わる女性たちに話を聞いた。

Carla Sozzani/カルラ・ソッツァーニアズディン・アライア財団会長

 

若いクリエイターたちに、学ぶ機会を与えられる。

デザイナーのアズディン・アライアは、1970年代から自作の服と小物を約22,000点収集して自らのアーカイブを構築した。これらを服飾史家でアズディン・アライア財団のディレクター、オリヴィエ・サイヤール率いるチームが細心の注意を払って管理している。

Ann-Caroline Prazan/アン=キャロライン・パラザンゲランヘッド オブ アート・カルチャー・アンド・ヘリテージ

 

過去の記憶と現在のクリエイションに橋を架ける。

2000年にフレグランス部門のヘッドとして入社、数々の香水開発を見守ってきた。当時からアーカイブとの関わりは深かったそうだ。「私はメゾンを大きな木のように考えています。アーカイブは根、幹が人間、そしてイノベーションが葉です。根から力をもらわずしてイノベーションは生まれません」

Cécile Larrigaldie/セシル・ラリガルディギャラリー・ラファイエットグループ文化事業部ディレクター

失われた作品を再現、"いま"を未来に遺す活動も。

パリの老舗デパートであり、家族経営で知られるギャラリー・ラファイエットにセシル・ラリガルディが入社するきっかけとなったのは、インターンとして「ラファイエット・アンティシパシオン」というアーティスト・クリエイター支援企業財団の設立準備に関わったからだった。家族経営は伝承を伴う。

Bénédicte Gady/ベネディクト・ガディパリ装飾美術館館長代行兼文化遺産主任キュレーター

創作のインスピレーション源として、閲覧可能に。

パリ装飾美術館(MAD)のような場所においてアーカイブとは何を意味するのだろうか? その定義は時代とともに変遷してきたと同美術館館長代行のベネディクト・ガディは語る。

Agnés Chauveau/アニェス・ショーヴォー国立視聴覚研究所所長

文化遺産メディアとして、別の視点で歴史を語る。

国立視聴覚研究所(INA)といえばフランスのラジオ・テレビの視聴覚アーカイブの大本山。あらためてアーカイブについて語るのもおかしく思えるほどだ。法定納本制度によって構築された2700万時間にも及ぶ視聴覚資料には2種類あるが、ほとんどの資料は研究者のみ閲覧可能で、テレビ・ラジオ放送史に関する300万時間を超える資料はINAが商用利用する権利を持つ。

Camille Duclert/カミーユ・デュクレール文化省文化財チーフキュレーター

AIでデータ収集が容易に、ユーザーの利便性も向上。

19世紀のフランスの建築家、ウジェーヌ・エマニュエル・ヴィオレ=ル=デュクの全アーカイブが保管されているのが、文化省管轄の文化財写真メディアテーク。彼が手がけた1844年のノートルダム大聖堂修復工事の設計図や資料ももちろんある。2019年の大聖堂火災で救出された宝物の確認に活用したのもここに保管されている目録だった。

*「フィガロジャポン」2026年1月号より抜粋

元記事で読む
の記事をもっとみる