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【プロが解説】自宅で「極上の一杯」を育てよう! チャノキ(茶の木)の育て方から茶葉にするまで

  • 2026.1.5

海外でも多く飲まれ、近年急激に需要が高まっているお茶。緑茶や紅茶の原料であるチャノキ(茶の木)は、常緑で美しい花も咲き、生垣や鉢植えでも楽しめる万能な庭木です。病気に強い品種も登場しているので、「毎日飲むお茶を、自宅で育ててみたい」——そんな願いをチャノキを育てて叶えてみませんか。本記事では、適した土づくりや剪定、病害虫対策など栽培の基本から、収穫した茶葉で「極上の一杯」に加工する方法まで、プロが徹底解説します。

チャノキの基本情報

チャノキ
New Africa/Shutterstock.com

植物名:チャノキ
学名:Camellia sinensis
英名:Tea plant
和名:チャノキ(茶の木)
科名:ツバキ科
属名:ツバキ属
原産地:中国、アッサム、東ヒマラヤ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム
形態:常緑低木

チャノキは、ツバキの仲間の常緑低木で、茶の生産のために世界で広く栽培されています。亜熱帯のやや雨の多い地域が生育適地です。ただし耐寒性もあり、イギリスでも商業栽培されています。

国内でも古くから栽培され、新芽を摘んで茶に加工されています。渡来時期の詳細は不明ですが、奈良時代にはすでに渡来していたとされます。チャノキは茶道や茶庭など、日本の文化にも深く影響を与えてきました。

寺院や民家の庭などでも植えられ、庭木や生け垣などに利用されます。葉が常緑で枝葉がよく密生し、刈り込みにも強いので、生け垣としても実用的に優れています。

秋から冬にかけて咲く白い花は、ツバキによく似ています。観賞用としてピンクや薄い赤色の花を咲かせる品種や、斑入り葉の品種などがあります。またツバキとの交配種もあり、鉢栽培にも向く小型の品種などがあります。

茶摘みの様子。Aedka Studio/Shutterstock.com

チャノキの特徴・性質

チャノキの花
ranmaru/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花期:10~12月
樹高:2~3m
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:白、ピンク、薄い赤色

国内で栽培される品種は、高さ2mくらいのものが多いです。楕円形の葉は互生し、葉の縁には細かい鋸歯があります。明るい緑色の柔らかい新葉は、お茶の原料として収穫されます。

小さな白い花は、直径2~4cmほどです。花弁はやや反り返り、おしべが多く目立ちます。春から伸びた新枝に花芽が夏に分化し、秋遅く頃に開花します。

寒さに比較的強く、商業栽培の北限は新潟県村上市です。岩手県や青森県、秋田県でも栽培されますが、多くは自家用として消費されるようです。

一度植えると、35~50年程度まで長く収穫できます。2年生の苗を植えた場合、大きくなるまで4~8年くらいかかります。

チャノキのお茶の種類や成分

お茶
DONOT6_STUDIO/Shutterstock.com

葉の発酵の度合などにより、不発酵茶の緑茶、半発酵茶のウーロン茶、発酵茶の紅茶に分けられます。最も多く生産されているのは紅茶で、全体の半分以上を占めます。次いで緑茶が3割ほどです。最も茶の生産量が多い中国はウーロン茶のイメージがありますが、実際は緑茶が最も好まれ、次に紅茶がよく飲用されます。

茶の成分にはカテキンやカフェイン、タンニンなどが含まれます。神経を刺激して覚醒作用があり、殺菌や解毒、利尿などの作用もあります。

紅茶の赤色は、カテキンが酸化して変化することによります。紅茶のカテキンは発酵してテアフラビンに変わり、抗ウイルス作用や抗酸化作用を強く持つとされます。

また、緑茶のカテキンは脂肪燃焼作用があると言われ、ダイエットや成人病予防などに効果が期待できます。

抹茶とは?

抹茶は、通常のお茶とは栽培と加工方法が違います。まず、収穫前に20日から30日間ほど遮光ネットを張って遮光下にする被覆栽培(ひふくさいばい)を行います。収穫した茶葉は蒸して揉まずに乾燥させ、粉状にしたものが抹茶です。粉状に加工せず、葉脈や茎を取り除いただけのものは「てん茶」とされます。

被覆栽培により茶葉が柔らかく緑色が濃くなり、味がまろやかになって苦みが少なくなります。うま味や甘味の成分のテアニンは、光に当たると渋みや苦み成分のカテキンに変わりますが、遮光によりテアニンの量が多くなり、うま味や甘味が強くなります。玉露やかぶせ茶も被覆栽培を行いますが、被覆期間が短いため抹茶よりうま味や香りが少なくなります。

抹茶は被覆するための費用がかかり、遮光により株にストレスがかかるので栽培は難しくなります。なお抹茶には、うま味や香りが強い品種が使われます。

チャノキの仲間・品種

栽培されるチャノキは主に、中国種とアッサム種の2つの変種があり、日本で栽培されている品種は、中国種に由来します。また、両種の交配種も栽培されています。

中国種 Camellia sinensis var. sinensis

中国種のお茶
NPvancheng55/Shutterstock.com

中国南部が原産で、葉が小さく枝葉がよく茂り、樹高は3mほどです。渋みが少なく、緑茶に適します。

アッサム種 Camellia sinensis var. assamica

アッサム種のチャノキ
Karnj Ayu/Shutterstock.com

東ヒマラヤから中国までの広い地域が原産で、アッサム地方などのインドで主に栽培されています。発酵しやすいため、主に紅茶や烏龍茶に使われます。10m以上の高さまで生育し、葉は大きく表面にしわがあり、渋み成分のカテキンが比較的多く含まれます。

‘やぶきた’

国内で多く栽培される品種です。樹勢や耐寒性は強く、育てやすいです。観賞用としても栽培されますが、やや病気に弱い傾向があります。

‘天白(てんぱく)’

直径4cmほどの大きめの花は、咲き進むにつれて赤色を帯びます。新芽が赤く、葉に白斑が入る‘天白錦’もあります。

‘べにふうき’

アレルギー症状に改善効果が見込めるメチル化カテキンを多く含み、花粉症対策のお茶などとして人気があります。

紅茶向けとして、アッサム種と中国種の交配により作られた品種です。病気に強く、有機栽培にも適します。同様の交配により作られた紅茶向けの品種として、‘べにひかり’や‘べにほまれ’があります。

‘せいめい’

やや早生で病気に強い品種で、有機栽培が可能です。栽培適地は関東地方以南で、抹茶向けに開発されました。うま味が強く、被覆栽培で品質や収量が優れます。同様の性質で病気に強い品種に‘さえあかり’もあります。

チャノキの栽培12カ月カレンダー

植え付け:4~5月
植え替え:4月
肥料:2~3月
剪定:3~4月
挿し木:6月

チャノキの栽培環境

チャノキ

適した環境・置き場所

1日中日光が当たる日なた、または午前中だけ日光が当たる半日陰の場所が適します。夏は半日陰のほうが栽培しやすいです。鉢植えは夏は半日陰に置き、他の季節は日なたで管理するとよいでしょう。

明るい日陰でも育ちますが、枝は間延びしがちです。また、病害虫の発生も多くなるので気をつけましょう。

土壌

排水と通気性がよく、適度に水分を含む酸性土壌を好みます。特に排水性が生育に影響しやすいです。

生育温度

10~25℃で生育が盛んになり、14~16℃が最も適した温度です。40℃以上になると葉焼けします。

冬越し

最低温度の目安はマイナス13~マイナス15℃です。東北地方より南に位置する地域まで栽培が可能です。しかし、北海道でも南部などの条件のよい場所では、屋外で越冬することが確認されています。

チャノキの植え付け・植え替え

チャノキ
Scorpp/Shutterstock.com

植え付け

強い主根を持ち、1mくらいの深さまで根が伸びるので、移植は難しいです。移植する必要がないように植え付ける場所は慎重に選んでください。

4~5月が植え付けの適期です。植え付けは、深さと幅ともに50~60cmの穴を掘り、掘った土量に対して3割程度の腐葉土を混ぜて苗を植えます。植え付け後、株回りに敷き藁をして乾燥を防ぐとよいでしょう。多くの苗を植えた場合は、マルチングすると除草の手間も省けます。

鉢植えの植え替え

鉢植えでもよく育ちますが、前述の通り根が深く伸びるため深型の鉢を使うとよいでしょう。入手した苗は、すぐにそのまま1~2回り大きな鉢に植え替えてください。

植え替えは、2年に1回、4月に行ってください。植え替えを怠ると、根詰まりして生育が衰えます。植え替えの際は、根鉢の底と表層の部分を1/3程度落とし、新しい用土を足しながら1~2周り大きな鉢に植え替えてください。

用土

排水がよく、適度に水持ちのよい用土が適します。赤玉土小粒4、鹿沼土3、腐葉土3を混ぜた用土などを使います。8号以上の鉢を使う場合は、赤玉土は中粒を使うとよいでしょう。

チャノキの育て方・日常の手入れ

チャノキ
afotostock/Shutterstock.com

水やり

ひどい乾燥を嫌うので、地植えした場合でも夏に土壌が乾燥したら水やりしてください。

鉢植えは、用土の表面が乾いてから水やりします。夏によく乾燥する場合は、晴れた日は毎日水やりしてもよいでしょう。

肥料

2~3月に、骨粉入りの油粕などを株元に与えます。生育を旺盛にしたい場合や鉢植えは、5~6月と9月下旬頃にも肥料を与えるとよいでしょう。

病害虫

春から夏頃にかけて、葉にチャドクガの幼虫が発生します。葉の裏などに集団で付き、葉をひどく食害します。発生した箇所を取り除き、薬剤で防除します。

幼虫には有毒の毛がびっしり付いており、風で飛んだ毛が肌にふれるだけでかぶれることがあります。作業の際は十分注意してください。

チャノキの作業

チャノキ
Keaw Thewin/Shutterstock.com

剪定と仕立て方

剪定の適期は3~4月です。収穫を主な栽培目的とする場合は、低めの樹高を保ちます。植えてから10年くらい経過すると、新芽の発生が衰えてきます。その際は、半分くらいの高さまで全体を切り戻すとよいでしょう。その後は5年間隔くらいを目安に強く切り戻します。

自然樹形で楽しみたい場合は、あまり剪定しなくても形が整いやすいです。内側に向かって伸びる枝や混みすぎた部分は、見つけ次第、付け根から間引くように切ります。

花芽は、春から伸びた新しい枝に夏に分化します。花を咲かせる場合は、春に剪定を済ませてください。

増やし方

挿し木で増やすことができます。6月に新しく伸びた充実した枝を10~15cmの長さで切り取り、上部の葉を2~3枚残して葉をすべて切り落とし、挿し穂とします。赤玉土小粒や鹿沼土などの清潔な用土に挿し、明るい日陰に置きます。乾かさないように管理し、湿度の低い場所ではビニールなどで覆うとよいでしょう。1~2カ月ほどで発根したら、3号ポット鉢に1株ずつ鉢上げしてください。鉢上げの用土は、赤玉土や鹿沼土にピートモスを3割程度混ぜた用土などを使うとよいでしょう。

チャノキの栽培ポイント

お茶の栽培
  • 水はけの悪い場所は避ける
  • 強い乾燥を嫌う
  • チャドクガの発生に注意
  • 花を咲かせるには、春に剪定を済ませる

収穫した若い葉は、含まれる酸化酵素の働きで発酵が進みます。緑茶にする場合は、収穫してすぐに蒸すなどして熱を加え、手もみしながら乾燥させて茶葉にします。緑茶とは違う味わいになりますが、生の葉をそのまま使ってお茶にしても飲むことができます。またおひたしや天ぷらなど、食用にも利用できます。

生け垣としても優れ、白い花も咲き、観賞価値が高いです。意外と栽培適地が広く、育てるのも難しくありません。飲用や食用、観賞用とさまざまに楽しめるチャノキを、ぜひ家庭で栽培してみてください。

Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

おがわ・やすひろ/1988

年、東京農業大学農学部農学科卒業。千葉県館山市の植物園「南房パラダイス」にて観葉植物、熱帯花木、熱帯果樹、多肉植物、ランなど温室植物全般と花壇や戸外植物の育成管理のほか、園全体のマネジメントなどの業務に

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年携わる。現在フリーランスとして活動。著書に『わかりやすい観葉植物』(大泉書店)、『ハイビスカス』(

NHK

出版)がある。

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