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フランスラジオ・テレビの視聴覚アーカイブの大本山、INAの存在意義。

  • 2026.1.5
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アールドゥヴィーヴルへの招待 vol.82025年、創刊35周年を迎えたフィガロジャポン。モード、カルチャー、ライフスタイルを軸に、豊かに自由に人生を謳歌するパリジェンヌたちの知恵と工夫を伝え続けてきました。その結晶ともいえるフランスの美学を、さまざまな視点からお届けします。

時間の流れが加速するいま、現代社会を読み解く鍵として「過去」がこれまで以上に重要になっている。過去を振り返り、新たなクリエイションへと繋げるのはモードやアートはもちろん、ビューティやメディアも同様だ。フランスの優れた文化遺産を守る手段、アーカイブ(記録の保管)に携わる女性たちに話を聞いた。

Agnés Chauveau/アニェス・ショーヴォー国立視聴覚研究所所長

文化遺産メディアとして、別の視点で歴史を語る。

国立視聴覚研究所(INA)といえばフランスのラジオ・テレビの視聴覚アーカイブの大本山。あらためてアーカイブについて語るのもおかしく思えるほどだ。法定納本制度によって構築された2700万時間にも及ぶ視聴覚資料には2種類あるが、ほとんどの資料は研究者のみ閲覧可能で、テレビ・ラジオ放送史に関する300万時間を超える資料はINAが商用利用する権利を持つ。"懐古趣味の権化"となることを避けたいINAは、アーカイブの活用法に知恵を絞る。所長のアニェス・ショーヴォーは「我々は文化遺産メディアです」と胸を張る。

「若者を含めたどんな層にもリーチするため、あらゆる手段を駆使しています。一般向けアーカイブ映像配信サイトのina.fr、定額制動画配信サービスのmadelenをはじめとする各種プラットフォームとSNS各種、そしてデータサイトのdata.ina.frやメディア業界誌の『La revue des médias』があります」

この文化遺産メディアの使命は、別な視点から歴史を語ることだ。「集合的記憶は生き続けなければなりません」とアニェスは言う。だからINAでは番組制作も行っている。フランス議会中継チャンネルLCPでの歴史番組「Rembob'INA」やニュース専門チャンネルのフランスアンフォでの「INAttendu」、自社サイトやSNS上では「adn」などを展開している。

「女性史に関心を寄せる人が多く、ヴェイユ法(1975年に制定されたフランスの人工妊娠中絶合法化法)50周年を記念して、法制定前の違法中絶の実態についての証言を呼びかけました。その結果、79名から証言を得ることができました。このリアルな素材とアーカイブを突き合わせて、一冊の本とポッドキャスト、そしてドキュメンタリー番組が作られ、フランス5のプライムタイムで放送されました」

情報が氾濫する時代にあって過去と現在を対話させる試みは好評だ。女性への暴力や同性愛の問題についても同様に、過去の取材映像に過去と現在の音声をミックスさせ、「対比させる手法が好評でした」と語った。

ドキュメンタリー「Il suffit d'écouter les femmes(女性たちの話を聞きさえすれば良い)」(2024年)はソニア・ゴンザレスの制作。同名の書籍は証言の記録集でレア・ヴェンシュタイン著、Ed. Flammarion刊。

*「フィガロジャポン」2026年1月号より抜粋

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