「お年玉？パチンコで消えたわ」預かったお金を勝手に使った父→娘の仕返しで痛い目にあった話【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

お正月、親戚からもらったお年玉を眺めてニヤニヤしていた中学生の頃。
私の楽しみは、少しずつお金が貯まっていくことでした。
当時はまだ子供だったので、まとまったお金はすべて父に預け、専用の封筒に入れて管理してもらっていました。

ある日、どうしても欲しい服が見つかり、父に「預けているお年玉を少し出したい」とお願いしました。
しかし、父は気まずそうな顔ひとつせず、テレビを見たままこう言い放ったのです。

「お年玉？パチンコで消えたわ。また今度倍にして返してやるよ」

耳を疑いました。
信じて預けていた大切なお金を、あんなに騒がしいパチンコ屋で使い果たされた。
謝罪の一言もなく、まるで「小銭を落とした」程度の軽い扱いに、怒りと絶望がこみ上げました。
私はその日、静かに心の中で「仕返し」を誓いました。

それから月日が流れ、私は社会人になりました。
父は相変わらずギャンブル好きで、定年後も暇さえあればパチンコに通う日々。
そんな父がある日、自慢げに私に言いました。
「おい、今度の退職祝いの旅行代、手続きが面倒だからお前に預けていいか？予約も頼むよ」

父から旅行の軍資金として預かったのは、かなりのまとまった現金。
私はそのお金を手に、最高のチャンスが来たと確信しました。

数日後、父が「そろそろ宿の予約は取れたか？」と聞いてきた時、私は昔の父と全く同じ、そっけないトーンで答えました。
「あのお金？欲しかったブランドバッグを買うのに使っちゃった。パチンコよりは形に残るからいいでしょ？」

父は顔を真っ赤にして絶句していました。
「人の金をなんだと思ってるんだ！」と怒鳴る父に、私は冷ややかに付け加えました。
「昔、私のお年玉を勝手に使ったよね？あの時の『倍にして返す』っていう約束、今回のバッグ代でチャラにしてあげる」

父は肩を落とし、それ以上何も言えなくなりました。
長年のモヤモヤが晴れた瞬間でした。それ以来、父は私のお金に一切口を出さなくなり、少しは他人の財産の重みを知ったようです。

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