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当時29歳の新米刑事が今や“58歳”に… 刑事ドラマの“常識”を覆した『傑作』が体現する、29年色褪せない“底力”

  • 2026.9.5
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【「お台場合衆国」x「踊る大捜査線」】  織田裕二 (C)SANKEI

1997年に連続ドラマとしてスタートした『踊る大捜査線』の最新作、映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が9月18日に公開される。本稿筆者が初めてシリーズを見たのは15歳、中学3年生だった。今や、42歳となったが、シリーズが今も色あせないのは、不思議な感覚でもある。

警察の“人間模様”を描き覆した刑事ドラマの王道

『踊る大捜査線』シリーズは、刑事ドラマの王道を覆す作品だった。連続ドラマのスタート当時の主流といえば『あぶない刑事』のように、激しい銃撃戦やカーチェイスなどで刑事が犯人と対峙し、追い詰めるのが刑事ドラマのセオリーだった。

しかし、刑事ドラマの王道は『踊る大捜査線』を境にして変わった。劇中で、たしかに事件は起きる。ただ、シリーズがメインで描いたのは警察という組織内での人間模様だった。

所轄署という“現場”で生きる主人公の青島俊作と、青島と意思を通じ合わせる“キャリア組”で警察庁の官僚である室井慎次を中心として、シリーズの根幹に流れるのは「正義」と「信念」のあり方だ。

1998年に公開された映画1作目『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』でのあまりにも有名な青島の名ゼリフ「事件は会議室で起きてんじゃない! 現場で起きてんだ!」は、警察に限らず、組織の“現場”で生きる人びとにとってのジレンマを象徴していたが、作品の中心に据えられた普遍的なテーマは多くの人びとの心を熱くさせてきた。

自然と“その時々の自分”を重ねたくなる

いわば本家の『踊る大捜査線』に限らず、シリーズ作品で脇役として出演していたキャラクターが主人公を務める2005年公開の映画『交渉人 真下正義』や、同年放送のドラマ『逃亡者 木嶋丈一郎』など、スピンオフ作品が数多く作られてきたのも、このシリーズの魅力でもある。

本家の縦軸と、スピンオフとして派生してきた横軸。両軸でシリーズが29年も続く長寿シリーズとして今なお愛される背景では、登場人物たちのキャラクターとしての強さはもちろん、彼らが“現実と同じ時間を生きている”という要素も欠かせない。

熱血でまっすぐ、事件の大小に限らず常に「正義」と「信念」を貫いてきたイメージのある青島でさえ、2003年公開の映画2作目『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の序盤で「もっとシャキッとした事件ないんすか?」と口走っていたが、働く人間として当初の思いを忘れかけるかのような一面をみせるなど、時間の経過と共に訪れる環境や立場の変化が現れる場面の数々に、自然と“その時々の自分”を重ねたくなるのはシリーズの魅力でもある。

連続ドラマのスタート時点では30代手前だった青島も、警視庁“捜査一課”の一員として登場する最新作の映画では60歳目前。連続ドラマの当時、新米刑事だった彼に“刑事とは何たるか”を説いていた“和久さん”こと和久平八郎に近い年齢となったが、若手刑事たちと共に、いかにして劇中の事件を解決へと導くのか。その展開はもちろん、青島の言葉が待ち遠しくて仕方ない。


※記事は執筆時点の情報です

ライター:カネコシュウヘイ
1983年11月8日生まれ。成城大学文芸学部出身。雑誌編集プロダクションに勤務後、2010年にフリーライターとして独立。アイドル・エンタメ・ビジネスを中心に取材や執筆を続ける。
X(旧Twitter):https://x.com/sorao17

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