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年齢より若々しい人は絶対口にしない…知らぬうちに"肌老化を加速させる人"に共通する「口ぐせ」

  • 2025.12.19

肌を美しく、若々しく保ちたいと考える人は多いだろう。全国的にも貴重な「大学病院の美容皮膚科チーム」を立ち上げ、高い専門性に基づいた美容医療を提供する皮膚科医の大塚篤司さんは「肌年齢を若く保つ秘訣は遺伝や偶然ではない。日常生活における意識の高さにある」という――。

※本稿は、大塚篤司『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

唇の前で人差し指を立てて静かにするようジェスチャーをする人
※写真はイメージです
不思議なほど若く見える人がいる

私たちが日常で目にする人々の中には、年齢を重ねているにもかかわらず、驚くほど若々しい肌を保っている人が少なくありません。何十年と生きていれば、多くの人が少しずつシワやシミ、くすみを抱えるようになっていくのが当たり前――そう思っていたところに、「あれ、この人はなぜこんなに若く見えるの?」と不思議に感じる瞬間があります。こうした人たちは、単なる遺伝や偶然によるものではなく、日常生活の過ごし方や心の持ち方によって、自分の肌を健やかに保つ術すべを身につけています。

ここでは、肌年齢を若く保つ人々が実際に行っていることを、栄養、睡眠、保湿、入浴、心の姿勢、寝姿勢、食事法、ストレスコントロールなどの観点から解説します。そして、その根底にあるのは「もう年だから」と言わない意識の高さです。

ビタミンCを摂り、内外から抗酸化ケア

肌年齢を若く保つ上で欠かせない栄養素の一つが、抗酸化作用に優れたビタミンCです。肌は日々、紫外線や大気汚染、ストレスなど様々な要因によってダメージを受けています。こうしたダメージの多くには活性酸素による酸化ストレスが関わっており、細胞を老化させる大きな原因となります。

ビタミンCは、コラーゲンの生成をサポートし、肌のハリと弾力を維持する役割を担うだけでなく、活性酸素を中和して細胞を保護する働きもあります。日々の食事で意識したいのは、柑橘かんきつ類やキウイフルーツ、イチゴ、パプリカ、ブロッコリーなどビタミンCが豊富な食材をバランス良く取り入れることです。また、加熱や保存で栄養価が損なわれやすいビタミンCを十分確保するには、フレッシュな野菜や果物を生で食べる機会を増やしたり、スムージーにして摂取したりするのも良い方法です。

さらに、外側からのケアには「ビタミンC誘導体」を含むスキンケアアイテムが有効です。純粋なビタミンCは不安定で肌に浸透しにくい性質がありますが、誘導体は肌の内部でゆっくりとビタミンCとして働くため、より安定的で効果的なケアが期待できます。継続的な使用で、くすみが減少し、肌に透明感が蘇りやすくなります。若々しい肌を保っている人は、内と外からビタミンCを効果的に補給しているのです。

7~8時間の質の良い睡眠を確保

肌細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)は、睡眠中に特に活発化します。質の良い睡眠を確保できていないと、ターンオーバーが乱れ、古い角質がスムーズに剥はがれ落ちず、くすみやニキビ、シミ・シワなどの原因になることがあります。また、睡眠不足はストレスホルモンの分泌を増やし、血行を悪化させ、栄養素が肌に十分行き渡らない状況を生み出します。

肌年齢を若く保っている人たちは、単に長く寝れば良いとは考えていません。彼らは「質」を重視します。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、入眠前に暖色系の照明でリラックスし、ヨガや軽いストレッチで体温を少し上げ、湯上がりのリラックスした状態でベッドに入る――こうした小さな工夫が、深い睡眠をもたらします。安定した睡眠は翌朝の目覚めをすっきりさせ、肌の水分保持力も高まりやすくなります。

乾燥は肌の大敵、しっかり保湿を

年齢による肌老化のサインは、シワやたるみに加えて、乾燥というかたちで現れることが多いと言われます。加齢とともにセラミドや天然保湿因子(NMF)が減少するため、角質層に潤いを閉じ込める力が弱まり、外部刺激に敏感な状態を作ってしまいます。そのため、若々しい肌を保つために欠かせないのが「保湿クリーム」の存在です。

保湿クリームは、化粧水や美容液で補給した水分が蒸発するのを防ぎ、さらにバリア機能をサポートします。特に、ヒアルロン酸やセラミド、スクワランなどの保湿成分が豊富に配合されたクリームは効果的。乾燥する季節はもちろん、エアコンの効いたオフィスや就寝中の乾燥した室内では念入りなケアが求められます。

ガラス瓶の中の保湿クリーム
※写真はイメージです

また、朝晩のスキンケア時に保湿クリームを塗るだけでなく、日中も乾燥を感じたらミスト状化粧水や軽い乳液でこまめに潤いを補給する習慣がある人は、肌年齢を若く保っている傾向が強いです。常に「自分の肌の状態」を観察し、適切なタイミングで水分・油分バランスを整えましょう。

入浴は肌のために大切な「美容時間」

忙しい現代人はシャワーだけで済ませてしまうことが多いかもしれません。しかし、若々しい肌を保っている人は、湯船に浸かる習慣を大切にしています。それも、熱すぎない38〜40度の「ぬるめのお湯」がポイントです。高温のお湯は肌の表面の皮脂を奪いやすく、かえって乾燥させる原因となります。一方、ぬるめのお湯は皮脂を過剰に流さず、血行をじんわり促進し、肌細胞への栄養供給と老廃物の排出をスムーズにします。

また、湯気によるスチーム効果で毛穴が開き、古い角質や汚れが落ちやすくなるため、その後のスキンケアの効果も高まります。入浴後に保湿ケアを行えば、有用成分が肌の奥深くまで浸透しやすくなり、結果として肌が柔らかく、ふっくらとした質感を取り戻します。入浴は単なる習慣ではなく、心身を癒やし、肌を健やかに保つ大切な美容時間と言えるでしょう。

年齢を経験値の蓄積と捉えて

若々しい肌を保っている人々は、年齢や老化現象をいたずらに恐れてはいません。

むしろ、年齢を重ねることを一つの経験値の蓄積として捉え、今の自分にできるケアや習慣を見極めて実践しています。こうした前向きな心の姿勢が、肌老化を加速させるストレスを軽減するのです。

「もう年だから」「若い頃みたいにはいかない」といった言葉を口にしたり、考えたりすることは、単なる口癖や思い過ごしで終わってはくれません。心理学で「プライミング効果」と呼ばれる現象が、ここで働いています。プライミング効果とは、プライマーという先に見聞きした情報(言葉やイメージ)が無意識のうちに、その後の思考や行動に影響を与えるというものです。

ネガティブな言葉が可能性にフタをする
大塚篤司『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)
大塚篤司『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)

まり、「もう年だから」というネガティブな言葉(プライマー)に繰り返し触れることで、私たちは無意識のうちに「年相応に振る舞わなければならない」「新しい挑戦は難しい」といった自己制限的な思考パターン(ターゲット)を強化してしまいます。これは、自分自身の可能性に自らフタをし、変化への意欲や行動力を低下させることにつながりかねません。

逆に、「まだまだこれから」「今できることに集中しよう」「いつでも改善の余地はある」といったポジティブなセルフトークを意識的に行うことは、非常に有効です。これらの肯定的な言葉は、ポジティブなプライマーとして機能し、私たちの思考をより柔軟で前向きなものへと導きます。

このような肯定的なマインドセットを持つことで、「年齢にとらわれず、新しいスキンケアを試してみよう」「健康のために、できる範囲で運動を始めよう」といった、具体的で積極的な行動へとつながりやすくなります。心理学的な根拠に基づいたセルフマネジメントは、単なる精神論ではなく、実際に私たちの行動変容を促す力を持つのです。

大塚 篤司(おおつか・あつし)
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授
1976年生まれ、千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より現職。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーに、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行う。

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