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自閉症の長男がいなくなった。警察「捜索を打ち切ります」絶望の中「見つかりました」告げられた場所は

  • 2025.12.21

筆者の重度知的障害を伴う自閉症の長男が学校を休んだ日に突然、失踪した話です。警察犬の捜索も打ち切られ絶望的な状況で寿命が縮む思いでしたが、自宅から10km以上離れた駅の待合室で無事発見されました。この経験は、わが子を守るための備えと、障害を持つ親の心構えについて、私に決定的な教訓を与えました。

画像: 自閉症の長男がいなくなった。警察「捜索を打ち切ります」絶望の中「見つかりました」告げられた場所は

長男の発熱

私には重度知的障害を伴う自閉症の長男と、次男がいます。長男は当時、養護学校高等部3年でした。

その日、学校から「微熱があります」と連絡がありました。

私と次男も高熱を出して寝込んでおり、片道30分の道のりを運転して迎えに行くことは厳しい状況です。

他の手段が無く苦渋の決断でしたが、運賃が高額になることを覚悟し、タクシーで帰宅させることにしました。

まだ当時はコロナ禍でタクシー内も密室扱いなので、長男が一人でタクシーに乗り、担任が自分の車で長男の乗ったタクシーに追従、自宅前到着時に私のスマホに連絡してもらうことになりました。担任の先生が細心の注意を払い、無事に送り届けてくれたことに心から感謝しています。

帰宅した長男は嘘のように元気で、熱も平熱です。

しかし、担任から「明日は念のため休んで下さい」と言われました。

元気な長男

翌朝、長男はすっかり元気です。

大好きな通学バスに乗りたくて、いそいそと登校の準備をしていますが、何とか説得して休ませました。

私と次男はまだ熱が下がらず、布団の中でゴロゴロしています。

今思えば、体調不良で判断力が鈍っていたこともあり、「やけに静かだな……」と思ってふと見ると長男がいないのです。

部屋中探しても見つからず、慌てて次男を自転車に乗せてバス停へ向かいましたが、そこにもいませんでした。障害を持つ長男の行動を予測し、安全対策を徹底できていなかった、親としての私の不注意が招いた事態です。

パニックで頭が回らない中、必死で状況を整理し、まずは学校に連絡、次は警察へ連絡しました。
自宅に戻るのももどかしく、そのまま次男を乗せて自転車で交番に向かいます。

捜索と絶望

「一度、自宅に戻ってください。すぐにそちらに向かいます」

交番の警察官に言われて自宅に戻り、待つこと数十分後、3人の警察官が来ました。

状況を説明すると「一定時間見つからなければ行方不明届を出してもらいます」と告げられました。

悪い想像ばかりが頭をよぎります。
まずは警察犬に長男の匂いを追ってもらうことになりました。

1時間後、悪天候の中、懸命に捜索してくださった警察官と警察犬でしたが、「風が強くて犬が匂いを追えないので捜索を打ち切ります」と報告されてその時は絶望しました。

長男は今、生きているのだろうか……。

学校やデイサービスの職員の方が総出で探してくれています。

私と次男は自宅待機を警察から指示されていました。
動き回っても無駄とわかっていても、じっと自宅にいることは何よりも苦しかったです。

「寿命が縮む思い」とはまさにこのことだと思います。

時間の感覚がわからず、ふと見ると外の景色は薄暗くなっていました。

奇跡の発見

学校から電話がありました。

ふと時計を確認すると15時半。

「駅の待合室に長男らしい人物がいます」

体調不良も高熱も既に吹き飛んでいました。

急いで次男を連れて車で学校へ向かうと、校長室で首にタオルを巻いた長男の姿がありました。

「H駅の待合室にずっといたようです」

「H駅? 自宅から10km以上離れていますよね?」

「たぶん、自力で歩いて行ったんでしょうね」

長男は言葉が片言なので真相はわかりません。

しかし無事で生きていてくれて本当に良かったです。
その安堵感で胸がいっぱいになりました。この経験は、わが子の命を守る備えの甘さを痛感させました。

帰宅後、すぐにGPSを購入したのは言うまでもありません。
それと同時に、私は二度とこのような事態を招かないよう、家の施錠の徹底や、長男の特性と緊急連絡先を記載した「見守りカード」の常時携帯、そして何よりもどんな時も長男から目を離さないという覚悟を新たにしました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

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