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洛の響鳴箱で時を忘れる。京都のレコードバー&カフェ6選

  • 2025.12.16
京都〈伴奏珈琲店〉店内、〈しばし〉店内、〈遠藤珈琲店〉店内、〈深夜喫茶/ホール 多聞〉店内、〈HOWENE〉店内、〈古今〉店内

伴奏珈琲店(北野白梅町)

町に寄り添う“普通”の喫茶店で、コーヒーと音の隙間を味わう

2025年9月に二条から北野天満宮近くの商店街に移転したばかり。もともと喫茶店だった物件をほぼそのまま居抜きで営業している。店主の坂東辰郎さんいわく、目指すのは「古い町の生活の中に溶け込んでいるような、近所の方が通う、昔ながらの“普通”の喫茶店」。

基本メニューは自家焙煎のオリジナルブレンドで、ネルドリップで淹(い)れるコーヒー。その“伴奏”となるべく、空間を演出するBGMはジャズやピアノ作品のレコードだ。「喫茶店に音楽は、時間や空間に寄り添うもので切り離せない」と話す坂東さん。

「音の隙間を聴くような、余白を大切に」が信条。のんびりとした町の生活のムードを受け継ぐ喫茶店で、京都時間をまったり過ごしたい。

京都〈伴奏珈琲店〉店内
京都〈伴奏珈琲店〉深煎りブレンド
手回し焙煎機による深煎りブレンド600円。ガトーショコラなどのスイーツも準備中。

Information

京都〈伴奏珈琲店〉外観

伴奏珈琲店(ばんそうコーヒーてん)

北野白梅町駅から徒歩5分の大将軍商店街にある小さな喫茶店。ドリンクメニューには食前・食後酒などもありバー使いもできる。店主の坂東さんは以前、祇園でコーヒー店〈bande à part〉を運営。

所在地:京都市上京区一条通西入ル3丁目西町22-5|地図
TEL:なし
営:9時~19時
休:不定休
Instagram:@bansou_coffee

遠藤珈琲店(一乗寺)

喫茶文化が残る京都で、深煎りの“美しい時間”

一乗寺の住宅街にある元・法律事務所の建物で2025年8月から営業を開始した〈遠藤珈琲店〉。店主は、大手コーヒーチェーンや個人の喫茶店で勤務経験がある、鳥取出身の遠藤聡さん。昔ながらの喫茶文化が残る京都の土壌に惚れ込み、移住したそうだ。

手回し焙煎機を使い、ネルドリップで丁寧に淹れられるのは深煎り。芳醇なテイストはもちろん、「ゆっくり味わう深煎りにしか生み出せない美しい時間がある」と遠藤さん。

BGMは70年代のロックやシンガーソングライターのレコードが中心だが、簡単に再生できる配信ではなく、コーヒーと同じで「手をかけるからこそ得られるものがある」と考えている。落ち着いた佇まいは早くも町に馴染んでいる。

京都〈遠藤珈琲店〉店内
京都〈遠藤珈琲店〉自家焙煎マイルドブレンド、チーズケーキ
自家焙煎マイルドブレンド600円。チーズケーキ400円。一角にはコーヒー関連の書籍も。

Information

京都〈遠藤珈琲店〉外観

遠藤珈琲店(えんどうコーヒーてん)

苦味と甘い香りのストロングブレンド600円など深煎りが基本だが、お好みでペーパードリップで淹れる軽めのコーヒーやカフェオレ650円も。手作りのスイーツはチーズケーキ、ガトーショコラ各400円など。

所在地:京都市左京区一乗寺東杉ノ宮町18-2|地図
TEL:なし
営:10時~21時
休:水曜
Instagram:@endou_coffee

HOWENE(北白川)

北白川のミニマルな空間でワイン×レコードの優雅な時間

白川通沿いにある大きなガラスの扉が特徴的なワインバー。店主の江頭諒さんはカリフォルニアへの留学時にコーヒーに目覚め、飲食の道に。帰国後は東京〈パドラーズコーヒー〉等に勤務する中でナチュラルワインの、体の隅々に染み渡る感覚に開眼。そして京都へ移住し開業。

BGMはレコードで、配線はフロアに埋め込む凝りようだが、ミュージックバーにあらず。江頭さんいわく「あくまで音楽は空間の体験をさりげなくアシストするもの。それにお客さんたちをつなぐもの」だ。フュージョン、R&B、ロックなどがミニマルな空間で軽やかに響く体験はここならでは。通りを過ぎる車を横目に早い時間からグラスを傾けて、優雅な時間に浸るべし。

京都〈HOWENE〉店内
京都〈HOWENE〉アルザスのオレンジワイン、クレームダンジュとフルーツ
仏・アルザスのオレンジワイン、グラス1,300円~。クレームダンジュとフルーツ700円。

Information

京都〈HOWENE〉外観

HOWENE(オーウェン)

元家具店の13坪の敷地で2024年12月に開店。ワインと合う濃厚なプリン600円は江頭さんの妻の手作り。屋号はシカゴの音楽家、マイク・キンセラのソロプロジェクトから命名。テーブルチャージ500円。

所在地:京都市左京区北白川東久保田町7|地図
TEL:075-600-0536
営:17時~24時
休:火曜
Instagram:@howene.kyoto

しばし(岡崎)

漢方茶で音に向き合う、畳敷きのリスニングサロン

平安神宮から歩いて5分ほど。築100年以上の京町家を改装した、まるで和のリスニングサロンだ。オーナーはアンビエントをテーマとした展覧会『AMBIENT KYOTO』の主催者でもある中村周市さん。

畳に鎮座する英国製のスピーカーや真空管アンプはすべて中村さんの私物で、ジャズ、アンビエント、それにビートルズまで、古今東西の音が静かに流れる。中村さんいわく、音楽以外は「あえて色をつけたくない」空間。つまり余計なものがないスペースで、庭の季節の移ろいを眺めつつ、漢方茶を飲み、静かに音に向き合う。

音を聴く耳がリセットされるような、そんな時空間は京都の新風景だ。定期的にコンサートや落語会等のイベントも開催している。

京都〈しばし〉店内
京都〈しばし〉漢方茶、〈ラ・ヴァチュール〉タルトタタン
目疲れに効く漢方茶700円。タルトタタン800円は近くの名店〈ラ・ヴァチュール〉製。

Information

京都〈しばし〉外観

しばし

2023年10月オープン。ドリンクと〈御菓子丸〉の和菓子のセット1,600円。ランチセット1,600円や蒸し餃子650円などのフードメニューも。週末のみバー営業を展開。

所在地:京都市左京区岡崎天王町76-16|地図
TEL:080-4189-3396
営:12時~19時(土・日~17時、その後バー営業17時~22時)
休:月曜
Instagram:@sibasikyoto

深夜喫茶/ホール 多聞(三条)

三条木屋町の地下に80席。時間感覚がなくなる深夜喫茶

繁華街のど真ん中、三条木屋町の地下には、巨大な深夜喫茶がある。席数は80、まるで都市のエアポケットとも言える〈多聞〉は、店名の通り、コーヒーだけでなく音を味わう喫茶空間をコンセプトとしている。BGMの基本はジャズだが「ゆったりできる音楽を」とオーナーの西條豪さん。

そして一人で静かに本も読めるけれど、レコードの音だけでなく、話し声、豆を挽く音など、いろんな人たちのいろんな音に接する場にしたいと考えている。薄明かりのちょっと妖しいムードの中に腰を据えれば、時間の感覚がなくなる。

店内には書籍が並ぶ図書室があり、加えて店の奥にはアップライトピアノを備え、時折音楽ライブも催している。

京都〈深夜喫茶/ホール 多聞〉店内
京都〈深夜喫茶/ホール 多聞〉コーヒーウォッカのトニック割り、レモンパウンドケーキ
コーヒー以外にコーヒーウォッカのトニック割り1,000円やレモンパウンドケーキ660円も。

Information

京都〈深夜喫茶/ホール 多聞〉店頭サイン

深夜喫茶/ホール 多聞(しんやきっさ/ホール たもん)

元レストランの地下空間で2024年3月にオープン。あんバタートースト550円やピザトースト550円なども。〈深夜喫茶しんしんしん〉〈アスタルテ書茶房〉は系列店。

所在地:京都市中京区材木町175 京都ゴールデンビルB1|地図
TEL:075-708-7797
営:18時~翌3時(土・日12時~)
休:火曜
Instagram:@tamon.kyoto

古今(三条)

祇園の路地の隠れ家で、音楽とブレックファスト

〈古今〉は骨董品店が立ち並ぶ通りとして知られる、古門前通の細い路地にある小さな音楽処。「祇園で朝からコーヒーがゆっくり飲める場を作りたくて」と話すのは店主の齊藤美也子さんだ。

通常のバーを、レコード愛好家の夫、悟さんと共に2025年9月からモーニング営業も行うレコードバーに新装開店。祇園の古い町家を和モダンなテイストで改装した店内に飾られたレコードは竹内まりや「PLASTIC LOVE」の12インチなど。

シティポップやブラックミュージックを軸とした選曲が朝から楽しめる。歴史ある町で「昔と今のカルチャーを融合させていきたい」と齊藤さん。祇園で音楽とブレックファスト、そんな穴場はここだけかもしれない。

京都〈古今〉店内
京都〈古今〉ホットドッグ
ホットドッグはトマトとアボカド、キャベツとソーセージの2種で各600円。珈琲500円。

Information

京都〈古今〉入口

古今(ここん)

月に1回ほどのペースでDJイベントを開催予定。2階は靴を脱いで上がる座敷のフリースペース。店主の齊藤さんは栄養士としても活動。今後、食と音をより楽しめるイベントなどを展開する予定。

所在地:京都市東山区元町363-1|地図
TEL:070-1797-1888
営:8時~17時
休:不定休
Instagram:@kokon_vinyl_cafe_alcohol_bread

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