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老舗といまどきの専門店が共存。琥珀色の一杯を嗜める、京都のコーヒー喫茶6選

  • 2025.12.15
京都〈はなふさ イースト店〉店内、〈珈琲の店 雲仙〉店内、〈COFFEE Cattleya〉店内、〈暖々〉店内、〈IWASHI COFFEE〉店内、〈Okaffe Kyoto〉店内

はなふさ イースト店(蹴上)

喫茶店全盛期の景色が残る、京都最古のサイフォン店

コーヒーといえば、サイフォン式。カウンターでは蝶ネクタイをしたマスターが、黙々とサイフォンを操り、琥珀色の液体が上へ、下へ。ホールには、新聞片手にいつものブレンドで一服する常連らしき客の姿。そんな70~80年代に主流だった喫茶店の景色がある。

創業は1955年。東京で学んだ初代が、京都で最初にサイフォン式を始めた。現在は2代目の山本一夫さんが自宅のそばで自家焙煎。独特の抽出法を継いでいる。

一度ロートに沸き上がったコーヒーが、下のフラスコに落ち始めるや、再び加熱して沸き上げ、どっしりと濃厚な味わいに仕上げるのがはなふさ流。良き相棒である自家製チーズケーキも40年以上続くロングセラーだ。

京都〈はなふさ イースト店〉店内
京都〈はなふさ イースト店〉サントスブレンド、レアタイプチーズケーキ
サントスブレンド600円。レアタイプチーズケーキはブルーベリーソースが付いて430円。

Information

京都〈はなふさ イースト店〉外観

はなふさ イースト店

深夜2時まで営業している喫茶店は、京都では稀少で、夜も賑わう。苦味の「サントス」、香りの「モカ」、酸味の「コロンビア」の3種が不動の定番。チーズケーキはベークドタイプもあり、持ち帰りも人気。全席喫煙可。

住所:京都市左京区岡崎東天王町43-5 1F|地図
TEL:075-751-9610
営:8時~翌2時
休:無休
Instagram:@hanahusa_kyoto

珈琲の店 雲仙(四条)

90年ものの焙煎機が運ぶ、琥珀色のひとときを

使い込まれたガス式焙煎機がガラス越しに見えるここは、京都における自家焙煎の草分け的喫茶店。佐賀県出身の初代が、九州にちなんだ名をつけ、1935年に開業した。それから90年、焙煎機は今もバリバリ現役だ。

3代目の高木利典さんが「焙煎だけは覚えとき」と母から学んだ方法で、音と香りを頼りに焙煎。酸味と苦味のバランスがいい深煎りの味を継ぐ。一方、古いレジスターに刻まれた“THANK YOU FOR YOUR KINDNESS”の焼き印を押したホットケーキは3代目の考案。

和歌山の黒塩を隠し味にみっしりと食べ応えがあるそれは、焼き上がりまで20分。奥の天窓から明かりをとったほの暗い店内で、“コーヒ”片手に待つ時間は、至福のひととき。

京都〈珈琲の店 雲仙〉店内
京都〈珈琲の店 雲仙〉オリジナルブレンドコーヒー、ホットケーキ
オリジナルブレンドの、コーヒ600円。ホットケーキ800円。オリジナルお手拭きもいい。

Information

京都〈珈琲の店 雲仙〉外観

珈琲の店 雲仙

京都市で5番目に古いとされている喫茶店で、トースト、サンドイッチ、カレーなどフード類も充実。モーニングセットもあり。

コーヒーのみせ うんぜん
住所:京都市下京区西洞院通綾小路下ル西入綾西洞院町724|地図
TEL:075-351-5479
営:7時~17時頃(日・祝14時30分LO)
休:火曜、不定休
Instagram:@toshinori_takagi_detch

COFFEE Cattleya(祇園四条)

店内に井戸が残る純喫茶で新しいコーヒーの味に出会う

レースのカーテンが掛かった〈Cattleya〉の窓が見えてくると、八坂神社はもうすぐそこ。四条通沿いに1944年から変わらずある純喫茶だ。ステンドグラスにランプ、かつて地下水を汲み上げ、コーヒーを淹(い)れていたという井戸も、店内に残る。

2024年7月に新たに店を任された岩城ミナさんは、そんな時の余韻が感じられる往時の面影を大切に残しつつ、コーヒーは一新。かつてスタンドで働いていた時に出会った福岡のロースター〈COFFEE COUNTY〉の、中〜深煎りの豆を使い、マシンで淹れる。

そのしっかりした一杯に合わせたパンナコッタは、プリンのようなルックスながら、クリーミーで濃厚。昭和な空間で味わうイタリアンテイストは新鮮だ。

京都〈COFFEE Cattleya〉店内
京都〈COFFEE Cattleya〉ホンジュラスのダークロースト、自家製パンナコッタ
本日のコーヒー、ホンジュラスのダークロースト680円。自家製パンナコッタ680円。

Information

京都〈COFFEE Cattleya〉外観

COFFEE Cattleya

創業以来、インテリアはそのままに80年以上、店を続けてきた。エスプレッソやカプチーノのほか、ビールやワインなどアルコール類もある。自家製パンナコッタは週1回数量限定で登場。席の予約不可。

コーヒー カトレヤ
住所:京都市東山区祇園町北側284|地図
TEL:なし
営:11時~18時
休:月曜・火曜
Instagram:@coffeecattleya

暖々(北野白梅町)

店主が法被姿でコーヒーを淹れる、上七軒の古民家喫茶

“町家カフェ”より“古民家喫茶”という言葉が似合う店である。明治期に建てられたという2階建ての京町家には、座敷にちゃぶ台が置かれ、今もそこに暮らしがあるかのような素朴さが心地よい。そして、いつも法被姿でコーヒーを淹れる渡邊健吾さんも、その雰囲気作りに一役。

実は渡邊さん、コーヒー焙煎士であると同時に、和太鼓奏者としての顔も持つ。一杯の中で酸味や苦味、コクが、太鼓の音の余韻のように広がる味をイメージしたという中深煎りの“鼓”は、彼らしいブレンドだ。

パートナーである斎藤萌香さんが作る季節のフルーツを使ったデザートや焼き菓子も、ここのもう一つの看板。センス抜群で、こちらも舌鼓を打つこと間違いなし。

京都〈暖々〉店内
京都〈暖々〉鼓ブレンド、バナナケーキ
コーヒーは、鼓ブレンド600円。有機バナナを使った定番のバナナケーキ600円。

Information

京都〈暖々〉外観

暖々

ギャラリー&喫茶〈雪月の鳥〉を間借りして、2023年にオープン。コーヒーはデカフェもあり。お菓子はスコーン、カスタードプリン、チーズケーキ、フルーツのデザートなど豊富に揃う。

だんだん
住所:京都市上京区真盛町726-24|地図
TEL:なし
営:12時~18時
休:不定休
Instagram:@kissa_dandan
HP:dandandandan.base.shop

IWASHI COFFEE(円町)

閑静な西陣の京町家で、穏やかなシングルオリジンを

インバウンドとは無縁の、まっこと静かな西陣の住宅街に、店はある。白壁の引き戸を開けると、和洋が同居したゆったりとした空間が広がる。手前にはテーブル席と焙煎機、奥には町家の面影を残した広い座敷と裏庭が見える。店主は、飲食店などにも豆を卸している真下(ましも)裕也さん。

焙煎所を探していたところ、この古い町家に出会い、自ら改装し、2020年にカフェとしてオープンした。塾の講師から転身、地元・京都でコーヒー屋を始めて15年ほど。今も変わらず、店内にある小型の直火式焙煎機で、毎朝焙煎。「雑味がない、穏やかな味わい」のシングルオリジンをハンドドリップで丁寧に淹れる。そのコーヒーが落ちる音も、ここでは心地よいBGMだ。

京都〈IWASHI COFFEE〉店内
京都〈IWASHI COFFEE〉中深煎りブラジル、パウンドケーキ
本日のコーヒーから、中深煎りブラジル500円。〈Sasha〉のパウンドケーキ500円。

Information

京都〈IWASHI COFFEE〉外観

IWASHI COFFEE

コーヒーはシングルオリジンのみで4種。深煎りのコロンビアのみ定番で、ほか3種は時季によって替わる。お菓子は、2024年に近くにオープンした〈Sasha〉の焼き菓子を中心にスタンバイ。

イワシコーヒー
住所:京都市上京区長門町414|地図
TEL:なし
営:12時30分~17時30分
休:月曜・火曜・水曜
Facebook:@iwashicoffee

Okaffe Kyoto(四条)

京都の名バリスタが手がける、秘密基地のような喫茶店

なんともわかりづらい入口と、不思議な細いアーケード。店に辿り着くまでのドキドキ感が、唯一無二の個性になっている隠れ家喫茶だ。実はここ、その昔も喫茶店だった。店構えに一目惚れした岡田章宏さんが、前店主に直談判し、2016年にオープンした。

京都の老舗〈小川珈琲〉出身で、バリスタの日本チャンピオンとしても知られる岡田さんだが、目指したのは、バールではなく、「空気がきれいで明るい昭和の喫茶店」。奥に坪庭を望む店内には、カウンターがあり、エスプレッソマシンもスタンバイ。

でも、看板はあくまで、昔ながらの喫茶店の味を再現した、ドリップ式で淹れる、深煎りのブレンド。鉄板で一枚一枚焼くパンどらも、隠れた名物だ。

京都〈Okaffe Kyoto〉店内
京都〈Okaffe Kyoto〉ダンディブレンド、オリジナルのパンどら
ダンディブレンド650円、オリジナルのパンどら(粒あん)600円。あんは〈亀屋良長〉。

Information

京都〈Okaffe Kyoto〉外観

Okaffe Kyoto

五条に姉妹店〈Okaffe ROASTING PARK〉があり、豆の焙煎はそちらで。プリンハードボイルド、タマゴサンドセニョリータなど、遊び心のあるユニークなメニュー名も特徴だ。

オカフェ キョウト
住所:京都市下京区綾小路通東洞院東入ル神明町235-2|地図
TEL:075-708-8162
営:9時~20時
休:無休
Instagram:@okaffe.kyoto

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