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2025年の関西Jを盛り上げた両雄が激突「京都サンガFCvsヴィッセル神戸」

  • 2025.12.14

2025年のJリーグも全日程が終了。来シーズンからは「秋春制」への移行のため、現行のフォーマットでのシーズンはひとまず終了となる。優勝、降格、躍進、低迷…年末に訪れる悲喜こもごもの感情を味わえる最後の機会に、関西では京都サンガFCとヴィッセル神戸がサンガスタジアムで激突した。

史上最高3位で飛躍の1年に 京都サンガ

画像1: (C)Getty Images
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チョウ・キジェ(曺貴裁)体制5年目となったサンガにとって、2025年は躍進の1年。終盤まで優勝争いを繰り広げた。

一方で吉田孝行体制4年目のヴィッセルは、前2年から守ってきたリーグタイトルをさらに防衛する1年。しかしながら、今季は“低迷”。同じく前年戴冠した天皇杯も準優勝に終わり、最終節を前に吉田監督の退任報道が出た。

相対する両者だが、37節時点の順位は3位(サンガ)と5位(ヴィッセル)。関西勢でトップファイブにつける両雄の激突となった。

注目の試合は双方がベストメンバーで望む中、ヴィッセル側は3トップの右に昨シーズンMVPである武藤嘉紀ではなく、エースナンバー13をつける佐々木大樹を起用。互いに膠着した中で試合が進む中、ヴィッセルはその佐々木とサイドバックを預かる酒井高徳が右サイドを突破。やや押し気味に進める。

画像2: (C)Getty Images
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しかし流れは徐々にサンガへ。35分にはエースFWラファエル・エリアスが突破して決定的なシーンを演出。ここはヴィッセル守護神前川黛也の体を張ったスーパーセーブにより事なきを得るが、直後の38分にコーナーキックからマルコ・トゥーリオが右足一閃。サンガが先制に成功する。そのまま前半は終了。

対照的だった「トップファイブフィニッシュ」

エンドが変わって後半に入ると、サンガ側のエンジンが全開。終始押し気味に試合を進める。これに対して追いかけるヴィッセル側も、武藤嘉紀・エリキ・鍬先拓弥の三枚替えを敢行。

しかし流れは変わらず、サンガは中盤に君臨する福岡慎平やジョアン・ペドロの巧みな配球から、エリアス・トゥーリオの名コンビに、左ウイングの原大智やサイドバックの須貝英大が代わる代わるゴールへと侵入する。

これぞまさに「This is チョウ・キジェ」。クラブ史上最高順位の3位に入らんがため、モチベーションの高さを随所に感じさせた。

そして77分。スペースに抜け出したエリアスが飯野七聖を振り切って追加点を決める。

一方のヴィッセルだが、その後ジェアン・パトリッキを投入するも好転にいたらず。守備の要マテウス・トゥーレルとエリアスとのマッチアップは見どころ満載ではあったが、守備陣の奮闘むなしく攻撃陣が停滞と、今シーズンを象徴するかのような試合に。先の天皇杯決勝町田ゼルビア戦を彷彿とさせる内容でそのままゲームセット。リーグ戦に関しては、9月27日開催の32節清水エスパルス戦から6試合勝ちなしという結果となった。

これにより、京都サンガはクラブ史上最高順位の3位でフィニッシュ。一方ヴィッセル神戸は先の低迷があったものの前節と同じく5位のまま。対照的な結果ではなったものの、トップファイブに関西から2クラブが食い込むシーズンとなった。

それぞれが抱いた「悔しさ」

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記者会見場では吉田孝行監督、チョウ・キジェ監督の順に会見に望んだが、試合結果そして去就(退任/続投)もあって対照的な表情。吉田監督はシーズンについては、随所で「歯車」が嚙み合わなかったと振り返る。

具体的には「いつもいる場所」や「攻撃で裏を受けるタイミング」など指摘。リーグ戦5位天皇杯準優勝と、これまでのクラブ史から見ると“望外”の結果ではあるものの、一方で歯車がごまかせなくなった終盤戦の低迷を鑑みると、監督交代という決断にいたるひとつの区切りになった面は否めない。

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一方で、前2年の連覇も含め、確固たるベースが出来たと異口同音に語ったのはMIXゾーンで対応した選手たち。主将山川哲史をはじめ、扇原貴宏、酒井高徳、宮代大聖、佐々木大樹、前川黛也がそれぞれの言葉で紡いでいた。悔しさをもとに来年はチャレンジャーとして臨むといった姿勢には、ヴィッセル神戸というクラブがこれまでとは異なるステージに視座を持つことになった証左といえる。

それに至る「勝つことへの執着」を植え付け、Jリーグ連覇と天皇杯優勝をもたらした吉田孝行という存在は、クラブ中興の祖ともいえるかもしれない。

異口同音といえば、京都サンガもまた更なる高みに目を向けたシーズンと受け止めているようだ。

クラブ史上最高順位(3位)という確固たる実績にかかわらず、指揮官チョウ・キジェをはじめ、目を向けていたのは「無冠」という結果について。優勝を決めた鹿島アントラーズと対戦した35節での終了間際の痛恨の失点など、チャンスはあったことも踏まえての振り返りといえるだろう。

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特に昨年途中からの加入から京都サンガ躍進の象徴となっているエリアスは、シーズン途中に怪我で離脱したこともあり、来シーズンは更なる高みを目指すという。

ちなみにシーズンでのベストゴールは岡山戦での2ゴール目とのこと。インタビュー終了後には、報道陣に向けて感謝の言葉を並べるなど、好青年を絵にかいたような人柄は、来シーズンもサンガスタジアムでサポーターに歓喜を届けるだろう。

躍進と低迷という相対する立場で、それを反映するかのような試合だったが、両者ともに浮かび上がったのは「悔しい」という感情だったのが印象的だった今年最後の関西ダービー。

大阪の両雄ガンバ大阪&セレッソ大阪も含め、秋春制となる2026~27シーズンも、関西Jは要チェックや!

(取材・執筆:向山純平)

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