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Netflix「ショーン・コムズ:裁きの時」がディディに与える影響【ピーチズのOM(F)G!】

  • 2025.12.14
Getty and Aflo

性的人身売買などの罪状でニューヨーク地検がディディを起訴した直後、「ディディのドキュメンタリーを作る」と公表していたカーティス“50セント”ジャクソン。ディディとはライバル関係にある彼が、アレックス・ステイプルトン監督と組んだNetflixドキュメンタリー「ショーン・コムズ:裁きの時」は、配信されるとほぼ同時にネットフリックスの各国チャート1位に輝き、今後のディディ裁判へ与える影響も気になるところ。人気長寿連載セレブウォッチャーPeachesがチェック!

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ドキュメンタリーシリーズでディディの罪を暴く試み

新進気鋭のアーティスト・ディディとそのゴーストライターを務める元ギャングのラッパー・50セントという関係から始まり、20年以上にもわたって確執を繰り広げているふたり。50セントはSNSやメディアのインタビューを使ってディディの性的嗜好やギャングとの関係、さらには殺人疑惑までを皮肉まじりのジョークでからかい続けてきたが、実際はディディが犯した罪を暴く機会を本気で待ち望んでいたようだ。そしてディディに司法の手が伸びたことで到来したそのチャンスを、4部構成のドキュメンタリーシリーズ製作という形でタイムリーに使ったのだ。

「最も汚いビジネスを扱った人物を見つけなければならない」

パフ・ダディやP・ディディ、ディディなど次々と芸名を変化させながら業界を上り詰めていったショーン・コムズの栄枯盛衰を描くNetflixシリーズは、6日後に逮捕が迫ったディディが焦りまくる姿から始まる。FBIや保安官事務所に家宅捜査されたディディは「捜査に協力する姿勢を示す方がいい」という弁護士のアドバイスを受け入れてニューヨークに移動。ホテルに入り、逮捕を待つ彼がネガティブな報道を巧みに操作するために「最も汚いビジネスを扱った経験のある、我々と協力してくれる人物を見つけなければならない」と電話で捲し立てる姿は恐ろしい。ネット上でネガティブ・キャンペーンを作り出すPRの専門家がエンタメ界で暗躍していると思わせるエピソードだ。

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ドキュメンタリーに本人が反応

配信後に、ディディ本人が「悪意ある作品」と公式声明を出したこの番組には今まで知られていなかった衝撃の事実(?)も多く含まれている。リアリティ・スターでもないのにビデオカメラマンに半生を撮影させてきたディディの当初の意図は不明だったが、公開後に本人が出した公式声明では、“自分の人生を自分の言葉で語るドキュメンタリーを作るために、19歳の頃から映像を撮りためていた”そうだ。SEXパーティ「フリークオフ」のビデオ撮影もそのためだったのか?

ちなみに公式声明でディディは、「『ショーン・コムズ:裁きの時』には公開許可のない盗作映像が含まれている」として法的措置を取ると主張している。これが本当なら大問題だが、配信しているのはストリーミング・サービスの最大手であり、ワーナー・ブラザーズを買収することがほぼ決定しているNetflixだ。鉄壁の法律家チームを抱えている会社が法的問題をクリアにせずに映像を使用するわけはないので、たとえディディが法的措置を取ったとしても痛くも痒くもないはずだ。実際、ステイプルトン監督もプロデューサーを務める50セントもメディアの取材に対し、「映像は合法に入手した」と断言している。

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ディディのケチぶりがネガティブに

ディディは「ビデオカメラマンを雇い、報酬を支払った以上、録画されたすべてのコンテンツの所有権は俺のものだ」と主張している。しかし、彼の元広報担当者で現在は芸能記者として活動するロブ・シューターによると「ケチだから、正式な契約を交わすことを拒否していた」とのこと。つまり契約書は存在せず、報酬も未払いであれば、ビデオ映像の著作権は全てビデオカメラマンのもの! ディディがネットフリックスやビデオカメラマンを訴えたとしても勝ち目はないだろう。

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さらにこれらの映像によってデイディは新たな問題に直面する可能性もある。それはディディの弁護団のひとり、刑事弁護士マーク・アニフィロとの会話を録音したり、撮影したことだ。撮影に気づいた瞬間、撮影をやめるように言うシーンもあるアニフィロ弁護士は録音されていたことには気づいていなかったとされている。弁護士と依頼人の会話は秘匿特権で守られるのだが、その会話がドキュメンタリー作品に使用されたとなれば話は別。組織犯罪共謀罪、いわゆるRICO案件ではディディを有罪にできなかったニューヨーク地検が情報開示を求めることはないだろうが、彼が現在抱えている50件以上もの民事訴訟において、刑事捜査に関連する可能性のある新たな情報をアニフィロ弁護士に開示請求する可能性が出てくる。

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ディディのケチぶりと契約書嫌いはドキュメンタリー内でもラッパーのマーク・カリーやクレイグ・マックの元妻ロザンヌ・ジョンソン、バッドボーイ・レコードの創設メンバー、カール・バロウズら複数の証人が語っている。所属アーティストの取り分を掠め取ったり、契約内容を一方的に変えたりしていたようだ。現在、ディディと彼の母親ジャニスを詐欺行為で訴えているバロウズはビギー・スモールズの葬儀代をバッドボーイ・レコードが支払うと言いながら、遺族に押し付けたと主張しているが、配信直後にビギーの遺産管理団体が否定。バロウズの番組内での発言は、ディディVSバロウズの訴訟問題においてはディディに有利に働くに違いない。

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2パックとビギー・スモールズの殺害事件の真相は?

さらにディディのケチが功を奏したと思われるのは、2パック(本名:トゥーパック・シャクール)殺害に関わった疑惑に関して。ドキュメンタリー中では2パックとビギー・スモールズの殺害事件にディディが関与したと証言する人物も登場する。2年前に2パック殺害容疑でラスベガス警察に逮捕された元ギャングメンバー、ドゥエイン・デイヴィスも2019年に出版した回想録でもディディから100万ドル(2025年12月12日現在、約1億5570万円相当)でふたりの殺害を持ちかけられたと書いていたが、肝心の懸賞金は受け取っていない。

殺害に関与したことが発覚するのを恐れたディディが「あれは冗談だった」のひと言で懸賞金の支払いを拒否したという噂もあれば、ディディは数千ドルしか支払わず、それを仲介者がキーフDに渡さなかった説も! どちらにせよ、2026年8月に始まるキーフDの裁判で再びディディの関与が取り沙汰される可能性はありそう。

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ダニティ・ケインの元メンバーオーブリー・オデイ忌まわしい記憶も明らかに…

ディディが現在50件以上もの民事訴訟に直面していることは前述したが、ドキュメンタリーに登場したシンガー、オーブリー・オデイもその訴訟に加わるかもしれない。番組中で彼女は、ある女性の宣誓供述書を読み上げるのだが、そこにはディディともう一人の男性が彼女を性的暴行しているのを目撃したと書かれていたのだ。2005年のMTVシリーズ「Making The Band」でディディがプロデュースしたガールズグループ「ダニティ・ケイン」の元メンバーだったオーブリーは、彼に性的奉仕をしなかったためにバンドを解雇されたとずっと主張してきた。宣誓供述書に書かれていた事件は記憶にないと語るオーブリーだが、忌まわしい記憶を封印してしまった可能性は無きにしも非ず。「レイプされたかどうかもわからないし、知りたくもない」と番組中で語った彼女が詳細を思い出して、ディディを告訴したら、セレブ同士の裁判なので注目度がまた高まるだろう。

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ディディ復帰後の華々しい計画

有罪判決を受け、現在ニュージャージーの刑務所で過ごしているディディは、服役後にエンタメ界への華々しい復帰を計画していると言われている。息子たちは音楽業界で父親の居場所を確保し、双子の娘たちは大学進学せずにファッションブランド「ショーン・ジョン」の経営を引き継いだもよう。父親不在の帝国を守り続けようと頑張るコムズ家の子どもたちに焦点を当てるリアリティ番組の企画も水面下で進行中との情報もあった。しかし「ショーン・コムズ:裁きの時」配信でディディへの反発が高まり、子どもたちの努力が無に返すかもしれない。

ドキュメンタリー作品をすべて事実と受け止めるのはナイーブすぎると誰もが知っている。ほとんどの作品が恣意的なもので、製作者サイドの主観が反映された映像は見る人を製作者サイドが考える「真実」へと誘導する。それを踏まえた上で配信作を見て、彼がこれから先、直面するであろう問題や周囲の人々に与える影響について考える必要がありそうだ。

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