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【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派

  • 2025.12.14

400ccトレール&モタードに、スズキが新風を吹き込む。新開発Gモードをはじめとした電子制御がライダーを支え、足まわりはレーサー譲りのしなやかさ。DR-Z4S/SMが描くのは、「操る楽しさ」と「安心感」が両立する新時代のデュアルパーパス像だ。

【DR-Z4S】誰にでも扱いやすく、本気で走れば応えてくれる

DR-Z4Sでダートに踏み入れた瞬間、まず感じたのは400ccとは思えない軽快さだった。車高は高めだが、車体の取り回しは驚くほど軽く、林道でも自在に操れる印象だ。エンジンの制御も緻密で、ラフなアクセル操作でもスムーズにトルクを出してくれる。ストールの気配がなく、低速域からしっかり粘る。この安心感が、オフロードでのリズムを作り出している。

足まわりはどちらかといえば柔らかめだが、単に柔らかいだけではなく、ストローク全域でしなやかに動く。引っかかりのない作動感で、ジャンプの着地や段差の通過も難なくこなす。路面の起伏を丸ごと吸収するようなサスペンションの動きは、「レーサーの硬さ」と「一般車の柔らかさ」のちょうど中間にあるといえる。扱いやすく、それでいて本格的だ。

【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
自然なスリップコントロールで安心感大
【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
A、B、Cの出力モード、トラクションコントロール、ABS解除などシチュエーションにあった出力や挙動を選ぶことができる。グラベルに特化したGモードでは「少しリアが滑ってもそのまま前に進む。アクセルをラフに開けても制御が効いて、自然にグリップを取り戻してくれる。林道でちょっと滑るくらいなら、Gモードで十分楽しめます。」(テスター中木)

電子制御では、新開発のGモードが印象的だった。意図的にスライドを試みても、リアが滑りすぎることなく、前へ押し出すように進んでいく。アクセルをラフに開けても車体が破綻しない安心感があり、林道ビギナーでもコントロールがしやすい。Gモードを切るとリアが大きく流れるため、上級者なら思い通りに振り回すことも可能だ。

全体としてDR-Z4Sは、軽さとしなやかさを兼ね備えた「ちょうどいい」デュアルパーパス。足まわりの完成度が高く、ノーマルのままで十分に楽しめる仕上がりだった。オフでもオンでも自然体で走れるこのバイクは、まさに「誰もが楽しめる本格派」。走るたびにスズキらしい誠実な作り込みを感じさせてくれる。

【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
レーサーのサスペンションは硬すぎ、一般車は柔らかすぎる。DR-Z4Sはそのちょうど中間にある。レーサーの安定感とストリートのしなやかさを両立している
【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
ダートでは車高の高さを感じさせない軽快さがあり、車体を左右に振る動作や、スタンディングでの取り回しも驚くほど自然

【DR-Z4SM】ストリートもサーキットも、すべてが自然。

DR-Z4SMにまたがった瞬間、まず感じるのは前後バランスの良さだ。高速コーナーでは抜群の安定感を見せ、車体がどっしりしているのに軽快な動きだ。サスペンションの初期作動が非常にスムーズで、ターマックのギャップを自然にいなしてくれる。レーサーのように硬すぎず、長時間走っても体への負担が少ない。

エンジンは扱いやすく、ピーキーさが一切ない。スロットルを開けた分だけ力が湧き上がるリニアな特性で、低速では粘り強く、高回転ではパンチがある。

【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
スーパーモタードの新たな完成形

電子制御の完成度も高く、Aモードでは1速・2速で軽くウイリーできるほど俊敏だが、暴れずにコントロールしやすい。ABSも非常に自然に効いてくれる。思いきりブレーキをかけても不意に制御が切れることがなく、滑らかな減速だ。昔のABSにあった“ガクッと抜ける”感覚は皆無で、安心してブレーキングできる。

長時間乗っても疲れにくいのもこのDR-Z4SMの魅力だ。ギャップを吸収する脚がよく働き、高速道路の橋の継ぎ目などを越えても衝撃が少ない。バイクに体を預けたまま、リラックスしてコーナーを抜けていける。

スーパーモタードらしい俊敏さを持ちながら、レーサーの硬さやピーキーさを排除した新世代の一台。オンロードでもオフ寄りのターマックでも自在に楽しめる懐の深さがある。レースで培った脚を持ちながらも、ストリートでの快適性を兼ね備えた、まさに「しなやかに速い」モタードだ。

【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
「ターマックの高速コーナー中でも、ギャップや滑りやすい箇所を通過しても、バイクが勝手にいなしてくれます。全然疲れないんです。」(テスター中木) レーサーライクなのにストリートでも快適というDR-Z4SMの特徴

DR-Z4S/SM

【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
DR-Z4S
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【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
DR-Z4S
【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
DR-Z4SM

全ての回転域で力強くトルクフルな新エンジン

ユーロ5排出ガス規制対応となる新型DOHC4バルブエンジン(シリンダーヘッド、ピストン、クランクケースを新型化)は、メカニカルロスを低減し、排気システムに2段触媒を追加すると同時に吸排気系・燃焼系・駆動系などを全面アップデートした。吸気口を直線的にシート後方へ配置することで、低回転域から力強くスムーズなトルク特性を発揮。スロットル径の拡大や吸気側チタンバルブの採用、カムプロフィールの最適化などにより、高回転域の伸びやかなパワー特性も実現している。

ライディングポジションの最適化

広く自由なポジションを確保し、荷重移動がしやすい設計の車体。海外仕様のシート高が920mmなのに対して国内仕様は890mmのローシートを採用。シート幅を従来比17mm拡大し、形状+高密度ウレタンで快適性を向上。またフットレストを16mm広げ、安定性をアップ。ラバーを外すことでオフ走行時のグリップ性を強化している。

【スズキ DR-Z4S/DR-Z4SM】誰もが楽しめる本格派
海外仕様890mmで、国内も同仕様を採用するが、オプションとして30mm低いローシートも設定

幾度のテストを経てたどり着いた究極のモード

軽量コンパクトなフル液晶インストルメントパネルで表示される各種モード。2009年にスズキに入社、全日本モトクロス・JNCCライダーとしても活動された山本浩史氏がエンジン適合を担当している。「誰が乗っても楽しめる万能型エンジンフィーリング」を求め、また電子制御の各モードに関して膨大なパターンのテストを経て煮詰められた各種ドライブモード。

トラクションコントロールなどの電子制御を駆使することで、ライダースキルや求める特性などに対応する。

  • Aモード(アクティブ):加速重視・刺激的なレスポンス/エキスパートライダー向け
  • Bモード(バランス):標準モード、自然で扱いやすい特性/オールラウンド
  • Cモード(コンフォート):穏やかで優しい特性、初心者にも最適/街乗り・ツーリン

フルアジャスタブルなKYBサスペンションを搭載

DR-Z4Sは初心者でも扱いやすく、上級者も満足できるワイドレンジ特性のサスペンション。フロントは倒立フォーク採用により剛性アップ、ブレーキング時の安定性を向上。リアもプロリンク式リンケージに変更し、路面追従性・吸収性を改善している。

DR-Z4SMはDR-Z4Sと共通構造の前後サスペンションを搭載。共に高速・低速両方の圧減衰力を個別に調整可能だ。

ツインスパーフレームへ進化

フル新設計となるスチール製フレームは最適剛性と強度を両立した、ツインスパー形状のセミダブルクレードルタイプ。またアルミ製シートレール・アルミスイングアームを採用し、剛性バランスと軽量化を実現。

機能的かつミニマルなライト

1つの発光部でハイ・ロービーム切り替えが可能なバイファンクションLEDヘッドランプを搭載。コンパクト設計のLEDテール・ストップランプ、ターンシグナル一体型ポジションランプがスタイリッシュ。

専用ホイール&ブレーキを採用

DR-Z4SはIRC製「GP410」を標準装備(フロント21インチ、リア18インチ)。DR-Z4SMはダンロップ製「SPORTMAX 95A」(前後17インチ)を履く。ブレーキシステムに関してDR-Z4Sは車両重量増に対応するため、前後ディスク径を20mm拡大。リアブレーキはレバー比の最適化を図る。DR-Z4SMは従来型の強力な制動力を継承。

リアはSモデル同様にアップデートされている。ABSはオン/オフ切り替えが可能で、ライダーのスキルや好み、路面状況に応じて選択可能だ。

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