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【温泉宿アワード2026】ニューフェイス部門|茶と湯が響き合う「嬉野八十八」など5つの宿をご紹介

  • 2025.12.11
左:写真提供=山人-oga- 中:撮影=竹内さくら 右:写真提供=オステリア・シンチェリータ

全国各地の名湯を知り尽くしたエキスパートの投票・推薦による「温泉宿アワード」。3回目の今号は、近年誕生したニューフェイス部門を新設、パワーアップしてお届けします。新たな年に"行きたい宿"を見つけてください。

ニューフェイス部門に選ばれた宿の特徴は、"おこもり感"。コロナ禍以降、よりプライベート感を重視した新たな宿が誕生しています。2023年以降にオープンした宿から、多く票を集めた宿を厳選してご紹介します。

嬉野八十八 (うれしのやどや)[佐賀・嬉野温泉]

2025年9月オープン

嬉野ならではのとろとろの湯を、客室でも大浴場でも───朝香さん

70℃と90℃の源泉を特別な装置で適温に冷まして掛け流している。 撮影=竹内さくら

推薦者
朝香さん(美肌温泉家)
稲葉俊郎さん(医師・作家)
中野智恵さん(編集者・ライター)

茶と湯が響き合う嬉野の新たな癒やし処

佐賀の嬉野といえば、温泉にお茶。そのふたつの名物を掛け合わせた湯宿が「嬉野八十八」です。「地球の水がお茶になったり温泉になったり……命になって循環していることを感じられる宿」と、稲葉さんが評するように、滞在中は古くから美肌の湯で名高い嬉野温泉と、深みある緑色に強い香りと旨みが感じられる嬉野茶を存分に味わうことができます。

チェックイン後の30分、ティーセレモニールームで茶師の説明を聞きながらお茶を(予約制)。異なる淹れ方で三煎、2種のお菓子とともに。 撮影=竹内さくら

地元のふたつの茶農家「きたの茶園」「田中製茶工場」から専属茶師を迎えて行われるティーセレモニーで、滞在は始まります。

大浴場に隣接したドライサウナ。香炉から茶の香りが満ちる。 撮影=竹内さくら

ここでゆっくりと嬉野茶を味わったあとは、湯を満喫。露天の大浴場には、茶香炉を備えたドライサウナと茶アロマのロウリュの2タイプのサウナを併設しています。「湯上がりには館内の各所に嬉野茶が用意されており、バーには茶カクテルやモクテルがあるのも面白い」と朝香さん。滞在中ずっと、“茶×湯”の楽しみは尽きません。

撮影=竹内さくら

すべての客室に温泉が備わっていますが、中野さんのおすすめは「ゆったり過ごせるオールインクルーシブの離れ『八十八別邸』。プライベートのお庭やサウナもあります」。

お茶にも関係する雑節「八十八夜」にちなんだ「嬉野88キロフード」。料理長自ら足を運んで探した食材が並ぶ。 撮影=竹内さくら

嬉野から88キロ圏内の、西九州の食材を集めた夕食「嬉野88キロフード」もお忘れなく。

バーで楽しむ茶カクテル。シグニチャーの「嬉風」。 撮影=竹内さくら

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金37,650円~、別邸ラグジュアリースイート105,850円~(ともにサ別)
IN15時 OUT11時 全36室
tel.0954-20-2188
Google mapで確認
佐賀県嬉野市嬉野町下宿丙2400-30

嬉野八十八

おやど 森の音(ね)[山形・かみのやま温泉]

2024年2月 リニューアルオープン
ローベッドを備えた広縁付きのシンプルな和室。窓いっぱいに緑が溢れる。 写真提供=おやど 森の音

推薦者
山崎まゆみさん(温泉エッセイスト・跡見学園女子大学兼任講師)

緑と木の温もり。くつろぎの空間でひと休み

「おやど 森の音」は、約70年続く老舗旅館「日本の宿 古窯」がプロデュースした、木の温もり溢れる宿。「無垢材の床やアンティーク家具が調和した安らぎの空間。ダイニングでは厳選された県産ワインをいただけます。

レストラン「森の音ダイニング」では、山形牛やジビエやかみのやま産のワインなど里山の美味を提供。 写真提供=おやど 森の音

「一日14組という規模感もちょうどよく、暮らしたくなるような居心地のよさがあります」と山崎さん。館内にはアートブックなどが並ぶライブラリースペースや暖炉のあるロビー、ひと休みできるガーデンなど、客室だけでなくパブリックスペースで思い思いにくつろげるのも魅力。新緑に桜にと四季折々の森の表情を見に訪れたくなる宿です。

春は桜満開のテラスで食事というお楽しみも。 写真提供=おやど 森の音

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金22,000円~(サ別)
IN15時 OUT10時 全14室
tel.0570-03-0810
Google mapで確認
山形県上山市河崎反田848

おやど 森の音

五氣里 (いつきり) -itsukiri-[千葉・南房総いすみ 五氣里温泉]

2023年7月オープン
プライベートサウナと水風呂を完備したプレミアムスイート。 写真提供=五氣里 -itsukiri-

推薦者
岩佐十良さん(「自遊人」代表取締役・クリエイティブディレクター)

都心から車で90分。ゆったりと流れる里山時間

「五氣里」という名前には「里・食・宿・湯・遊」という5つのキーワードを込めており、そのどれもが滞在の軸となっています。都心から車でおよそ90分という立地ながら、喧噪を離れて自分を取り戻せる場所。古民家をリノベーションした一棟貸し2棟のほか、サウナや水風呂付きの部屋や愛犬と泊まれる部屋など個性豊かなプライベートヴィラ11棟、グランピング仕様のドームテント7棟と、さまざまな楽しみ方ができます。

いすみの食材を使ったローカル・ガストロノミーは岩佐さんも注目するシェフ・木村藍さんによるもの。 写真提供=五氣里 -itsukiri-

岩佐さんが特におすすめするのは食。「木村藍シェフによる、いすみの食材だけに絞った料理はかなりレベルが高い」と太鼓判を押します。珍しい黒湯の温泉とプライベートサウナなど話題に事欠かない宿です。

全室に客室温泉を完備。全国的に稀少といわれる黒湯を楽しめる。 写真提供=五氣里 -itsukiri-

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金41,700円~ 「プレミアムスイート」49,400円~(サ別)
IN15時 OUT10時 全20室
tel.0470-60-6090
Google mapで確認
千葉県いすみ市下布施2891

五氣里 -itsukiri-

山人 (やまど)-oga-[秋田・ 鵜ノ崎 (うのさき)温泉]

2025年5月オープン
日本海とつながる露天風呂。硫黄分を含む乳白色の湯はしっとりまろやか。 写真提供=山人-oga-

推薦者
須田秀子(婦人画報編集部)

男鹿の大地と海を一望。大自然の一部になれる

岩手の人気宿「山人」が、日本海を一望する秋田・男鹿半島に新たに誕生させたのが「山人-oga-」です。2・3ヘクタールもの広大な敷地の中に、洗練された意匠の建物と男鹿の原始的な大自然が共存する、唯一無二の絶景の宿です。

日没時の夕日とともに、満天の星の美しさも壮観。 写真提供=山人-oga-

「男鹿の海は荒々しい力強さがあり、人智を超えた大自然との一体感を覚えます。水平線に沈む夕日も感動的でした」(小誌・須田)
毎朝地元漁港で水揚げされる鮮魚を中心に、男鹿が育む恵みを惜しみなく使ったひと皿で楽しませてくれる館内のレストラン「isana(イサナ)」も好評です。

客室は和洋室ありの3タイプ。すべてオーシャンビューであり、広いテラスと半露天の内風呂がある。 写真提供=山人-oga-

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金39,050円~(サ別)
IN15時 OUT11時 全16室
tel.0185-47-7776
Google mapで確認
秋田県男鹿市船川港台島鵜ノ崎62-29

山人-oga-

オステリア・シンチェリータ[山形・赤湯温泉]

2023年4月オープン
円窓が印象的な、瞑想をテーマにした蔵王石をくりぬいた岩風呂。 写真提供=オステリア・ シンチェリータ

推薦者
植竹深雪さん(温泉ジャーナリスト)

湯と美味を堪能する3室だけのオーベルジュ

“美食と湯”のための3室のみのオーベルジュが「オステリア・シンチェリータ」。人気の老舗旅館「山形座 瀧波」 の敷地の一部を改装した、静謐かつラグジュアリーな滞在を求める大人のための宿です。

2025年の『ゴ・エ・ミヨ』で3トックを獲得した原田シェフ。 写真提供=オステリア・ シンチェリータ

原田誠シェフが担う料理は、置賜(おきたま)盆地が育む季節野菜、米沢牛、舟形マッシュルームなど、素材の力を存分に引き出す一皿一皿。10 ℃を超える寒暖差が滋養を蓄えるこの地の恵みを、薪火焼きやオーブン調理で提供。「ミシュランシェフが腕を振るう絶品イタリアン懐石は絶品。食のために訪れる価値ある宿です」(植竹さん)

朝食は、有機野菜農家のネットワークを生かしたサラダや郷土料理の芋煮、つや姫の炊きたてご飯も。 写真提供=オステリア・ シンチェリータ

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金77,000円~(サ込)
IN15~18時 OUT11時 全3室
tel.0238-43-7800
Google mapで確認
山形県南陽市赤湯3005

オステリア・シンチェリータ

撮影=竹内さくら(嬉野八十八) 編集・文=柏木敦子、石黒三惠(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年1月号より

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◾️特集「2026年温泉宿アワード」

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