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エイジング悩みに効く「Anti-Aging 8」──今日からできるプラントベース実践ガイド

  • 2025.12.9

食生活を組み立てるうえで意識したい8つのこと

エイジングと“食”に思いを巡らせたとき、ヴェルヌ華子さんには指針としてシェアしている考え方があるという。「プラントベース栄養学の権威であるマイケル・グレガー博士が提唱する“Anti-Aging 8(アンチエイジング8)”という考え方があります。私自身もこの8つを日々の食生活の指針にしていて、栄養素選びや食材の優先順位を決めるときの大きなヒントになっています」。積極的に摂りたい食材や栄養素、控えるべきもの、食事のタイミングなど、その内訳は以下のとおり。

  1. ナッツ

    “植物性の総合栄養源”と言われ、植物性タンパク質、良質な脂質(とくにオメガ3)、ビタミンE、ミネラルがバランスよく含まれる。抗酸化作用が高く、満足感も得やすい。
  2. 色の濃い葉野菜

    ほうれん草や小松菜、ケールなど。β-カロテン、ビタミンC、葉酸、カリウムなど、エイジングケアに欠かせない抗酸化ビタミンとミネラルが豊富。
  3. ベリー類

    ポリフェノールが非常に豊富で、抗酸化・抗炎症作用が群を抜いて高いフルーツ。 肌や血管、脳の健康にもメリットが期待される。
  4. アブラナ科の野菜(特に、ブロッコリースプラウト)

    ブロッコリースプラウトに多いスルフォラファンは、体の解毒酵素をサポートし、抗酸化にも作用するとされるフィトケミカル。ケールやカリフラワーにも含まれる。
  5. 豆類

    植物性タンパク質と食物繊維の宝庫。動物性から植物性タンパク質へ切り替えることで、炎症・酸化ストレスの負担を減らし、エイジングリスクを下げる可能性が指摘されている。
  6. プロバイオティクス

    納豆、キムチ、味噌などに含まれる“生きた微生物”。腸内環境を整えることで、免疫・肌・メンタルにもポジティブな影響が期待できる。
  7. 動物性タンパク質を控える

    肉に多い飽和脂肪酸や、加工肉など含まれる添加物・加工脂が増えると、炎症や酸化ストレスが高まり、エイジングリスクが上がると報告されている。量を控えめにするのがおすすめ。
  8. NAD前駆体の機能向上(細胞のエネルギーケア)

    NADは細胞のエネルギー代謝に欠かせない物質で、近年のエイジング研究で注目されている栄養素の一つ。夕食を早めに済ませて翌朝まで空けるなど、軽い時間制限食(タイムリストリクション)を取り入れると、NAD前駆体の働きがサポートされ、ミトコンドリアの機能にも良い影響が期待されると言われている。

「この8つは、どれも理にかなっている」とヴェルヌ華子さん。「これらを意識して食生活を組み立てれば、エイジングへの対策はおおむねカバーできるのではないかと思います」

エイジング悩みに対するプラントベース的アプローチ

一言でエイジングと言っても、感じ方は人それぞれだし、悩みどころも多種多様。そこで、悩み別におすすめのプラントベース食材を教えてもらった。ヴェルヌ華子さんがどんなものを、どんな風に取り入れているのか、ぜひ参考に。

  • 肌の衰え

    「肌のエイジング対策は日焼けのケアが一番大事」と前置きしたうえで、ヴェルヌ華子さんが意識しているのは「肌の主成分であるタンパク質や、細胞膜の材料となる良質な脂質をしっかり摂ること」だそう。「タンパク質源として植物性タンパク質を、オメガ脂肪酸が豊富なアボカドやナッツ、チアシード、あとやっぱり抗酸化力が高いベリー類やカカオも取り入れるようにしています」
  • ホルモンバランスの乱れ

    「ホルモン系には、やっぱり大豆。肉代わりの大豆テンペ、納豆や豆乳ヨーグルトでもいい大豆に含まれるフィトエストロゲンは女性ホルモンに似た穏やかな働きがあり、ホルモンバランスを整える助けになるとされています」。大豆を積極的に摂ることで生理前のPMS症状が軽くなる人は多く、ヴェルヌ華子さんもPMSがすごく軽くなったという。「大豆の摂取量を増やすのと同じくらい、動物性ホルモンが多い乳製品の摂取を減らすことも大事。私の生徒さんでも、生理前の不調が軽くなる方はとても多いです。」
  • むくみ

    「むくみ解消には、やっぱりカリウムかな」とヴェルヌ華子さん。セロリやキュウリ、パセリ、レモンにもカリウムが豊富に含まれているそう。カリウムは体内のナトリウム量を調整する働きがあり、むくみケアにはとても効果的です。カリウムが多い食材を朝のスムージーに取り入れたり、キュウリとレモンとミントを入れてハーブウォーターみたいな感じにして飲むこともあります」
  • 疲れが抜けない

    疲れの原因はいろいろあるだろうが、「女性に多いのは鉄分不足ではないか」とヴェルヌ華子さんはいう。「レンズ豆やひよこ豆など、豆類には鉄分が豊富です。植物性の鉄は“非ヘム鉄”と呼ばれ、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が数倍高まります。レンズ豆とパプリカの煮込みなどは、疲労回復にいいメニューなんじゃないかと思います」
  • 睡眠の質の低下

    なかなか寝つけない、寝起きがダルいなど、「睡眠に関する悩み解消に効果的なのは、トリプトファン」だという。トリプトファンは日中セロトニンに、夜はメラトニンに変わるため、朝と夜に少しずつ摂るのが効果的とされています。体内で合成できないので、食事から摂取する必要がある。「トリプトファンが豊富なのは、バナナや豆類」だそうで、ヴェルヌ華子さんの食卓にもバナナは必須。「夜は質のいい睡眠のために、朝はエネルギーとして、夜も朝もバナナを食べています」

ヴェルヌ華子さんの朝・昼・夜のプラントベース定番メニュー

バナナと豆乳ヨーグルト、全粒粉のパンケーキ、ベリーたっぷりの朝食。
バナナと豆乳ヨーグルト、全粒粉のパンケーキ、ベリーたっぷりの朝食。
ランチには赤米とアーモンドとズッキーニーのライスサラダ、お豆のスープにナッツや種実のトッピング。
ランチには赤米とアーモンドとズッキーニーのライスサラダ、お豆のスープにナッツや種実のトッピング。
白インゲン豆と白菜の豆乳チャウダー、蒸しカリフラワー、カリフラワーの茎とレモングラスの炒飯、ケールとピーカンナッツのサラダ、大豆ミートの唐揚げ(セロリと醤油麹のソース)でボリューム満点のディナーが完成。
白インゲン豆と白菜の豆乳チャウダー、蒸しカリフラワー、カリフラワーの茎とレモングラスの炒飯、ケールとピーカンナッツのサラダ、大豆ミートの唐揚げ(セロリと醤油麹のソース)でボリューム満点のディナーが完成。

少しずつ足していくのがプラントベースへの移行成功のカギ

エイジングが気になる世代にとって、長年身についた食習慣を変えるのは容易ではないかもしれない。でも、ためらうことなかれ。プラントベースの“食”を始めようと思っている人へのアドバイスを尋ねると、「特別なことをする必要はない」とヴェルヌ華子さんはいう。あえて言うなら、「何かをやめるというより、足す思考を持ってもらいたい」と。例えば、パンとコーヒーだけだった朝食に、野菜のポタージュを一杯足すとか。いきなり全部を変えるのではなく、少しずつ足していけばいいと。「完璧を目指すと続かないから、昨日よりちょっと野菜が摂れたみたいなベイビーステップでやってもらえたらなと思います」。これなら“食”のアップデートが生む好循環を、意外と簡単に体感できそうだ。

用意された環境でプラントベースデビューするのもおすすめ

自身が主催した2泊3日の「シチリア島プラントベースウェルネスリトリート」。
自身が主催した2泊3日の「シチリア島プラントベースウェルネスリトリート」。

プラントベースの食生活に切り替えようと思ってはいるものの、なかなかできないでいる人は、やらざるを得ない環境に身を置くのもひとつの手。「例えば、リトリートとかだと、2泊3日すべてプラントベースの食事が用意され、ただそれを食べるだけ。そして合間には運動、マインドフルや瞑想の時間などが組み込まれ、不思議と自分の体と対話できるようになると思います。これを食べたあとってこんなに元気になるんだとか、いつもよりぐっすり眠れたとか、いろんな気づきがあるはずです」。ヴェルヌ華子さんもプラントベースの食事とヨガなどを掛け合わせたリトリートプログラムを、イタリアや日本の軽井沢で開催している。いま一歩踏み出せないでいる人は、そういうウェルネスリトリートに参加して、プラントベースの食習慣が自分に合うかどうかを判断するのがいいかもしれない。

話を聞いたのは……

ヴェルヌ華子

Plantful Journey 創設者、プラントベース ウェルネスコーチ。25歳で渡仏し、シャネルパリ本社ファッション本部に勤務。2022年ミラノへの移住を機に、米国のヘルスコーチ資格を取得し、プラントベース ウェルネスコーチとしてPlantful Journeyを起業。3ヶ月のウェルネスプログラムを主宰し、食習慣から人生が変わると話題を集める。日本人として初めて、世界最高峰の調理学校ル・コルドン・ブルー・パリのプラントベース学科を卒業。ケータリングやレシピ開発、企業むけ研修など、活躍の場を広げている。@hanako_plantful_journey

Photos: Courtesy of Vernhes Hanako Text: Chiho Ejiri Editor: Makiko Yoshida

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