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年齢の変化とどう向き合う? ホルモン・代謝・コレステロールを“食”で整える、プラントベースエイジングケア

  • 2025.11.27

避けては通れない年齢による体の変化

30代になってから、少しずつ体のリズムが変わってきているのを感じたというヴェルヌ華子さん。「それまでは多少無理をしてもすぐにリカバリーできたのに、疲れがとれにくくなり、気分や睡眠の質にもゆらぎが。特に二人目を出産してからが顕著でした」。コレステロール値がちょっとずつ上がっていることにも気づいたそう。「エストロゲンには、血中の悪玉(LDL)コレステロールを処理する働きがあるのですが、加齢とともにエストロゲンが減少するとその仕組みが弱まり、結果としてコレステロール値が上がりやすくなると言われています。早いと30代から、多くは40代以降に、誰にとっても起こりやすい現象だと言われています」。そして、年齢による体の変化を感じ始めた32歳のとき、食事をプラントベースに切り替えたことで、エイジングに対して心身ともに少なからずポジティブな影響があった。

コレステロール値が自然に下がるプラントベースの食事

玉ねぎ、ズッキーニ、ほうれん草、大麦、レンズ豆のポタージュ。トッピングに、大麦とハーブとレンズ豆をオリーブオイルで和えたものと、プラントベースクリームチーズを乗せて。Photo_ Courtesy of Hanako Vernhes
玉ねぎ、ズッキーニ、ほうれん草、大麦、レンズ豆のポタージュ。トッピングに、大麦とハーブとレンズ豆をオリーブオイルで和えたものと、プラントベースクリームチーズを乗せて。Photo: Courtesy of Hanako Vernhes

食事をプラントベースに変えると、いい変化がいくつもあったそう。「気になっていた疲労感の抜けにくさがなくなって、体力と気力が戻ってきたのが一番大きかったと思います。睡眠の質もかなり良くなり、朝起きたときのスッキリ感や回復したなっていう感覚がグッと上がりました」。37歳のヴェルヌ華子さんより年上の生徒さんたちを見ていても、プラントベースの食によるエイジングケア効果は明らかで、数値的な目に見える変化も期待できるという。「一番多いのが、コレステロール値や中性脂肪の値が下がること。動物性中心の食事で上がりやすい IGF-1やmTORシグナルが穏やかになるという研究があり、“細胞の老化リスクに関わる経路が落ち着きやすい”といわれています。」

植物の圧倒的な抗酸化力で肌にもうれしい変化

ヴェルヌ華子さんが愛用するスキンケアプロダクト。アヴェダ、THREE、ヨンカといった植物成分・ボタニカル処方を基盤にしたフィロソフィーを持ったブランドがお気に入り。Photo_ Courtesy of Hanako Vernhes
ヴェルヌ華子さんが愛用するスキンケアプロダクト。アヴェダ、THREE、ヨンカといった植物成分・ボタニカル処方を基盤にしたフィロソフィーを持ったブランドがお気に入り。Photo: Courtesy of Hanako Vernhes

植物性のものは、抗酸化作用や抗炎症作用がものすごく優れている」とヴェルヌ華子さん。「抗酸化スコア(ORAC値)の比較では、植物性食品が動物性食品より圧倒的に高いという結果が多くの研究で出ています。ある比較では“数十倍以上”というデータもあります」。細胞レベルで老化を防いでくれるのが、植物性の偉大なところ。そのエイジングケア効果は肌にも表れる。「私自身は肌の透明感が上がって、きめが細かくなりました。以前は塗っていたファンデーションを使わなくなり、いまではUVケアだけでOKに。同じくプラントベースの食に切り替えた夫はアトピー性皮膚炎が良くなり、肌がすごくキレイになりました」。

肌悩みを抱えていた生徒さんにも劇的な変化が。「これは医療効果ではなく個人の体験ですが、アトピー性皮膚炎でステロイドが手放せなかった人が、まったくステロイドが必要なくなって。毎朝、鏡に映る自分の顔にガッカリして悲しい気持ちになっていたけど、肌がキレイになったことで一日の始めから笑顔でいられるようになったそうです」

腸活になり体全体に好循環をもたらすプラントベース

プラントベースの食習慣がもたらす変化を実感するまでの時間は、意外と早い。「便通やエネルギーレベル、睡眠の質の変化は2~3週間で感じます。肌や髪の変化に気づきだすのは2~3ヶ月という人が多いです」。ヴェルヌ華子さんも髪に変化が。「もともと白髪がすごく多いんですけど、私自身の体感としては、白髪特有のうねりがなくなってストレートになったんです。頭皮も皮膚なので、植物性の抗酸化力で肌の酸化レベルが整うように頭皮も健康になるのかなと思いました」。

さらに、プラントベースを中心に食べていると、自然と腸活になると。「腸内細菌のエサは食物繊維しかないので。植物をたくさん食べれば食べるほど腸内細菌の多様性やバランスが好転して、いい菌も増える。結果、腸内だけではなく体中を巡る短鎖脂肪酸を菌が作り出してくれます。このように腸内環境が整うと、腸でつくられるセロトニンなどの神経伝達物質のバランスもよくなると言われています。セロトニンは“幸せホルモン”とも呼ばれ、気分の安定や睡眠の質にも関わるので、腸が整うことで体だけでなくメンタル面でもポジティブな変化を感じる方が多いんです」

プラントベースは栄養密度が高く、カロリー密度は低い

自身が主催するイベント「Plantful Inspirations 2025」のワークショップで調理したプラントベースメニュー。〈手前〉カリフラワーのステーキ、カリフラワーのクリームとチミチュリソース〈奥〉栗と洋梨のオータムサラダ。Photo_ Courtesy of Hanako Vernhes
自身が主催するイベント「Plantful Inspirations 2025」のワークショップで調理したプラントベースメニュー。〈手前〉カリフラワーのステーキ、カリフラワーのクリームとチミチュリソース〈奥〉栗と洋梨のオータムサラダ。Photo: Courtesy of Hanako Vernhes

ヴェルヌ華子さんのところにプラントベースの食習慣を学びにくる生徒さんから、美容面の相談を受けることも多いそう。「痩せたいと言う人が結構います。ダイエット目的で始める人もいますが、そうではなかったのにスルスル痩せましたって人も。一番劇的だった人は3ヶ月で8kg痩せて、一緒にやった旦那さんは12kg痩せたそうです」。産後の戻りもてきめんだとか。

「ホールフードは水分と食物繊維が多く“カロリー密度が低い”ため、同じ量を食べても摂取カロリーは低くなります。だから、我慢していないのにキレイにスリムになりましたっていう人が多いです」。カロリーが低いことで、おなかがすきやすくなったりはしないのだろうか? 「それは本当にやり方次第。サラダばかり食べていたら、やはりおなかがすいてハイカロリーなものに手を出してしまいがち。例えば、アボカドなどで植物性の脂質をしっかり取り入れて満腹感や満足感が持続するようにするとか、コツをつかめば腹持ちがよくなります」

“食”はエイジングケアの基本。“食”を変えれば、すべてが変わる

ヴェルヌ華子さん曰く、「私たちの体は、食べたものでしかできていない。だから、見た目だけでなく、メンタルがクリアなこととか、感情が安定していることとか、ハツラツとしていられることとか、すべてが“食”によって内側から作られている」と。至極当然なこの事実に、エイジングケアのヒントが隠されている。

「エイジングケアはその年齢にふさわしい、本来持っているはずのポテンシャルを引き出すことだと思っていて。地味なようだけど、毎日の“食”こそがフルポテンシャルを常に引き出すカギだなと」。

人を形作るいろんなもののベースとなる“食”を見直すことは、エイジング対策においても大事な取っ掛かりに。「“食”は人のライフスタイルの習慣の“コーナーストーン”と言われていて。“食”を変えると、ほかもガラッと変わっていく人がすごく多いです。プラントベースの食習慣にしっかりと向き合っていて、せっかくこれをやっているなら運動も始めようとか。すべてを動かす力みたいなものが“食”にはあります」。食、睡眠、ストレスなどがいろいろとつながっているなかで、食習慣の大切さをあらためて心に刻みたい。

ヴェルヌ・華子のプラントベース・ミニコラム「エイジングは衰えではなく、生き方が刻まれるプロセス」

年齢を重ねることは、衰えることではなく、生き方が刻まれていくプロセス。私はそう感じています。

プラントベースの食習慣を続けるうちに、心も体も少しずつ軽やかになって、「いまの自分を受け入れる」という感覚が、自然と育まれていきました。10年以上を過ごしたフランスで、女性たちが年齢を重ねることを恐れずに楽しんでいる姿を見てきましたが、彼女たちは、若さを保とうと戦うのではなく、“いま”の自分をどう心地よく生きるかにフォーカスしています。白髪やシワも含めて「これが私」と微笑む姿に、私も深く影響を受けました。

長年、シャネルで働いていたこともあり、創業者のココ・シャネルの言葉で好きなフレーズがあります。

「20代の顔は自然がくれる。30代の顔は人生が作る。50代の顔は自分の功績。」

この言葉は、私にとってエイジングの指針のようなもの。歳を重ねることは、私たちがどんなふうに生きてきたかを刻んでいく、美しい記録なのだと思うのです。

そして、もうひとつ。エイジングにおいて、いちばん大切なのはメンタルだと感じます。年齢を「抗うもの」と考えると、いつの間にか戦闘モードになって、自分を責めたり、鏡の中の変化に落ち込んだりしてしまう。でも、年齢を「受け入れるもの」として見ると、心がふっと軽くなり、自分へのまなざしがやさしくなるんです。

例えば、ある日ふと鏡を見て「白髪が増えたな」と思ったとき、以前の私なら焦って染めに行っていたかもしれません。でも今は、「この白髪は、私が生きてきた証」と思える。夫が「そのほうが知的で素敵だよ」と言ってくれた言葉も、その気持ちを後押ししてくれました。

変化を受け入れることは、過去を愛し、未来を信じることでもある。自分を責めず、誰かの変化にも優しくなれる。そんな連鎖が広がれば、“エイジング=老い”ではなく、“エイジング=深まる生”として、もっと多くの人が自分らしく輝けるのではないでしょうか。

話を聞いたのは……

ヴェルヌ華子

Plantful Journey 創設者、プラントベース ウェルネスコーチ。25歳で渡仏し、シャネルのパリ本社ファッション本部に勤務。2022年ミラノへの移住を機に、米国のヘルスコーチ資格を取得し、プラントベース ウェルネスコーチとしてPlantful Journeyを起業。3ヶ月のウェルネスプログラムを主宰し、食習慣から人生が変わると話題を集める。日本人として初めて、世界最高峰の調理学校ル・コルドン・ブルー・パリのプラントベース学科を卒業。ケータリングやレシピ開発、企業むけ研修など、活躍の場を広げている。また期間限定で、プラントベースを学びたい方のための無料のスタートアップセミナーを開催中! 詳しくはこちらからチェックして。@hanako_plantful_journey

Text: Chiho Ejiri Editor: Makiko Yoshida

30代以降、疲れが取れにくくなるのはなぜ?“食”で変わる?

30代からの疲れやすさは、ホルモン(特にエストロゲン)の減少や代謝の低下が重なって起こるもの。プラントベース中心の食事にすると、

  • 抗酸化力が高く細胞ダメージを軽減
  • 消化が軽く、エネルギーレベルが安定
  • 睡眠の質が向上

といった効果で、2〜3週間ほどで疲れの抜けやすさを感じる人が多い。

コレステロール値は本当に“食”で下がる?

動物性中心の食事はLDL(悪玉)コレステロールを上げやすい傾向に。植物性食品には、

  • 食物繊維(コレステロール排出を助ける)
  • 抗酸化物質(細胞の酸化を抑える)
  • 低脂肪・高栄養密度

などの特性があり、プラントベースへ切り替えると、数値が自然に下がるケースが非常に多い。研究でも一致した結果が出ている。

プラントベースで肌やメンタルが変わるのは本当?

はい。植物性食品の抗酸化力は“数十倍”といわれ、

  • 透明感アップ
  • きめが整う
  • 炎症が落ち着く(アトピー改善例も)

など肌の変化が出やすい。

さらに腸内環境が整うことで、セロトニン(幸せホルモン)のバランスがよくなり、気分の安定や睡眠の質向上にもつながる。「体も心も軽くなる」と実感する人が多い理由。

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