1. トップ
  2. 元・朝ドラヒロインの“5年ぶりの演技”に称賛の声「彼女でよかった」「やっぱり良い演技」3度目の出演だからこそ“託された役割”

元・朝ドラヒロインの“5年ぶりの演技”に称賛の声「彼女でよかった」「やっぱり良い演技」3度目の出演だからこそ“託された役割”

  • 2026.1.12
undefined
『ばけばけ』第13週(C)NHK

かつて朝ドラ『マッサン』でヒロインを務めたシャーロット・ケイト・フォックスが、今作『ばけばけ』では知性と芯の強さを備えた女性記者・イライザとして再登場する。ヘブン(トミー・バストウ)の渡日を促す“導き手”として、またヒロイン・トキ(髙石あかり)の心を揺さぶる“鏡”として、物語に大きな影響を与えた。その成熟した演技は、SNS上でも「彼女でよかった」「やっぱり良い演技」と評判を呼ぶほど説得力に満ちている。

※以下本文には放送内容が含まれます。

物語のチェンジ・メーカー

『ばけばけ』の序盤、トミー・バストウ演じるヘブンが異国の地・日本へと旅立つきっかけを与えたのは、シャーロット・ケイト・フォックス演じる新聞記者・イライザであった。彼女はアメリカでジャーナリストとして活動する、聡明で行動力のある女性。19世紀末という時代背景において、女性が一線で活躍する姿は珍しく、その佇まいは一際鮮やかである。

イライザが語る言葉は、ただの情報ではなく、人生を動かす力さえ宿している。ヘブンに、日本という場所と可能性について示して見せた背景には、記者としての洞察と、人としての直感が共存していた。

イライザの眼差しは強く、それでいてどこか慈しみに満ちている。彼女の存在がなければ、ヘブンは日本を訪れなかったかもしれないし、トキとの物語も始まらなかったはずだ。イライザは物語におけるチェンジ・メーカーであり、シャーロットはその役割を誠実に、そして力強く体現している。

時代を超えるロールモデルとして

undefined
『ばけばけ』第13週(C)NHK

『ばけばけ』のイライザは、一時的なチェンジ・メーカーにとどまらない。彼女は、トキにとっての“未来の自分を照らす存在”としても示されている。

松江の地に留まり、家族や慣習に縛られて生きるトキにとって、自由に世界を飛び回るイライザの姿は、未知との遭遇でもあった。

興味深いのは、イライザが強さだけでなく、覚悟や迷いすらも抱えた人物として描かれていた点である。普段は毅然としながらも、ヘブンとの会話中、また怪談を通じて心を通わせるヘブンとトキを見つめるときの、寂しげな横顔。

自立と孤独が背中合わせであることを、彼女は無言のまま教えてくれる。その演技には、役を深く理解した女優としての厚みがにじむ。

シャーロットが演じるイライザは、現代の視聴者にとっても、自分らしく生きるとは何か?と問いかける存在である。これは、彼女自身が『マッサン』で異文化と向き合い、日本でキャリアを築いてきた背景とも重なり、どこかドキュメンタリー的な感動を与える。

変化する立場と変わらぬ魅力

undefined
『ばけばけ』第13週(C)NHK

今回の『ばけばけ』は、シャーロットにとって『マッサン』『べっぴんさん』に続く3度目の朝ドラ出演となる。5年ぶりの演技で、彼女の演技には以前よりもさらに余裕と深みが加わった印象だ。

イライザの台詞は英語で語られるが、たとえ字幕がなくても感情の機微が伝わるであろうほど、彼女の演技にはニュアンスが溢れている。そして、要所で発せられる日本語には、かつての『マッサン』で培った日本語力と、日本への愛情が感じられる。

この言語的な“二重奏”は、作品が描こうとする“異文化の交差”を体現するものであり、イライザというキャラクターの核心とも言える。彼女の存在は、文化や言葉の違いを越えて心が通い合うことの可能性を、体現しているのだ。

『マッサン』では、異文化の壁に戸惑いながらも日本に馴染もうとしたシャーロット。『ばけばけ』では、立場を変えて、今度は“誰かを日本へ送り出す側”として物語に登場している。この構図の変化には、長年日本と関わってきた彼女自身の成長も感じられ、メタ的な感動を覚える視聴者も多いだろう。

イライザは、物語を静かに動かす人物だ。劇的な展開を担うわけではないが、彼女が発したひと言が、ヘブンを、トキを、そして視聴者を大きく動かす。シャーロット・ケイト・フォックスという女優は、ただ演じるだけではない。言葉の重みと、視線に宿る真実性を武器に、観る者の心を揺さぶる稀有な存在である。


連続テレビ小説『ばけばけ』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_