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20年前、少年の成長とリンクした“泥臭くも美しい”熱量 メジャーと共鳴し続けた“魂の疾走ソング”

  • 2026.2.14

まだ冬の寒さが残る2006年の2月。テレビの向こう側では、一人の少年が過酷な運命に立ち向かいながら、プロ野球選手という大きな夢に向かって突き進んでいた。その少年の背中を押すように流れていたのが、荒削りながらも真っ直ぐな、あの歌声だった。

ロードオブメジャー『さらば碧き面影』(作詞・作曲:北川賢一)――2006年2月8日発売

この楽曲は、当時多くの若者を熱狂させたロックバンド、ロードオブメジャーの通算8枚目のシングルとして世に放たれた。彼らにとって、国民的人気アニメとの2度目の強力なタッグとなったこの曲は、単なるタイアップの枠を超え、一つの物語として多くのリスナーの心に刻まれることとなる。

偶然が必然に変わった“奇跡の四人”

ロードオブメジャーというバンドそのものが、一つのドラマのような存在だった。2002年、テレビ東京系の番組『ハマラジャ』の企画から誕生した彼らは、本来なら交わるはずのなかった別々のバンドのメンバーが引き合わされた集団だった。 しかし、その不安定さこそが彼らの武器であり、圧倒的なリアリティを生んでいた。

見知らぬ四人が、衝突を繰り返しながら音楽を作り上げる。その過程を日本中が見守っていたからこそ、彼らが放つ音には、飾らない「生」のエネルギーが宿っていたのだ

デビューから数年が経ち、バンドとしての絆を深めていた彼らが、アニメ『MAJOR 2ndシーズン』のオープニングとして書き下ろしたのが、この『さらば碧き面影』である

前シーズンの主題歌『心絵』(2004年)が物語の始まりを告げる一曲だったのに対し、今作はより深く、より激しく、主人公の成長に寄り添うような一曲に仕上がっていた。

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2003年、「12時間耐久マラソンライブ」をおこなったロードオブメジャー(C)SANKEI

碧き季節を抜けて、その先へ

タイトルの「碧き(あおき)」という言葉には、青春の未熟さや、純粋ゆえの脆さが込められている。その「面影」に「さらば」と告げることは、過去を捨てることではない。痛みや挫折をすべて抱えたまま、新しい自分へと脱皮する決意を意味しているのだろう。

作詞・作曲を手がけたボーカルの北川賢一は、この曲の中に、夢を追う者が必ず直面する「絶望」と、それを打ち砕く「情熱」の対比を鮮やかに描き出した。

冒頭から響く重厚なギターサウンドと、前のめりなドラムのビート。そこに重なる北川の、少し枯れたような、でもどこまでも突き抜けるハスキーな歌声。それは、まさにマウンドで孤独に戦うピッチャーの鼓動そのものだった。

聴く者の心を震わせたのは、その圧倒的な「疾走感」だ。立ち止まることを許さないようなメロディラインは、日々もがきながら生きる大人たちにとっても、忘れかけていた情熱を再燃させる火種となったのである。

漫画の世界が現実と溶け合った“奇跡の1枚”

この作品を語る上で欠かせないのが、初回盤のジャケットに施された特別な演出だ。そこには、『MAJOR』の原作者・満田拓也が、ロードオブメジャーのメンバーを描き下ろしたイラストが採用されていた。

漫画のキャラクターと同じタッチで描かれた四人の姿は、彼らが単なる主題歌の担当者ではなく、作品世界の一部であることを証明していた。作者が彼らの音楽に共鳴し、その熱量を認めたからこそ実現した、ジャンルを超えた共演。このジャケットを手に取ったとき、ファンは音楽と物語が完全に溶け合ったような、不思議な高揚感を覚えたものだ。

時代は移り変わり、音楽の聴き方も、夢の追い方も変わったかもしれない。それでも、ふとした瞬間にこの曲が耳に飛び込んでくると、あの頃の「何者かになりたかった自分」が目を覚ます。

どんなに打ちのめされても、明日に向かって走り続ける勇気。『さらば碧き面影』は、20年経った今もなお、青い季節の中に置いてきたはずの熱い想いを、私たちの胸に呼び戻してくれる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。