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27年前、2人が孤独に光を与えてくれた“もう大丈夫” 歌い続ける未来へと続く至極の名曲

  • 2026.1.28

1999年1月。街はまだ少しだけ浮き足立ち、けれど心の奥では、先の見えない不安も確かに芽生え始めていた。まだ待ち合わせは曖昧で、人との距離も今よりずっと不器用だった時代。「今」をどう生きるかよりも、「いつか」を信じるしかなかった空気が、確かにそこにあった。

ゆず『いつか』(作詞・作曲:北川悠仁)――1999年1月20日発売

派手なイントロも、大きな仕掛けもない。けれどこの曲は、発売直後よりもむしろ時間をかけて、人の心に染み込んでいった。

路上から滲み出た、等身大の言葉

『いつか』は、ゆずにとって4枚目のシングルにあたる楽曲だ。すでに『夏色』で注目を集めていたものの、彼らはまだ「国民的デュオ」と呼ばれる手前にいた時期だった。

横浜の路上で培われたスタイルは、この曲でも一貫している。アコースティックギターの響きと、2人の声が作る最小限の音像。そこにあるのは、技巧よりも体温だった。

作詞・作曲を手がけた北川悠仁の言葉は、決して饒舌ではない。感情を説明し尽くすこともない。だからこそ、聴く側は自分の記憶や感情を、自然と重ねてしまう。この曲は「語られる歌」ではなく、「心に沁みていく歌」だった

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2013年、映画『劇場版HUNTER×HUNTER』完成試写会に登場したゆず(C)SANKEI

激しくならない強さ、押し付けない熱

『いつか』の魅力は、その抑制された熱量にある。盛り上がりを誇張せず、感情を爆発させすぎることもしない。それでも、楽曲の芯には確かな強さがある。

アコースティック主体のサウンドは、音数を増やすことで感情を押し出すのではなく、むしろ削ぎ落とすことで余白を生んでいる。その余白こそが、聴き手の人生や経験を受け止めるスペースになっていた。

2人のボーカルもまた、技巧的な上手さではなく、声の揺れや息遣いをそのまま音楽に変えている印象が強い。一方で美しいハーモニーも魅力的だ。そのバランス感覚が、この曲を「ラブソング」でありながら、特定の関係性に縛られない存在にしている。

時間とともに育ったロングヒット

『いつか』は、当時の売り上げとしては30万枚とビッグヒットと呼べるほどではなかった。しかし、長く長く愛され続けて、多くの人にとっての「名曲」という存在になっていったように思う。

戸惑いながらも、つまづきながらも、それでも日々を更新していきながら、いろんな不安に押しつぶされそうになりながらも、心からの「歌」を私たちに届けてくれる。彼らの存在が何よりも支えになっていることに気づかせてくれる楽曲だ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。