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22年前、『ONE PIECE』の主題歌となった“情熱のラテンポップ” アニメソングの枠を超えた一曲

  • 2026.1.27

冷え込みが厳しいはずの2004年1月。けれど、テレビから流れてくるあの旋律が聞こえた瞬間、リビングには真夏の太陽が差し込んだような熱気が満ちていた。

海の上をどこまでも進んでいく麦わらの一味。その冒険の背中を押していたのは、思わず体が動き出すようなパーカッションの響きと、突き抜けるように明るい歌声だった。

Bon-Bon Blanco『BON VOYAGE!』(作詞:PANINARO 30・作曲:大島こうすけ)――2004年1月14日発売

彼女たちの代表曲となったこの一曲は、単なるアニメソングの枠を超え、聴く者の日常を鮮やかな冒険へと変えてしまう不思議な力を持っていた。

潮風と情熱が溶け合う場所

この楽曲の最大の魅力は、イントロから一気にボルテージを引き上げる圧倒的な「陽」のエネルギーにある。Bon-Bon Blancoは、ラテンパーカッションを操るメンバーを擁するユニークな構成で注目を集めていた。

彼女たちが放つラテンのビートは、日本人がどこか懐かしく感じる歌謡曲的な情緒を持ち合わせながらも、徹底して開放的。特に『BON VOYAGE!』においては、弾けるようなパーカッションの音色が、まだ見ぬ世界への期待感をこれでもかと煽ってくれる

「さあ、ここから新しい何かが始まる」という予感に胸を躍らせたあの感覚は、今も色褪せることなく記憶の奥底に刻まれているはずだ。そこに重なるボーカル・ANNAの歌声は、力強くも透明感があり、どこまでも広がる青い空の高さを見事に表現していた

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2004年、『BON VOYAGE!』発売記念イベントをおこなったBON-BON BLANCO(C)SANKEI

響き合う、かつての情熱と新しい息吹

この曲の熱量を支えているのは、緻密に計算された楽曲制作の背景にもある。

作詞を担当したPANINARO 30(佐々木美和)と、作曲・編曲を手がけた大島こうすけ。この二人は、かつて音楽ユニット・SO-Fiのメンバーとして活動を共にしていた間柄だ。互いの呼吸を知り尽くした二人が作り上げたサウンドは、単に明るいだけでなく、音の厚みと洗練された構成が光る。

大島こうすけによる編曲は、ラテンの熱量を損なうことなく、J-POPとしての親しみやすさを絶妙なバランスで同居させていた

一度聴いたら忘れられないキャッチーな旋律と、複雑に絡み合うリズムの対比。その完成度の高さがあったからこそ、この曲は国民的人気アニメ『ONE PIECE』の世界観と見事にシンクロし、多くのファンの心に深く刺さる作品となったのだ。

終わらない旅路のサウンドトラック

2004年という年は、デジタル化が加速し、音楽の楽しみ方も少しずつ多様化し始めた時期だった。

そんな中で、アナログ的なパーカッションの響きを前面に押し出した『BON VOYAGE!』は、どこか原初的な喜びを呼び起こす力を持っていた。

Bon-Bon Blancoというユニットが持っていた「元気」や「自由」というイメージ。それは、当時の私たちがどこかで求めていた救いのようなものだったのかもしれない。

「この先には、きっと素晴らしい未来が待っている」

そんな根拠のない、けれど確かな自信を、彼女たちの音楽は私たちに与えてくれた。

たとえ月日が流れても、この曲を耳にするだけで、あの頃抱いた純粋な高揚感が、潮風のように全身を駆け巡る。

『BON VOYAGE!』――それは、私たちの記憶の中で今も航海を続ける、終わることのない旅の歌なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。