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25年前、伝説の遺伝子が選んだ“不器用な情熱” 3人の職人が1人のボーカルと鳴らした“泥臭い骨太ロック”

  • 2026.1.26

新しい世紀が幕を開けたばかりの2001年。街には煌びやかなデジタルサウンドが溢れ、音楽シーンもまた洗練されたポップスに彩られていた。そんな喧騒を遮るように、冷たく乾いた風が吹く2月の夜、ある「伝説の続き」を予感させるユニットが、飾り気のない無骨なギターサウンドを携えて現れた。

Dope HEADz『GLOW』(作詞・作曲:I.N.A)――2001年2月21日発売

それは、日本のロック史を支えてきたプレイヤーたちが、一人の新しい才能を迎え入れて放った衝撃のデビューシングルだった。弦を弾く指先やドラムを叩く振動が伝わってくるような、地に足の着いた重厚な響き。それは、新しい千年紀を生き抜くための、無骨で切実な「光」そのものだった。

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Google Geminiにて作成(イメージ)

伝説のプレイヤーたちが求めた「未知の化学反応」

この楽曲がリリースされた当時、ロックファンの視線は期待と緊張に包まれていた。中心となったのは、hide with Spread BeaverのI.N.A、そしてX JAPANのPATAとHEATHという、まさに「伝説」を背負った男たちだったからだ。

彼らが選んだ道は、予定調和な音楽を作ることではなかった。ラジオ番組という開かれた場所で一般からボーカリストを募り、未知の可能性を秘めたJO:YAという新人をフロントマンに据えた。彼らが過去のキャリアに安住せず、常にスリリングな「バンドの初期衝動」を求めていたことの証明でもあった。

JO:YAの若く瑞々しい歌声が重なった瞬間、ベテランたちの重厚な演奏は、単なる懐古ではない新しい息吹を纏い始めた。

職人が音に込めた「引き算」の美学

『GLOW』の魅力は、昨今の音楽のような過剰な装飾を削ぎ落とした、骨太なアンサンブルにある。作詞・作曲・編曲のすべてを一手に引き受けたI.N.Aによる音作りは、デジタル技術をあえて「生音の熱量を際立たせるため」だけに使用している。

空気を切り裂くPATAの硬質なギターリフと、地を這うようにうねるHEATHのベースライン。そこにJO:YAのストレートなボーカルが乗ることで、サウンドは多層的な深みを持つ。盛り上がりを安易な電子音で煽るのではなく、楽器同士がぶつかり合うエネルギーを極限まで高めていく展開。その職人技ともいえる緻密な構成が、時代に媚びない独自の硬質感を生み出していた。

25年を経て、なお瑞々しく響く「未来への咆哮」

あれから四半世紀。音楽を聴く環境は劇的に変化し、世界はより便利に、そして複雑になった。けれど、ふとした瞬間にこのイントロの重厚な歪みが流れてくると、あの冬に感じた「何かが始まる感覚」が昨日のことのように蘇る。

今、改めてこの曲を聴くと、当時の彼らが楽曲に込めた「純粋な音楽への渇望」が、より鮮明に伝わってくる。それは、この曲が一時的なトレンドを追ったものではなく、「音で対話する」というロックの本質を、誠実な手触りで描き出そうとしていたからに他ならない。

重厚な旋律が終わりを迎えるとき、心に残るのは空虚さではなく、澄み渡った覚悟。あの冬に私たちが受け取った輝きは、今も私たちの心の中で、日常を激しく、そして美しく切り裂き続けるための魔法として鳴り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。