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30年前、トップアイドル6人が“押し切った”40万ヒット アイドルの枠を超えた“青春アンセム”

  • 2026.1.18
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Google Geminiにて作成(イメージ)

30年前、1996年の2月。冬の終わりがまだ見えない街で、テレビから流れてきたのは、やけに速く、やけに真っ直ぐなビートだった。

迷いや余白を挟む前に、身体を前へ押し出してくる音。「考えるより先に、走れ」とでも言うような勢いが、確かにあの頃の空気に合っていた。

V6『MADE IN JAPAN』(作詞:平井森太郎・ラップ詞:motsu/作曲:Pasquini-Batten)――1996年2月14日発売

デビュー直後に用意された、迷いのない2枚目

『MADE IN JAPAN』は、V6にとって2枚目のシングル。フジテレビ系『第27回春の高校バレー』のイメージソングとして制作されたこの曲は、リリースと同時にランキング初登場1位を獲得し、セールスは40万枚を超えるヒットを記録した。

ここで印象的なのは、「2枚目らしい様子見」がまったく感じられない点だ。

音は最初から速く、強く、一直線。楽曲全体は6人のユニゾンと掛け合いを軸に構成され、ラップパートのみ坂本昌行がメインで担当する。

個を前に出すというより、「6人で押し切る」感覚がはっきりと刻まれている。

ユーロビートが持ち込んだ“速度の説得力”

作曲を手がけたPasquini-Battenは、Giancarlo Pasquiniとギタリスト・Jennifer Battenの連名。Giancarlo Pasquiniは、デイブ・ロジャースの名義の方が馴染みがあると思う。

ユーロビートの血脈は、この曲のイントロから終盤まで一貫して流れている。刻み続けるビート、迷いのない展開、振り返らない構成。編曲を担当した星野靖彦は、そのスピード感をJ-POPとして成立させるため、音の配置を極めて整理している。

ラップが“飛び道具”にならなかった理由

ラップ詞を手がけたのはm.o.v.eのmotsu。当時、アイドル楽曲におけるラップは、インパクト重視の要素として扱われがちだったが、『MADE IN JAPAN』では役割が明確だ。

ラップはアクセントではなく、推進力。坂本昌行のパートも、個性を誇示するためではなく、楽曲の速度を一段引き上げる装置として配置されている。だから曲全体の印象は散らない。「速さ」が最後まで一本の軸として貫かれる。

「MADE IN JAPAN」という言葉が持っていた重さ

タイトルの『MADE IN JAPAN』は、極めて直接的だ。だが1996年当時、この言葉は単なるフレーズ以上の意味を帯びていた。

高校バレーという舞台。若さ、鍛えられた身体、勝敗に向かう純度の高い集中力。そこに重ねられたのは、日本で生まれ、日本で積み上げてきたものへの誇りだった。

飾らない言葉だからこそ、迷いがない。強さを誇示するのではなく、「ここに立っている」という事実を鳴らす感覚が、この曲にはある。

30年後に残る、“走り切った音”

後年、デイブ・ロジャース自身がこの曲をセルフカバーしていることも、この楽曲の強度を物語っている。ユーロビートとしても成立する骨格を持ち、それをJ-POPとして鳴らし切った2枚目。

30年経った今も、この曲を聴くと、身体が一瞬だけ前のめりになる。それはきっと、あの季節に鳴っていた“速度”が、まだ音の中に生きているからだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。