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ドラえもんとのコラボレーションでも話題のアーティスト、ジャン・ジュリアンが過ごした日本の住まいへ

  • 2025.12.7
keiko ichihara

フランス出身のグラフィックアーティスト、ジャン・ジュリアン。筆ペンを思わせる太い黒線と鮮やかな色彩で、社会風刺や日常のさりげない瞬間を描き出す。GINZA SIXでのインスタレーションをはじめ、世界各地の美術館や商業施設で数多くの展示を成功させ、現在は上海とベルギーてもエキシビションが開催されている。さらに、日本でも12月4日(木)より、渋谷パルコにてドラえもんとのコラボレーション展「ドラえもん & Jean Jullien = STRANGE inventions(へんてこな発明)」が開催中だ。

今年1年、家族と共に拠点を東京に移し生活を送っていた彼のアトリエ兼住まいを訪ねることができた。

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「今年の1月から、この家での暮らしを始めました。春には庭の桜を眺め、夏には友人とバーベキューをしたり……四季を通じて日本を楽しめたのは、本当にいい思い出です」

そう語るジャンが選んだのは、都内にある木造2階建ての一軒家。その中にアトリエを設け、家族4人で日本での日常を過ごしてきた。

〈写真〉ドアを開くと「ようこそ」の文字が訪れたゲストを迎えてくれる玄関スペース。

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〈写真〉建物は和と洋の要素がミックスしたモダンな空間。壁に掛かっているのは、ジャンが友人宅を訪れた際に見た景色を描いたもの。

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〈写真〉ジャン・ジュリアン/フランス生まれ。グラフィックアーティスト。2008年にロンドンのセントラル・セント・マーチンズを卒業し、2010年にロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)にて修士号を取得。イラストレーションを軸に、写真、映像、衣装、インスタレーションなど表現の幅は多岐にわたる。来年3月に行われる渋谷映画祭のビジュアルも担当。

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「日本で特に印象的だったのは、かわいいキャラクターデザインが生活のいたるところに存在していることです。フランスでは、ギャラリーや美術館へ足を運ばなければアートに出合えませんが、日本では駅にも、お菓子のパッケージにも、街の看板にもキャラクターが溢れている。その光景に、イマジネーションが刺激されました」。

〈写真〉リビングの棚には特にお気に入りと語るスイカのペンギン。ペンギンの左隣に飾られているのはジャンの友人であるアーティストのARU DU VALのアート写真だ。一番左にあるのはジャンが友人のホ・ジェヨンと共に立ち上げた韓国のライフスタイルブランド、NOUNOU(ヌーヌー)のルームスプレー。

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撮影時、アトリエではまさに「ドラえもん & Jean Jullien = STRANGE inventions(へんてこな発明)」展に向けての制作途中。「これまで日本での展示は何度かありましたが、僕自身も大好きな『アニメ』というジャンルと協業できたことを大変嬉しく思っています」と語る。


〈写真〉絵の具や筆など画材が所狭しと並ぶジャンのアトリエ。

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フランスにもコミック文化はあるが 、そのあり方は日本とは異なると彼は分析する。

「フランスのマンガは青年や大人に向けたものが多いのですが、日本の作品は子供から読み始め、大人になっても楽しみ続けられるものがたくさんあります。マンガだけでなくアニメや映画になり、グッズも幅広く展開される点もユニークですよね。特にドラえもんは、子供だけでなくその両親も親しんできた作品。時代に合わせてキャラクターやスタイルが進化(レボリューション)し続けている点も面白いと感じました」


〈写真〉子供部屋に置かれていたフランス語訳のドラえもん。

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今回の展示では絵画作品のほか、オリジナルのグッズも販売される予定だ。絵画に関しては、実際に物語に登場したシーンがインスピレーション源。「見る人が想像する“余白”を残すことを意識しています」と語る。

〈写真〉展示に合わせて描いたドラえもんをテーマにした作品。正面にあるのが『Lost』、左上が『Torino's escape』。誰もが見たことがある、のび太くんの家や、映画のワンシーンがジャンならではのタッチで描き上げられた。




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〈写真〉この1年間で130枚もの作品を描いたと語るジャン。もし一つだけドラえもんの道具が手に入るなら「タイムふろしき!」と即答。

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〈写真〉アトリエの奥には中野ブロードウェイなどで購入した日本のアニメのフィギアやポスターが。壁に掛かっているのは、来年3月まで上海で開催されているジャンのエキシビションの音声ガイドのマシン。耳元に近づけると、ジャンの息子など家族が展示の内容が解説してくれる。






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〈写真〉リビングに飾られている、ジャンの息子が描いた絵。

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〈写真〉子供部屋には日本の電車が大好きという息子のために、ジャンの両親がつくったオリジナルのユニフォームが壁に掛かっている。

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「フランスでは住まいとは別にアトリエを構えて制作していまが、日本では家の中にアトリエを作りました。子供たちが遊んでいるすぐ横で絵筆を動かし、制作に没頭できたことは、僕にとってとても有意義で幸せな時間でした。フランスに帰っても、またすぐに日本に戻ってきたくなりそうです」と、笑顔で語った。


〈写真〉アトリエから庭を眺めると、息子が作ったという小さな小屋が目に留まる。「東急ハンズで買った畳を敷いてつくった“タタミハウス”です。笑」

©Jean Jullien Courtesy of NANZUKA ©Fujiko-Pro

「ドラえもん & Jean Jullien = STRANGE inventions(へんてこな発明)」

場所:渋谷PARCO 1階のポップアップスペース「DAIROKKAN」
期間:2025年12月4日(木)~12月14日(日)

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