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世界を救う色?パントン社が選ぶ2026年のカラーは「クラウドダンサー」

  • 2025.12.5
The Development

色見本などを販売するアメリカのパントン社が選ぶ2026年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」は、打ち寄せる大波やうねる雲を思わせるようなホワイト、「クラウドダンサー」であることが発表された(カラーナンバーは「11-4201」)。

パントン・カラー・インスティテュートのヴァイスプレジデント、ローリー・プレスマンによると、この色を選んだ理由は、「世界が疲れ切っているため」だという。

「私たちは休息、そして救済を求めています。精神的に距離を置くこと、視覚的に過剰な刺激から離れることを求めています」

「私たちはただ、一歩身を引きたいのです」

世界が経験している“燃え尽き症候群”に対して、視覚の面に関して示された答えが、この「クラウドダンサー」だということになる。

2026年のカラー、「クラウドダンサー」のマウスとキーボード Pantone

さらに、パントン・カラー・インスティテュートのエグゼクティブディレクター、リアトリス・アイスマンはこの色について、「吸い込む新鮮な空気の尊さ」を感じさせるような色だと説明している。「狂乱状態の社会において、心を落ち着かせる作用を持つもの、慎重な判断と静かな内省の価値を象徴するもの」だという。

「(新型コロナウイルスの)パンデミックは、テクノロジー、リモートワーク、デジタルが絶え間なくもたらすノイズなど、あらゆるものを“加速”させました。そして人々はいまも、次に起きる別のことに立ち向かっています」

私たちはコロナ禍により、「自分の人生をどうしたいのか?」と自らに問いかけるようになったと話すアイスマンは、さらにこう述べている。

「ここは私がいたいと望む場所? この人は私が一緒に暮らしたい人? これは私のやりたい仕事?--そうした疑問は、私たちにとってさらに重要なものになっています」

色選びは「文化の解読」

「カラー・オブ・ザ・イヤー」を決定するまでのプロセスは常に、言葉を理解するのと同じように、文化を読み解くことだという。

プレスマンが「色の人類学者」と呼ぶパントン・カラー・インスティテュートの国際チームは1999年以降、ファッション、インテリア、アート、映画、旅行、さらには地政学が及ぼす影響までを探り当て、その時点での“時代精神”を表すたったひとつの色を提示してきた。このチームは、「世界で起きているすべてのこと」を調べ、考察しているのだという。

そのため、世界の人々の感情を表現することに役立つその年の色は、「名称」も非常に重要。プレスマンは、「どのようなメッセージを伝えようとしているのか、すぐに理解できるものでなければなりません」と話す。

2026年のカラー、「クラウドダンサー」の名称は、「高さ、軽やかさ、混沌(カオス)を乗り越えたところにある見晴らしいのいい場所」を示すものだという。

The Development

アイスマンは「クラウドダンサー」について、インテリアに取り入れた場合は、穏やかさと空間の広さを感じさせる色になると話している。

また、ファッションにおいてはあらゆる可能性を持った色であり、軽さを保ちながら温かく体を包む「ふんわりしたシルエットや、オーバーサイズのパッドを使用したもの」、透け感があり、浮遊感や優雅さのある「オーガンザやシフォン」、あるいはどのようなスタイルにも合わせることができるスニーカーなどにも、取り入れることができるとしている。

そのほか「クラウドダンサー」は、モダンで肩の力が抜けた上品さを表現できるネイルカラーや、明るい色から濃い色まで、髪色にさまざまな変化をもたらすことができるヘアカラーにも、役立つ色だという。

Pantone

過去の選択には、例えば2012年の色だった「タンジェリン・タンゴ」など、発表した直後には疑問視する声もあったものの、次第に広く受け入れられるようになった色もある。プレスマンは、2026年の色である「クラウドダンサー」もまた、「受け入れてもらうことができる色だと確信している」という。

From ELLE DECOR

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