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建築を巡る一人旅、エディターが推薦する日本の名建築

  • 2025.12.2
国立京都国際会館

時間や気分に合わせて、自由に動けるのが一人旅の醍醐味。忙しい日々から少しだけ離れて、自分自身を一番に考えて行動する、こうしたひと時がたまには必要では?そんな一人旅で訪れたい、全国の名建築をエル・デコ編集部のエディターが推薦!丹下健三や前川國男による名建築、図書館やデザインホテルなど、じっくりと向き合いたい一人旅の目的地としておすすめの名建築をエディターのコメントと共に紹介する。

国立京都国際会館

国立京都国際会館/京都府・京都市

ブランデッド コンテンツ シニア エディターTORU

「丹下健三先生に師事していた、大谷幸夫先生の設計です。竣工は1966年。約60年前にこの建物が出現したことを考えると、かなりすごいことだったのではないかと思えます。個人的には『ウルトラセブン』の劇中に、ウルトラ警備隊の本部として登場したのが初見でした」

国立京都国際会館

「何度か近くまで訪れたことはあるのですが、館内をじっくり見たことはまだなく。お邪魔した折には、壮大なロビーを堪能しつつ館内のレストラン『The Grill』で、おすすめのビーフカレーライスを頂きたいと思います」

国立京都国際会館
住所/京都府京都市左京区岩倉大鷺町422


Hearst Owned

クルックフィールズ 地中図書館/千葉県・木更津市

アシスタントエディター RINA

「一人時間を満喫できる場所といえば、やはり図書館ではないでしょうか。国内には素晴らしい図書館建築が数多くありますが、中でも訪れてみたいのが『クルックフィールズ』内にある、『地中図書館』です。中村拓志が設計を手掛けており、緑が生い茂る土の中に潜り込むと、約3400冊の本たちが迎えてくれます」

Hearst Owned

「ジャンルを問わずに気になった本を気が済むまで読んで、地中の中で栄養を蓄える生物たちのように、知を蓄えて、それを旅の土産としたいです」

KURKKU FIELDS (クルックフィールズ) 地中図書館
住所/千葉県木更津市矢那2503

Hearst Owned

太宰府天満宮 仮殿/福岡県・太宰府市

副編集長 YUI

「菅原道真公の御墓所の上に造営された太宰府天満宮。福岡県育ちなので何度も訪れていますが、道真公が京都から大宰府の地に左遷された折に自邸にあった梅の木が道真公を慕い、一夜にして大宰府まで飛んできたという飛梅伝説と御神木「飛梅」には、子どもの頃から人知を超えた存在として不思議と心が引き付けられていました。仮殿は、太宰府天満宮の御本殿(重要文化財)が2023年5月より約3年にわたって改修される間、天神さまが過ごされる特別なところです」

「設計は藤本壮介さん。屋根の上に多彩な草木が植えられた仮殿を見た時、飛梅のことがすぐに思い出され、太宰府天満宮にぴったりだと思いました。月日が経つにつれて屋根上の植物が生育し、樹齢1500年を超える大きな樟(クス)もある鎮守の杜とのつながりも感じます。仮殿は約3年の期間限定で、2026年5月初めぐらいまでの予定とのこと。その使命を終える前に、御本殿前に草木が飛翔してきたような仮殿の姿を記憶に留めたく、また、ゆっくりお参りに行こうと思っています」

太宰府天満宮 仮殿
住所/福岡県太宰府市宰府4丁目7-1

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清春芸術村/山梨県・北杜市

アシスタントエディター TOMOYO

「南に富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳を望む、美しい場所。地図から消えた『清春』という名の小学校跡地を、アーティストのための村として蘇らせたという背景そのものが、このひとり旅に深い奥行きを与えてくれそうです。敷地内に足を踏み入れると、そこはまさに“建築の森”。谷口吉生による静謐な『清春白樺美術館』、自然光のみで作品と向き合う安藤忠雄の『光の美術館』、そして樹齢80年の檜の上に立つ藤森照信の『茶室 徹』など、名だたる巨匠たちの建築が、樹齢100年を超える桜並木やうつろう自然の中に点在しています」

Hearst Owned

「誰にも邪魔されず、自分のペースで作品の世界に没頭できるのは、ひとり旅ならではの特権。まるで時を超えて、作り手とこっそり会話しているような気分になります。アートに心を動かされ、建築に圧倒され、疲れたら美しい自然に癒される。好奇心も安らぎも、全部満たしてくれるそんな欲張りなひとり旅が叶う場所です」

清春芸術村
住所/山梨県北杜市長坂町中丸2072

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神勝寺 禅と庭のミュージアム/広島県・福山市

エディター RYOKO

「広島県にある『神勝寺 禅と庭のミュージアム』は、建築史家・建築家の藤森照信による寺務所や、跋陀婆羅菩薩(ばったばらぼさつ)を祀った広大な浴室など、見どころの多い場所です」

Hearst Owned

Photo : Nobutada OMOTE | SANDWICH

「なかでも一人旅で訪れたいのは、敷地内の建物群から少し離れた静かなエリアに佇むアートパビリオン《洸庭》。Sandwichが設計した木材で包まれた舟形の建築で、内部では名和晃平による光と波を用いたインスタレーションが展示されています。視覚で建築の造形美を堪能したあと、インスタレーションに没入するという内省的な体験を味わうことができます。一人で訪れるからこそ、誰の時間にも縛られず、自分の感覚に向き合える。そんな一人旅の醍醐味を味わえる場所です」

神勝寺 禅と庭のミュージアム
住所/広島県福山市沼隈町大字上山南91

Hearst Owned

博物館 明治村 帝国ホテル中央玄関/愛知県・犬山市

編集長 TARO

「かつて東京都・千代田区にあった「旧帝国ホテル」の中央玄関部分が、愛知県の野外博物館「博物館 明治村」に移設されています。部分移設ではありますが世界のフランク・ロイド・ライト建築のなかでも、必ず見て欲しい重要な作品です」

Hearst Owned

「緻密につくりこまれた細部と劇的な建築体験のコントラストは素晴らしく、当時の栄華に思いを馳せることができます」

Hearst Owned

「広大な明治村の中にあるので、ほかの名建築もたっぷりと自分のペースで堪能していたらあっという間に日没になってしまいます」

博物館 明治村
住所/愛知県犬山市内山1番地

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香川県庁舎 東館/香川県・高松市

エディター NORI

「定番中の定番ですが、やっぱり素晴らしい!と思うのが丹下健三設計の香川県庁舎です。この建物がつくられたのは、戦後まもない1958年。当時の知事は丹下にいくつかの条件を出し、その中に『民主主義時代の県庁としてふさわしいこと』というのがあったといいます」

Shuji.N / Hearst Owned

「近寄り難い建物ではなく、気軽に立ち寄れる県民に開かれた建築。その思いが見事に実現していることはこの建物に足を踏み入れれば誰もが感じるはず。伸びやかなピロティや吹き抜けの大空間を彩る猪熊弦一郎氏の壁画や剣持勇デザインの家具など見どころが満載でつい長居したくなる場所です」

香川県庁 東館

住所/香川県高松市番町四丁目1番10号

photo by Yoshiro Masuda

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/香川県・丸亀市

エディター KAORI

「数々の美しい美術館建築を手掛けた、建築家・谷口吉生が設計した『丸亀市猪熊弦一郎現代美術館』は、ずっと行きたいと思っている場所の一つです。丸亀市にゆかりのある画家、猪熊弦一郎の協力で、1991年に開館。約2万点の猪熊作品を所蔵しています。フレームの中に箱やオブジェが収められたような、ユニークな外観はこの目でじっくりと見つめたい。まさしく一人旅の目的地として、ぴったりな場所だと思います」

photo by Yoshiro Masuda

「外観だけでなく、柔らかな光が差し込む空間にマルセル・ブロイヤーの名作"ワシリーチェア"が置かれたエントランスホールもぜひ体感したいです。猪熊弦一郎が美術館の設立に際して『気軽に訪れられる、難しくない美術館を』と語っていたとこともあり、鑑賞した後はこの端正な空間の中に身置き、ぼんやりと過ごしてみたいです」

photo by Yoshiro Masuda

「猪熊弦一郎作品の常設展のほか、企画展も魅力的。12月13日からはカナダを拠点に活動するアーティスト、ジャネット・カーディフのサウンドインスタレーション作品《40声のモテット》が楽しめるとのこと。開放的な展示室で思う存分、作品に没頭できそうです」

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
住所/香川県丸亀市浜町80-1

豊田市美術館

豊田市美術館/愛知県・豊田市

ブランデッド コンテンツ シニア エディターTORU

「谷口吉生先生の設計です。1995年の開館ですから今年でちょうど30周年ですね。水平垂直を究めた建築として以前からとても気になっています」

豊田市美術館

「同じく谷口先生が手掛けた、上野の東京国立博物館法隆寺宝物館はすぐに足を運べるのですが。。写真で拝見する限り、アプローチからの“ちら見せ”から水盤を背にした全景まで、記憶に深く刺さりそうな佇まいです。しっかり時間を確保して、一人でぐるぐるするのが正解ですね」

豊田市美術館
住所/愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1術館

Ben Richards

沼津倶楽部/静岡県・沼津市

エディター KAORI

「2年連続でミシュランキーのワンキーを獲得している『沼津倶楽部』。その歴史は大阪のミツワ石鹸の二代目三輪善兵衛が、1913年に自身の別邸として数寄屋造りの『松岩亭』を建てたことに始まり、2008年には修繕と敷地内に建築家・渡辺明による宿泊棟『別邸』が設けられました。2年前に建築の意匠を生かしながらリニューアルを果たし、上質な空間にますます評価が高まっています」

Ben Richards

「この目でじっくりと見たいのが、数寄屋造り内にあるラウンジ『昭和の間』。ドーム状の天井や窓や床壁のディテール、和とも洋とも断定できない"あいまいさ"のあるインテリアが、とっても今の気分です」

Ben Richards

「レストランだけの利用も可能ですが、やっぱりゆっくりと宿泊したいもの。和洋のバランスが絶妙な客室には、檜の香りが漂う内風呂も備えています。畳敷きの小上がりに布団を敷いて、思う存分にリラックスできそうです」

沼津倶楽部
住所/静岡県沼津市千本郷林1907-8

国立国会図書館

国立国会図書館 東京本館 本館/東京・千代田区

エディター RYOKO

「前川國男建築設計事務所の設計により、1968年に竣工した『国立国会図書館 東京本館 本館』。重厚な外観や、1辺45mの正方形の書庫棟を1辺90mの事務棟が取り囲むという整然とした構成が生み出す静かな迫力が好きで、集中したい時間があると訪れています」

国立国会図書館

「少し休みたくなったら、石材をモザイクのように敷き詰めた床やステンドグラス、色鮮やかなタイルを埋め込んだ壁面など、温かみのある空間でひと息つくのもおすすめ」

国立国会図書館

「厳格さとやわらかさが共存するこの場所で過ごす時間が、自分を整えてくれるひとときになっています」

国立国会図書館 東京本館
住所/東京都千代田区永田町 1-10-1

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体験学習施設ぐりんぐりん/福岡県・福岡市

副編集長 YUI

「天気のいい日にのんびり過ごしたいのが、伊東豊雄さんが設計した『体験学習施設ぐりんぐりん』。天神から北へ、博多湾の海の中道の手前に位置するところにつくられた人工島、福岡アイランドシティの中央公園内にある水と緑をテーマとした施設です。曲面シェル構造のなだらかな丘のような建築で、北・中央・南の3つのブロックに分かれており、亜熱帯の植生展示、ワークショップや熱帯魚の観察ができるブロックのほか、自由に休憩できるスペースがあります」

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「植物がたくさん、というだけでも居心地がいいのですが、リボンをねじったような曲面がつくり出す、包まれているような安心感はこの建築ならではのもの。天井に光と風を取り込む穴があちこちに設けられていて、開放感もあります。2005年の竣工から歳月を経て屋上の緑化も馴染み、遠くから見ると土地が自然と隆起しているかのようです。屋上には遊歩道もあり、建築の内側と外側の両方を体感できるのも好きなポイントです」

体験学習施設ぐりんぐりん
住所/福岡県福岡市東区香椎照葉4丁目1番
※2026年2月24日(予定)まで工事のため閉館中

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ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)/兵庫県・芦屋市

編集長 TARO

「 兵庫県・芦屋の落ち着いた住宅街にある、フランク・ロイド・ライトによる一風変わった名建築です。弟子の遠藤新らとともに灘の酒造家(山邑太左衛門)から依頼を受けて完成させました。現在は国指定重要文化財『ヨドコウ迎賓館』の名前で公開されています」

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「『帝国ホテル中央玄関』と同様に日本におけるライト建築として揺るぎない重要作ですが、和洋折衷のマニアック建築なので一人旅向け。ライトらしい幾何学的なデザインや大谷石を多用したエントランスから室内へと進むと、3階に畳の部屋が現れます」

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「この和室は欄間に銅板を使用した植物モチーフのデザインが施されていたり、かなりユニークです」

ヨドコウ迎賓館
住所/兵庫県芦屋市山手町3-10

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まえばしガレリア/群馬県・前橋市

アシスタントエディター RINA

「アートの街として知られる群馬県の前橋。前橋駅周辺にデザインスポットがぎゅっと固まっているので、建築とアートを同時に堪能できるのが魅力です。そんな中でも私が特に訪れたいのが、『まえばしガレリア』です。まずはその特徴的な外観を生で見てみたい!というのが本音で、平田晃久が設計を手掛けた建物は、キューブがリズミカルに重なり、白模型をそのまま現実世界にもってきたようなシンプル且つ洗練されたデザイン」

Hearst Owned

「ギャラリーでアートを鑑賞したあとは、施設内のレストラン『cépages(セパージュ)』でちょっと贅沢にフレンチを楽しんでみてはいかがでしょうか」


まえばしガレリア

住所/群馬県前橋市千代田町五丁目9-1

写真提供 名護市

名護市庁舎/沖縄県・名護市

エディター NORI

「いつか行きたいと何年も思いを馳せている名護市庁舎。設計は吉阪隆正の教え子たちで結成された象設計集団です。象設計集団はこの市庁舎を手掛ける前から沖縄の公共施設の設計を手掛けており、現地の気候風土への知見があったそう」

写真提供 名護市

「コンクリートの花ブロックや琉球ガラスなど、沖縄の建築に見られる要素を取り入れながらも、誰も見たことがない新しさと、まるで何百年も前からある遺跡ような重厚感が両立した独自の建築を実現しています」

名護市庁舎
住所/沖縄県名護市港一丁目1番1号



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