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【学生がやってみた防災】駄菓子で笑顔に!鬼怒川決壊の教訓から学ぶ子ども向け非常食

  • 2025.12.2

関東・東北豪雨。10年前の体験談から

2015年9月に発生した関東・東北豪雨から10年。私の住む茨城県常総市は豪雨による鬼怒川の堤防決壊により、そのほとんどが浸水しました。自宅も床上30cmの浸水被害を受け、避難生活を余儀なくされた当時の記憶は、今でも強く残っています。スマホのライブ中継のニュースで自分の住んでいる町が濁流に呑み込まれていく映像は忘れることができません。

避難所での生活の中で私が一番不満だったのは食事でした。スマホやラジオの充電が優先で、ガスに関しても屋内ではもちろん、外は雨だったため火を起こすこともできずお湯も沸かせません。そんな状況で食べられるものといえば非常食として用意していた乾パンと水のみ。父が事前に用意してくれていた非常食です。カップラーメンなどもありましたが、お湯が沸かせない状況では食べることができませんでした。しかしながら、当時小学生であった私たち兄弟にとって乾パンは味も食感も受け付けず、「食べたくない」と文句ばかりでした。

なぜ水と乾パンがおいしくないと感じたのか

私には下に2人弟がおり、避難した当時は私が小学4年生、次男が小学2年生、三男が幼稚園年長でした。避難先では3人とも乾パンを食べていましたが共通して「おいしくない」と文句ばかり。三男に至っては食べることをやめてしまうほどでした。実際私も、食べるものが乾パンしかない状況だったために食べていただけで、美味しいと思って食べていたわけではありませんでした。

なぜそう感じてしまったのか。当時を振り返るとやはり「味」と「食感」だと感じます。水も乾パンも共通してほぼ無味であり、子どもにとって味のないものは食べていて苦しいものです。乾パンは硬めでぱさぱさしており、口のなかの水分が持っていかれてしまいます。これでは三男のように噛む力が弱く、口も小さい子どもにとっては、食べることすら難しいものになってしまいます。

今回、大学で防災企画を立てることになり、大学生3人で子どもが食べやすく、かつ美味しい非常食を提案することにしました。災害に遭った子どもの身になって話し合った結果、「駄菓子」を使った料理を作れば、災害時でも喜んで食べられるのではないかと考えました。

魚肉のすり身をシート状にして揚げた「BIGカツ」は、本物のカツに味がよく似ているため、私たちが子どものころによく食べた駄菓子の定番でした。そこで、このBIGカツをパンに挟めば、「なんちゃってカツサンド」が作れるのではないかと考えました。

次に、安くて子どもに人気がある駄菓子「うまい棒」で定番の「コーンポタージュ」味を使った料理ができないか考えました。最後は小学生の時よく食べていたフルーチェを選びました。コーンポタージュもフルーチェも「牛乳」が必要ですが、災害時には、生ものの保存が難しいため、代わりに保存期間が長い「豆乳」を使用しました。

3人が練りに練った「子どものための非常食レシピ」を以下に紹介していきたいと思います。

実際に作ってみよう!

レシピ ①うまい棒を使った冷製コーンポタージュ

☆材料☆
・うまい棒(コーンポタージュ味)・・・2~3本
・豆乳・・・100ml

☆作り方☆
1.うまい棒を砕き、粉状にしてカップに入れます。

2.カップに豆乳を少しずつ混ぜながら加えます。

3.冷蔵庫で10分〜15分冷やすか、氷を入れて完成!

冷製コーンポタージュレビュー

うまい棒を砕いて豆乳で混ぜるだけなので、とても簡単に作ることができました。豆乳の量で味の濃さを調整することができるので、自分の好みに合わせて味を調整してみても良いかもしれません。実際のコーンポタージュスープのような味がして美味しかったです。

<総合評価5段階>
・味:★★★★☆
・食感:★★★★★
・食べやすさ:★★★★☆

レシピ② BIGカツで作るなんちゃってカツサンド

☆材料☆
・BIGカツ・・・2枚
・食パン

☆作り方☆
1.BIGカツを食パンの上にのせます。

2.好きなサイズに切ったら完成!

なんちゃってカツサンドレビュー

揚げ物のがっつり感がしっかりと感じられ、ソースの味もパンに染みていて美味しかったです。手軽に作れるのに、しっかり“カツサンドの雰囲気”を味わえる一品です。懐かしい駄菓子の香りと本格派の味が楽しめます。駄菓子とは思えない満足感で、子どもも食べやすいため、ぜひおすすめしたいです。

<総合評価5段階>

・味:★★★★★
・食感:★★★★☆
・食べやすさ:★★★★★

レシピ③ 豆乳を使ったフルーチェ

☆材料☆
・フルーチェ
・豆乳・・・200ml

☆作り方☆
1.ボウルにフルーチェを1袋入れます。

2.よく冷えた豆乳200mlを、1回で加えます。

3.大きめのスプーンで、手早く20秒かき混ぜます。

4.冷蔵庫で1時間冷やしたら完成!

豆乳フルーチェレビュー

最後に豆乳フルーチェを食べてみました。豆乳なのでカルシウム分が足りず、上手く固まりませんでしたが、見た目は普通のフルーチェと変わりません。味に関しても食べてみた感じは普通のフルーチェと変わらず美味しいままです。

食感に関してはフルーチェよりもゼリー感が少なく、まるでジュースを飲んでいるかのような感覚でした。大人は苦手な食感かもしれませんが、5〜6歳くらいの小さい子にとっては美味しく食べられる出来だと感じます。カロリーと水分を同時に摂取できる点も災害時には嬉しいポイントです。

〈総合評価5段階〉
・味:★★★★★
・食感:★★☆☆☆
・食べやすさ:★★★★☆

完成してみて

実際に作ってみて食べてみた全体的な感想は「思っていたよりも美味しかった」でした。今回は3品だけでしたが、新しいアレンジレシピを子どもと一緒に考えてみるのも楽しい防災教育になるかもしれません。

作ってみて分かった非常食の工夫

最後に調理してみてわかった非常食に関しての工夫を紹介していきます。

水分量を調節する

一番のコツは水分を多めにして作ることです。今回であれば豆乳の量を調整することで、大人から子どもまで幅広い層に合わせて食感を変えることができます。特に冷製コーンポタージュについては量を調整することで味の濃さも変えることができるので、濃い目の味が好きな子どもには豆乳の量を少なく、逆に固形物を飲み込むことが難しい高齢者の方々には豆乳の量を多くし、飲みやすくするといった工夫ができます。

非常食を無駄にしないために

非常食を常備するうえで最もネックなのが保存期間です。水はまだしも、乾パンに関しては普段から食べるものではないため気づいたら賞味期限が切れているといった事が多々あります。そこで小さい子どもがいる家族の場合、今回のようにお菓子を非常食とすることをお勧めします。普段は子どものおやつとして常備しておき、いざというときは非常食にすることもできます。今回使ったお菓子以外にも賞味期限が長いお菓子はたくさんあるので探してみるのも楽しいかもしれません。ぜひ、これから紹介するおまけコラムも参考にしてみてください。

おまけコラム

災害時に役立つ賞味期限が長い食品、また賞味期限が長い理由を書いていきます。また、いずれも「一般例」「製品例」「業界知見」などであり、すべての製品に通用するわけではないことをご了承ください。

・ガム
ガムには、基本的に賞味期限がありません。なぜならガムに使用されている原材料は、ガムベース、糖類、香料などの品質劣化が少ない物質を用いているからです。

・糖が多いお菓子
食べられる可能性が高いです。砂糖が多いと微生物の繁殖を抑える効果があります。また、飴などは水分が少ないため、腐敗の原因となる菌が繁殖しにくいです。

・チョコレート
ほぼ問題なし。表面に白い粉のようなものがふいたようになるブルーム現象が起き、風味や食感が落ちる可能性はありますが、保存状態が良ければ食べられることが多いです。

・乾燥系のお菓子
油の酸化や湿気による劣化が進むこともありますが、保存状態が良ければ食べられる可能性があります。
今回使用した材料の賞味期間も書いておきます。

・うまい棒コーンポタージュ味

賞味期間は150日。
・キッコーマン調製豆乳
賞味期間は180日(未開封)

・BIGカツ
賞味期間は90日

・フルーチェ
賞味期間は製造後1年1か月(未開封)

皆さんも面白いアイデアがあれば、教えてください。

<執筆者プロフィル>
高橋澄玲
木庭遥之
野村陸人

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