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「全国民観て」「NHKはよくぞこのドラマを作った」放送から12年経てもなお“神作”として名を馳せる至高作

  • 2025.12.24

ドラマのなかには、歴史の重みを背負いながらも、想像以上の完成度で観る人を引き込む名作があります。今回は、そんな"想像を遥かに超える完成度で魅せた名作"の第4弾として、大河ドラマ『八重の桜』をご紹介します。今回は幕末の会津藩を舞台に「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた女性の波乱に満ちた生涯を描いた感動作をピックアップしました。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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綾瀬はるか(2012年撮影)(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):大河ドラマ『八重の桜』(NHK総合)
  • 放送期間:2013年1月6日~2013年12月15日
  • 出演:綾瀬はるか(新島八重 役)

幕末の会津藩で、砲術師範の娘として生まれた山本八重(綾瀬はるか)は「ならぬことはならぬもの」という会津の教えのもと、幼い頃から兄・山本覚馬(西島秀俊)に鉄砲の扱いを教わり、男勝りに育ちました。

しかし、会津藩主・松平容保(綾野剛)が京都守護職に任命されると、運命が暗転。薩長同盟を機に時代の流れが倒幕へと傾き、やがて会津藩は明治政府軍から逆賊の汚名を着せられてしまいます。戊辰戦争最大の戦闘となった会津戦争では、仲間の会津藩士が次々と戦死するなか、八重も男装して鶴ヶ城に籠もり、スペンサー銃を手に夫・川崎尚之助(長谷川博己)とともに徹底抗戦しました。

しかし、圧倒的な戦力差を覆すことはできず会津藩は敗北。すべてを失った八重は、夫と離縁し銃を捨て、兄を頼って京都へ移住します。そこで「新英学校及女紅場」の舎監として新たな人生をスタートさせた八重は、アメリカ帰りの青年・新島襄(オダギリジョー)と運命的な出会いを果たします。やがて結ばれたふたりは、キリスト教に根ざした新たな学校・同志社英学校の創設という夢を共に追い求めていくのでした。会津藩の教え「ならぬことはならぬ」の気概を胸に、数々の困難を乗り越えた八重の生き様を、人々は畏敬を込めて「ハンサムウーマン」と呼んだのです――。

綾瀬はるかが体現した、東北復興への希望

本作の最大の魅力は、主演・綾瀬はるかさんが演じた新島八重の力強い生き様にあります。大河ドラマ『八重の桜』は、東日本大震災の復興支援を目的として制作されました。逆境をはねのけて強く生き抜いた東北人を描くべく企画された本作は、NHK大河ドラマ第52作目となる作品です。

脚本を務めたのは、2010年のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で一躍名を馳せた山本むつみさん。大河ドラマでは初の脚本担当となり、原作となる小説はなく、ストーリーは山本むつみさんのオリジナルです。脚本の後半6回分を除く44回分を山本むつみさんが手がけ、勇気と献身をテーマに物語を展開。会津弁なども忠実に再現する徹底ぶりが、話題を呼びました。

また、テーマ音楽を担当したのは世界的音楽家の坂本龍一さん。その荘厳で美しいメロディが、八重の波乱に満ちた人生に深い感動を添えています。音楽は中島ノブユキさんが担当し、語りは草笛光子さんが務めました。演出陣は、NHKの実力派ディレクターたちが集結し、幕末から明治にかけての激動の時代を丁寧に描き出しました。

綾瀬はるかさんは、大河ドラマ初出演ながら、会津藩のプライドを胸に信念を貫き通す真っ直ぐな生き様を熱演。男装して銃を持って戦う場面から、京都で新たな人生を切り開く場面まで、幅広い年齢層から支持を集めました。2000年のホリプロスカウトキャラバン審査員特別賞を獲得して芸能界デビューを果たし、2004年のTBS系ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』などで大ブレイクした綾瀬はるかさんは、本作で新たな代表作を手に入れたのです。

豪華俳優陣が集結した意欲作

『八重の桜』のもう一つの魅力は、豪華キャストが織りなす人間ドラマです。八重に銃のいろはを教え込んだ兄・山本覚馬を演じる西島秀俊さん、八重と最初に結婚した川崎尚之助を演じる長谷川博己さん、同志社英学校を設立した新島襄を演じるオダギリジョーさん、会津藩主・松平容保を演じる綾野剛さん、会津藩の家老・西郷頼母を演じる西田敏行さんといった実力派俳優陣が集結しました。

特に長谷川博己さんが演じる川崎尚之助は、その後2020年には『麒麟がくる』の主演に抜擢され話題に。また、オダギリジョーさんが演じる新島襄は、臨終の際に八重に優しく「グッバイ、また会いましょう」と語りかける場面が物語を代表する名シーンとして多くの視聴者の涙を誘いました。

その他にも斎藤工さん、小泉孝太郎さん、反町隆史さん、小栗旬さん、吉川晃司さん、及川光博さん、生瀬勝久さんなど、多くのイケメン俳優や実力派が出演し、"青田買い"のドラマとしても注目を集めました。

本作は放送当時、大きな反響を呼びました主人公・新島八重の故郷である福島県では、初回から最終回まで平均して20%を超える高い視聴率を維持。会津戦争に敗れるという絶望を経験した八重たちが、新しい夢を見つけて再生していく姿が、福島の人々の胸を打ったのです。

東日本大震災後の東北地方への応援をこめて制作された本作は、まさに新島八重の故郷の人々に希望を届けることができた作品と言えます。福島の方の強さ、優しさ、先見性を描き、覚馬の三権分立や教育に対する先見性溢れた考え、八重の勇猛さと赤十字社での活躍など、明治以降の日本の近代化に多大な貢献をした人々の姿が丁寧に描かれました。

また、脚本家・山本むつみさんの大河ドラマデビュー作として、その完成度の高さが業界内外で高く評価されました。

SNSでは、「神作です」「綾瀬はるかさんの演技が力強くて感動した」「ありがとうNHK」「全国民観て」「NHKはよくぞこのドラマを作った」「会津戦争のシーンが圧倒的」「長谷川博己さんとの別れのシーンで泣いた」といった声が多数寄せられました。さらに「オダギリジョーさんの『グッバイ、また会いましょう』が忘れられない」「西島秀俊さんの覚馬が最高にかっこいい」「八重が銃を持って戦う姿に勇気をもらった」「イケメン俳優が多すぎて目移りする」「会津の教え『ならぬことはならぬ』が心に残った」「東北への応援メッセージが胸に響いた」「全国民観て」と、作品の完成度と感動を称える声も多く、視聴者の間で高い評価を集めています。

大河ドラマ『八重の桜』は、幕末の会津藩を舞台に、『幕末のジャンヌ・ダルク』と呼ばれた新島八重の波乱に満ちた生涯を描いた感動作です。綾瀬はるかさんの力強い演技と、西島秀俊さん、長谷川博己さん、オダギリジョーさん、綾野剛さん、西田敏行さんをはじめとする豪華キャスト陣、山本むつみさんの挑戦的なオリジナル脚本、坂本龍一さんが手掛けた美しいテーマ音楽が、物語に勇気と希望、そして深い感動をもたらしています。東日本大震災の復興支援を目的として制作され、福島の人々に希望を届け、会津武士道の魂を守り抜いた女性の生き様を描いた一作――まさに"想像を遥かに超える完成度で魅せた名作"と呼ぶにふさわしい作品です。

まだ大河ドラマ『八重の桜』を観たことがない方も、逆境を乗り越えて強く生き抜いた東北の女性の物語をぜひ楽しんでみてください。


※記事は執筆時点の情報です