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「30回観たくらいには好き」熱狂的ファンを生んだ『傑作アニメ映画』…人気監督の“並々ならぬ覚悟”感じる一作

  • 2025.12.24

脳裏に焼き付いて離れない衝撃的な展開や、いつまでも心に残る深い余韻。アニメの世界では、圧倒的な映像美や魂を揺さぶるストーリーによって、観る者の記憶に強烈な爪痕を残す作品が、数多く生み出されてきました。今回は、そんな“一度観たら忘れられないアニメ作品”5選をセレクトしました。

本記事では第5弾として、2022年公開の映画『すずめの戸締まり』(東宝)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“一度観たら忘れられないアニメ作品”映画『すずめの戸締まり』

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(配給):映画『すずめの戸締まり』(東宝)
  • 公開日:2022年11月11日

あらすじ

九州で暮らす17歳の女子高生・岩戸鈴芽(CV:原菜乃華)は、ある日、「扉」を探して旅をしているという不思議な青年・宗像草太(CV:松村北斗)と出会います。彼の後を追って山中の廃墟へと迷い込んだ鈴芽は、崩壊した風景の中でそこだけが取り残されたかのように佇む古びた扉を見つけ、何かに導かれるようにその扉へ手を伸ばしてしまいます。

やがて、それをきっかけとして日本各地で次々と扉が開き始めます。扉の向こう側からは災いがもたらされるため、開いてしまった扉は閉めなければなりません。鈴芽は災いを防ぐため、草太と共に日本列島を巡って各地の扉を閉めていく“戸締まりの旅”に出る決意をします―。

映画『すずめの戸締まり』の見どころ ※ネタバレあり

新海誠監督による映画『すずめの戸締まり』は、その圧倒的な映像美と深く練り込まれた世界観で観客を魅了し、1回観ただけでは飽き足らず何度も劇場へ足を運ぶリピーターが続出する社会現象となりました。物語の奥深さやキャラクターへの愛着は回を重ねるごとに増していき、SNSでは「30回観たくらいには好き」「通算20回目」といった驚異的な鑑賞記録の報告に加えて、キャストや監督の言葉を直接聞くために「舞台挨拶30回参戦」したという熱狂的なファンの声も上がるほど愛されている作品です。

特に物語の結末、主人公が過去のトラウマと向き合い決別するシーンは、本作最大の見どころとして多くの涙を誘いました。亡き母を捜して彷徨う幼い自分に対し、成長した鈴芽が「私は、鈴芽の明日」と告げる場面。それは、失われた過去の象徴である母ではなく、これから続く未来の自分を見つめて生きていくという力強い決意表明であり、彼女が抱えてきた孤独な旅の答えでもありました。ラストで明かされる鈴芽の本当の想いや決意に、SNSでは「何度見ても号泣」「ラストは号泣した」といった絶賛のコメントが寄せられています。

直接的な震災描写に注意喚起も…過去と真正面から向き合った新海誠監督の覚悟の一作

映画『すずめの戸締まり』は、東日本大震災で母を失った高校生・岩戸鈴芽が、日本各地の廃墟を巡り、災いの元となる“扉”を閉めていく旅を描いた物語です。九州から東北へと続くその道のりは、かつて大震災が起きた場所を巡る鎮魂の旅でもあります。そのため、作中には地震そのものの描写や、緊急地震速報の警報音が流れるシーンが含まれており、公式SNSでは「警報音は実際のものとは異なりますが、ご鑑賞にあたりましては、予めご了承いただきます様、お願い申し上げます」と異例の注意喚起がなされるほど、現実と地続きのテーマが扱われています。

新海誠監督はこれまでも映画『君の名は。』での彗星落下や、映画『天気の子』での水没する街など、形を変えて“被災”を描いてきました。しかし本作では、東日本大震災という現実の悲劇に真正面から向き合っています。歳月とともに記憶が薄れていくなかで、あえて過去の痛みと向き合い、トラウマの扉を開くその姿勢に、多くの観客が監督の並々ならぬ「本気の覚悟」を感じ取ったことでしょう。

ただ、震災というデリケートな題材を扱っていることから、SNSでは「楽しく見れるシーンばかりではない」「胸が痛む瞬間がいくつかあった」といった声も上がりました。しかしその一方で、「震災についても考えさせられた」「メッセージ性の強さが突き刺さった」と深く感銘を受ける観客も多く、単なるエンターテインメントを超えて、記憶と向き合うことの大切さを問いかける作品となっています。

映画『すずめの戸締まり』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“過去と未来を繋ぐ壮大な戸締まりの旅”をぜひご覧ください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です