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「やっぱり天才」「神リメイク」“50年ぶり”に蘇った伝説アニメ…「もっと話題になっていい」視聴者絶賛の名作

  • 2025.12.28

ドラマや映画の中には、観る者を驚嘆させるほど緻密に作り込まれた作品があります。今回は、そんな中から“リメイクに衝撃走った名作アニメ”を5本セレクトしました。

本記事ではその第3弾として、アニメ『どろろ』(TOKYO MX 他)をご紹介します。50年もの時を経て現代によみがえった、手塚治虫先生による漫画を原作とした名作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『どろろ』(TOKYO MX 他)
  • 放送期間:2019年1月7日~6月24日

時は戦国。醍醐の国の主である景光(CV:内田直哉)は、ある寺の御堂で12体の鬼神像に領土の繁栄を願い出ました。それと引き換えに生まれた景光の世継ぎは、身体のあちこちが欠けており、忌み子としてそのまま川に流され捨てられてしまいます。

時は流れ、鬼神は景光との約定を果たし、国には平安が訪れました。そんなある日、どろろ(CV:鈴木梨央)という幼い盗賊は、ある男に出会います。それは、鬼か人か――。両腕に刀を仕込む全身作り物の男・百鬼丸(CV:鈴木拡樹)は、その見えない瞳で襲い来る化け物を見据えていました。

マンガの神様・手塚治虫先生による名作『どろろ』

百鬼丸という主人公の存在そのものが、『どろろ』の大きな見どころとなっています。身体のあらゆる部位を鬼神に奪われた彼が、妖怪を倒すことで少しずつ人間らしさを取り戻していく過程は、単なるバトルの連続ではなく、生きるとは何か、人間とは何かを問い続ける旅として描かれます。

視覚や聴覚、痛みや感情を一つひとつ獲得していく演出は、静かながらも強い説得力を持ち、百鬼丸の内面の変化が見る側にもじわじわと伝わってきます。そんな百鬼丸と行動を共にするどろろの存在も、非常に重要です。明るく快活でありながら、戦乱の世を生き抜いてきた影を背負うどろろ。2人の関係は回を追うごとに深まり、まるで家族のような温度を帯びていく点が印象的です。

また、戦国時代という舞台の描き方も見逃せません。人々の欲望や恐怖が容赦なく描かれ、鬼神だけでなく人間そのものがおそろしい存在として浮かび上がります。勧善懲悪に収まらない物語の結末は、強く心に残ることでしょう。

1969年放送の旧TVアニメ版を“50年ぶり”にリメイク

2019年に放送された『どろろ』はリメイク版であり、旧TVアニメ版は1969年より放送されました。そのため、じつに50年ぶりのリメイクとなります。『どろろ』についてSNSでは「やっぱり天才」「神リメイク」「もっと話題になっていい神アニメ」との声があがりました。

また、本作を制作するMAPPAの大塚学プロデューサーは、ニュースサイト『MANTANWEB』によるインタビューにて以下のようにコメントしています。

体の部位を失っている百鬼丸を今の時代にテレビシリーズでいかに描くか、という部分は制作をする上で常に考えていました。単純な描写の問題だけでなく、取り戻すことで新たに知る感覚もあれば知ることで弱くなることもあり、その際にどういった感情が生まれるのか……。そこは監督や脚本の小林靖子さんが非常に力を入れられていた部分でもあります。
出典:『アニメ質問状:「どろろ」 50年ぶりテレビアニメ化で半端なものは絶対作りたくない オリジナル要素も』MANTANWEB 2019年3月9日

百鬼丸が身体を取り戻していくなかで生まれる感情を、古橋一浩監督や脚本を務める小林靖子さんとともに重視していたそうです。このこだわりが、百鬼丸というキャラクターの深みに繋がったのではないでしょうか。

重厚な音楽や美しい作画もあいまって、『どろろ』はリメイクという枠を超え、現代だからこそ描けたひとつの完成形と言えるでしょう。観終えた後、自分なりの答えを考えたくなる作品となっています。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari