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「ドラマ史に残る傑作」16年前、“完成度の高さ”に称賛相次いだ『日曜劇場』

  • 2026.1.1

ドラマや映画の中には、物語に深く心を打たれ、生涯忘れられない作品があります。今回は、そんな中から"称賛の声が止まない名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、ドラマ『新参者』(TBSテレビ系)をご紹介します。東京・日本橋人形町を舞台に、一人の刑事が街の住人たちの心に寄り添いながら、事件の裏側に隠された切ない真実を紐解いていく物語とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画「ショウタイムセブン」舞台挨拶 阿部寛(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『新参者』(TBSテレビ系)
  • 放送期間:2010年4月18日 - 2010年6月20日
  • 出演:阿部寛(加賀恭一郎 役)

舞台は、江戸の風情が残る東京・日本橋人形町。この街の日本橋署に、一人の刑事・加賀恭一郎(阿部寛)が「新参者」として赴任してくるところから物語は始まります。

赴任して間もなく、一人暮らしの女性翻訳家・三井峯子(原田美枝子)が自室で絞殺されるという痛ましい事件が発生。加賀は、警視庁捜査一課の刑事でいとこの松宮脩平(溝端淳平)とコンビを組み、捜査に乗り出すことになります。

加賀の捜査手法は、他の刑事とは一線を画すものでした。彼は、せんべい屋、料亭、時計店といった街の住人たちのもとへ足繁く通い、地道な聞き込みを重ねていきます。その鋭い観察眼が捉えたのは、住人たちが何気なくついた小さな「嘘」や、ひた隠しにしていた「秘密」でした。

一見すると殺人事件とは全く無関係に思える、日常の些細な出来事。しかし、加賀は関係者の心に寄り添い、一つひとつの謎を丁寧に解き明かしていきます。バラバラに見えた住人たちの想いが一本の線として繋がったとき、ついに事件の悲しい真相が明らかになるのでした――。

“日曜劇場の名作”――映画・SPドラマへと広がった8年の歩み

本作は、現代ミステリー界を代表する作家・東野圭吾さんの人気小説「加賀恭一郎シリーズ」第8作を原作とした映像作品です。2010年4月18日から、TBSの看板枠である日曜劇場で放送が開始。完成度の高い本格ドラマを求める視聴者の期待に、見事に応えるスタートとなりました。

物語を支えた制作陣とキャストも豪華です。脚本は真野勝成さん、牧野圭祐さんが担当し、演出には山室大輔さん、平野俊一さんら実力派が集結。阿部寛さんを中心に、黒木メイサさんや溝端淳平さん、向井理さん、木村祐一さん、泉谷しげるさん、笹野高史さん、原田美枝子さん、三浦友和さんといった実力派俳優が顔を揃え、人形町を舞台にした人間模様を丁寧に描き出しています。

また、本作は単発の連続ドラマに留まりませんでした 。このドラマの放送(2010年)を起点に、スペシャルドラマ『赤い指』(2011年)と『“新参者”加賀恭一郎「眠りの森」』(2014年)、映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』(2012年)と『祈りの幕が下りる時』(2018年)が制作され、シリーズは約8年にわたって展開されます。

特にシリーズ完結編となった映画『祈りの幕が下りる時』では、加賀自身の過去にまつわる最大の謎も明かされました 。
これほど長い年月にわたってシリーズが続いてきたこと自体が、本作が多くのファンに愛されてきた何よりの証といえるでしょう。

嘘の裏にある真実に涙する…唯一無二の“泣けるミステリー”

ドラマ『新参者』の最大の魅力は、巧妙な謎解きの裏にある「人間ドラマ」です。主人公の加賀が追い求めるのは、単なる犯人の痕跡だけではありません。事件に関わった人たちが胸に秘めていた「守りたかった大切な想い」そのものです。

物語の根底には「人は嘘をつく」というテーマがありますが、その多くは誰かを傷つけるためではなく、誰かを守ろうとした結果、生まれた“優しい嘘”。加賀がそれを一枚ずつほどいていくたびに、切なくも温かい真実が浮かび上がり、観る者の心を打ちます。

阿部寛さんが演じる加賀恭一郎の魅力は、人形町の煎餅屋や料亭といった生活の場に自ら足を運び、何気ない会話の中から事件の核心へと迫っていく独特の捜査スタイルにあります。中でも印象的なのが、加賀が「ちなみに」と切り出し、相手が隠そうとしている事実に踏み込む瞬間です。

普段はポーカーフェイスで感情を表に出さない加賀ですが、この時ばかりは穏やかな表情の中に相手を見透かすような鋭い眼光が宿ります。この演技には、阿部さんが幼少期に出会った「物腰は柔らかいのに、雰囲気がとても怖い刑事」の記憶が反映されており、優しさと緊張感が同居する独特の空気を生み出しました。

さらに、嘘の裏にある真実が明らかになった際に、犯人に向けられる哀れみを含んだ視線や、感情の揺れでわずかに震える口元など、細やかな表現が物語に深みを加えています。

本作には、放送当時から多くの反響が寄せられました。

一部では、「原作と違う」「連続ドラマ向きではない」「設定に無理があった」といった意見もありましたが、その一方で、「阿部寛の代表作」「このドラマで人形町が好きになった」「東野圭吾✕阿部寛が最高」「一話ごとに心を掴まれた」「伏線回収が見事」「ドラマ史に残る傑作」という絶賛の声が相次ぎました。

東野圭吾さんの原作が持つ重みと、阿部寛さんの迫真の演技、そして下町の人情が溶け合った本作は、まさに、“称賛の声が止まない名作”と呼ぶにふさわしい不朽の傑作です。


※記事は執筆時点の情報です