1. トップ
  2. 朝ドラ『あんぱん』“わずか4分間の登場”で視聴者「鳥肌立った」「神回」…アドリブの一言で魅せた“圧倒的存在”

朝ドラ『あんぱん』“わずか4分間の登場”で視聴者「鳥肌立った」「神回」…アドリブの一言で魅せた“圧倒的存在”

  • 2025.12.23

物語の中心でなくとも強烈な輝きを放ち、見る人の心を一瞬でつかむ俳優がいます。今回は、そんな中から"朝ドラで主役じゃなくとも話題を集めた名優"をセレクトしました。 本記事ではその第3弾として、アイドルという枠を超え、「名優」としての地位を確立した二宮和也さんをご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

経歴

undefined
映画『8番出口』の舞台あいさつに出席した二宮和也(C)SANKEI

二宮和也さんは東京都出身で、アイドルグループ『嵐』のメンバーとして音楽シーンの頂点を極める一方、俳優としても早くから才能を発揮してきました。

2016年には映画『母と暮せば』で第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞し、トップ俳優の座を不動のものにします。 その後も2020年公開の『浅田家!』や2022年公開の『ラーゲリより愛を込めて』でそれぞれ第44回、第46回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、高い評価を獲得。

2025年6月には初の新書『独断と偏見』を刊行するなど、表現者として多岐にわたる挑戦を続けています。

出演作『あんぱん』――愛と勇気の物語

二宮さんがその圧倒的な演技力で強い印象を残したのが、2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』です 。本作は、国民的キャラクター「アンパンマン」の生みの親である、やなせたかし・小松暢夫妻をモデルにした「愛と勇気の物語」です。

ヒロイン・朝田のぶを今田美桜さん、夫・柳井嵩を北村匠海さんが演じ、さらに松嶋菜々子さん、加瀬亮さん、阿部サダヲさんといった主役級の実力派キャストが集結。それぞれのキャラクターが濃く描かれ、「実写版アンパンマン」とも評される豪華なキャスト陣が、作品を彩りました。

脚本は『ハケンの品格』や『花子とアン』の中園ミホさんが担当。戦前から戦後という激動の時代を生きる人々の感情の機微を描き出しました。その高い完成度は多くの視聴者の支持を集め、「Yahoo!検索大賞2025」ドラマ部門で1位に輝いています。

わずか4分間の登場で視聴者号泣――アドリブから生まれた名セリフ

朝ドラ『あんぱん』で二宮さんが演じたのは、主人公・嵩の亡き父・柳井清です。物語の開始時点ですでに故人となっていたため、通常は写真や回想のみの登場でしたが、第59話で突如としてその姿を現し、視聴者を驚かせました。戦地で飢えと絶望に苦しむ嵩の枕元に、「幻影」として降り立ったのです。

約4分間という短いシーンながら、その存在感は圧倒的でした。制作陣も戦地の緊迫感を途切れさせないよう、オープニング映像や主題歌をカットする異例の演出を採用。二宮さんはその演出の意図を汲み取り、優しさと温かさで息子を包み込む名演を見せました。

特に反響を呼んだのが、父・清の「嵩…大きくなったな…」という一言です。 実はこれは台本にはない、二宮さんのアドリブによるもの。役への深い解釈から生まれたこの言葉は視聴者の涙を誘い、SNSでは「鳥肌立った」「朝から号泣」「存在感に圧倒された」「神回」など絶賛の言葉が並びました。

二宮さんはNHKの公式サイトで、次のようなコメントを残しています。

嵩が進んでいく道のきっかけを作った人だと思うので、なるべくやさしさとあたたかさを嵩の心に残せるようにしたいと思っています
出典:【あんぱん】二宮和也さん 嵩に思い出してほしい【NHK朝ドラ公式】(NHK公式HP 2025年4月11日公開)

わずかな登場時間であっても、その一瞬に全ての熱量を注ぎ込む――二宮さんの俳優としての凄みが凝縮された名演でした。

ダークヒーローから名作映画まで――ジャンルを超えた圧倒的演技力

二宮和也さんはドラマ・映画の垣根を超えて、多彩な役柄に挑み続けています。

日曜劇場『ブラックペアン』シリーズでは、オペ室の悪魔・渡海征司郎と、人も金も弄ぶ天城雪彦という、瓜二つかつ全く異なる人格を演じ分け、ダークヒーローとしての新境地を拓きました。

映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)では、シベリア抑留という過酷な状況下でも希望を捨てずに生きた山本幡男役を熱演し、第46回日本アカデミー賞において優秀主演男優賞を受賞。

さらに映画『【推しの子】 -The Final Act-』(2024年)では、物語の鍵を握るカミキヒカル役として出演。短い登場シーンながら強烈なインパクトを残しました。

2025年8月公開の主演映画『8番出口』では、世界的な人気ゲームの実写化に挑戦。無限ループする地下通路に閉じ込められた「迷う男」を演じ、セリフではなく視線や佇まいで観客を惹きつける演技が高く評価されています。

そして同年11月より世界独占配信されたNetflixシリーズ『イクサガミ』では、デスゲーム「蠱毒」の進行を見守る主催者・槐役として、謎多き男を怪演。

二宮和也さんの魅力は、主役として作品を背負う華やかさと、脇役として物語の核心を突く実力派としての深みを兼ね備えている点にあります 。朝ドラ『あんぱん』では、幻影としての出演ながら、その圧倒的な表現力で主人公の人生を支える父の愛を見事に体現しました 。
「トップアイドル」から「日本を代表する名優」へ――。進化し続けるその演技から、今後も目が離せません!


※記事は執筆時点の情報です